セナ、伝説の”神ラップ”。93年ドニントンで使ったタイヤがブレスレットに
1993年の4月11日、ドニントンパーク・サーキットで行われたF1ヨーロッパGPでひとりのドライバーが輝いた。アイルトン・セナである。セナの1周目の走りは、史上最高のオープニングラップとも言われている。
写真:: Uncredited
1993年のF1ヨーロッパGPでのアイルトン・セナ(マクラーレン・フォード)の走りは、70年にも及ぶF1の歴史の中でも、伝説的なシーンのひとつとして語り継がれている。
同年のF1は、アクティブサスペンションをはじめとした様々なハイテクデバイスで武装した、ウイリアムズの天下とも言えた。事実、このヨーロッパGPの予選でも、アラン・プロストが圧倒的な速さでポールポジションを獲得。セナは4番手だったが、プロストからは1.649秒も引き離された。
決勝レースはウエットコンディションで、ほぼ全車がレインタイヤを履いた。
セナはスタートで、ザウバーのカール・ヴェンドリンガーに抜かれて5番手に落ちてしまう。しかし、ここからが圧倒的だった。すぐにベネトンのミハエル・シューマッハーを抜くと、ヴェンドリンガー、デイモン・ヒル(ウイリアムズ)を次々とオーバーテイク。さらにはプロストも抜き、1周目でいきなり首位に浮上したのだ。
ファンはこの1周目を”神のラップ”と呼び、インターネット上では数百万回にもわたってリプレイされた。ただ多くの人にとってそのセナの伝説の走りは、記憶の中、もしくはオンラインでの映像だけである。
しかし、当時セナが使ったタイヤの一部を使った特別なブレスレットが発売されることになった。
このブレスレットを手がけるのは、モナコを拠点とするモングリップ社だ。同社は2016年以来、F1のレースで使われたタイヤを使った、リストジュエリーのコレクションを販売している。
このブレスレットは、起業家であるジャンカルロ・メディチが設立したイタリア企業と共同で開発。特許取得済みのプロセスを使い、手に入れたタイヤのパーツをジュエリーとして扱っているのだ。
同社は、タイヤのゴムのコンパウンドを分析し、それにジュエリーのスタイルを合わせる。タイヤのケブラーも元の形で使われるため、同じブレスレットはふたつとないという。
そしてセナの”神のラップ”を記念して作られたのが、限定盤のモングリップ・レジェンドだ。このブレスレットには、セナのロゴが入れられた18金のローズゴールドの留め具が使われ、さらにセナがその日使ったグッドイヤータイヤの一部も使われている。
メディチはF1のメモラビアコレクターから、ドニントンパークでセナが使ったタイヤを入手。ブレスレットに使うことを考えていたという。その後、セナ家にこのプロジェクトを提案し、承認を得た。
モングリップの研究所は、セナのタイヤのサイドウォールとショルダー部分からサンプルを取り出し、それを変形させてブレスレットに組み込んだ。
最終的には、161本のセナ限定ブレスレットが作られた。この161という数は、セナがF1のレースをスタートした数と同じだ。
アイルトン・セナの甥であるブルーノ・セナは、叔父が使ったタイヤをブレスレットに使うという考えに特に感銘を受けたと語る。
「僕を驚かせたのは、アイルトンがF1で使った最も象徴的なタイヤのひとつを手に入れることができたことだ」
「1993年のドニントンパークでのグランプリは、間違いなくアイルトンの最も印象的なパフォーマンスのひとつだ。叔父を思い出させてくれるモノはたくさんあるけど、このブレスレットほど特別なモノはない」
このブレスレットは、1本4400ユーロ(約52万円)と非常に高価である。しかしながらセナのファンにとってはぜひとも手に入れたい、そんな1本だろう。
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