◯年後のF1はどんなカタチ? 歴代の”未来エフワン”コンセプト
マクラーレンは先日、2050年のグランプリの姿を想像したイメージを公開した。しかし同様のコンセプトを示したのは、マクラーレンだけではない。ここでは、これまで発表された未来のF1の想像図を振り返っていこう。
写真:: McLaren
マクラーレン・アプライド・テクノロジーズ(MAT)は、最高時速500kmという2050年のF1マシン”MCLExtream”のデザイン案を公開した。
現在のF1マシンを生み出すには、非常に細かい部分までが規定されたレギュレーションに準拠する必要がある。しかし、未来のF1マシンをデザインする際には、レギュレーションに縛られる必要はない。つまり、デザイナーやエンジニアにとっては、魅力的な事案だと言える。
このように、レギュレーションに縛られず、将来のマシンを想像したのは、何も今回が初めてではない。中期的、そして長期的な視点で、これまでにも様々なコンセプトマシンが登場してきた。パフォーマンスに焦点を当てたものもあれば、実に現実的なものまで。
ここで取り上げたものの中には、厳密に言えばF1マシンの将来の展望を具現化したわけではないものでもある。ここでは、そのいくつかを紹介していこう。
レッドブルX2010
デザイン:2010年
これは厳密に言えばF1マシンのプロトタイプではない。鬼才エイドリアン・ニューウェイが、グランツーリスモとの提携により”地球最速のレーシングカー”をデザインしたものだ。
まずは空気抵抗を極限まで減らすため、タイヤはカウルに覆われ、さらに長く細いキャノピーとボディワークで構成されている。
エンジンはV6ツインターボで約1500bhpのパワーを発生。またマシンのリヤにはブラバムBT46Bでも採用されたファンを搭載し、巨大なダウンフォースを発生させる。
このマシンはグランツーリスモ5に初登場。セバスチャン・ベッテルがドライブし、鈴鹿サーキットを1分11秒540で駆け抜けた。このタイムは、現在の鈴鹿のF1によるレコードタイムである1分27秒319よりも16秒近く速いものだった。
マクラーレンMP4-Xコンセプト
デザイン:2015年
マクラーレンは以前にも、将来のF1マシンのコンセプトを発表。このMP4-Xは、厳しいシーズンを過ごしていた2015年に誕生した。
マクラーレンのデザイナーが、時間軸を念頭に置いてこのマシンをデザインしたかどうかは定かではない。しかし、F1の未来はどうあるべきかという理想的なビジョンとして、このMP4-Xを思いついたのだろう。
ただMCLExtreamとは異なり、内燃機関を搭載することを前提にデザインされている。しかしながら、パワートレインの熱効率を改善するため、”超高効率燃料”を使うとしている。
キャノピーとホイールカバーは、エアロダイナミクスを改善している。そしてサイドポッドの上部にはソーラーパネルが埋め込まれており、ハイブリッド性能をサポートする。またデジタル広告表示機能を搭載しており、視聴者によってターゲティングされた広告が”配信”される。
ルノーR.S.2027Vision
デザイン:2017年
ルノーは2027年シーズンを念頭に、すっきりとしたラインと控えめな外観を持つコンセプトカーのイメージを提案した。このマシンは、フロントとリヤのウイングを見ても分かる通り、空力への依存度が低い……ということができよう。
このマシンにはアクティブサスペンションが採用されていて、事前に路面などに応じたサスペンションの動きをプログラミングできる。空力効果も生み出すことができるだろう。
キャノピーも斬新である。このキャノピーはほぼ全面が透明なセーフティセルに収められていて、観客はドライバーの動きを逐一観察することができる。
パワートレインは現在のモノに基づいているが、2基の250kWの回生システムを搭載し、最大出力約1300bhpを誇る。
2021年F1コンセプト
デザイン:2017年
オーナー権がリバティ・メディアに引き継がれた後、F1は未来に向けた積極的なアプローチを開始した。その第一歩として2021年に向けてレギュレーション大変更をすべく様々な調査を行い、一部は2019年のレギュレーションに加味されることとなった。
そんな中、F1は2021年マシンのデザインコンセプトを3パターン公開。現行のマシンを踏襲する部分も多くあるが、よりシンプルになった印象である。
フロントウイングは、現行のメインプレーン+フラップ1枚という構成から、メインプレーン+フラップ2枚と、エレメントが増やされている。しかしながらその形状はシンプルになっていて、生み出す乱流を抑えようとしている意図が感じられる。リヤウイングもシンプルになっている。ハロのデザインは洗練された格好だ。
2021年のレギュレーションはまだ最終調整が済んでいない状況だが。ホイールは現行の13インチから18インチへと拡大される予定だ。
マクラーレンMCLExtreme
デザイン:2019年
マクラーレンが2050年のグランプリシーンを想像するにあたり、その時走っているであろうマシンとしてデザインされたのが、このMCLExtremeである。
最高速度は500km/h。リヤ駆動の電気自動車となっており、ボディ形状に沿って形成されたバッテリーのエネルギーを使用、さらに形状が変化するエアロパーツを装着している。また搭載されたAI頭脳のコ・パイロットが様々な要素を学習してマシンに調整を加える他、自己回復機能を持ったタイヤを履いている。
マクラーレンはこのマシンだけではなく、グランプリがどう変わっていくかも含めて検証した。今回発表されたイメージは、現実離れしているようにも感じられるが、マクラーレン・アプライド・テクノロジーズは、マシンやドライバー、コース、そして観客など、様々な視点に立って調査を行い、科学的な根拠に基づいて今回の案を提示しているという。ただの”ファンタジー”ではない。
例えばサーキットを見てみると、超高速に対応するため、コーナーには急なバンクがつけられ、ピットレーンには充電設備が用意されている。また、異常な気象でも観戦できるようにするため観客席には屋根がつけられ、その屋根は視界を妨げないように透明な素材で作られている。
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