F1 イギリスGP

今度こそ本当の夜明け。メルセデスF1、“ぬか喜び”の呪縛から解放へ……前戦で棚ぼた優勝もこれまでとは違う?

2022年に現行レギュレーションがF1に導入されて以降、調子が上向いては失速するという状況を繰り返し経験してきたメルセデスだが、2024年シーズンはこれまでと状況が異なるとチーム側は考えている。

George Russell, Mercedes F1 W15

George Russell, Mercedes F1 W15

写真:: Sam Bloxham / Motorsport Images

 かつてはF1コンストラクターズタイトル8連覇とF1をほしいままにしていたメルセデスだが、現行グラウンドエフェクト時代では何度も大きな進歩を遂げながら、挫折を繰り返してきた。しかし、今回は違うとチームは言う。

 メルセデスはこのグラウンドエフェクト時代に、何度も”偽りの夜明け”を迎え、1度限りの好結果に踊らされてきた。パフォーマンスが飛躍的に向上したと思えば、その直後、厳しい現実に引き戻される……再び苦戦を強いられることを常に恐れているのだ。

 特にオーストリアGPでメルセデスのジョージ・ラッセルが挙げた勝利は、レッドブルのマックス・フェルスタッペンとマクラーレンのランド・ノリスの接触に助けられたという要素が強い。

 しかしふたりのクラッシュがなかったとしても、メルセデスの3戦連続での表彰台は間違いなかった。モナコGP以来の進歩が本物であることを証明している。

 こうした好調ぶりは、過去1年半の間、他のライバルに対して持続的な進歩を見出すことができなかったメルセデスにとって、すぐさま進歩を確信できる材料にはならなかった。実際、メルセデスは一過性の成功で自身の立ち位置を見誤ったことが何度もあった、そのことが仇となり、その後に後退してしまった。

 その“勘違い”を最も顕著に表しているのが、2022年サンパウロGPでの優勝だ。メルセデスは、ようやく現行グラウンドエフェクト時代でレギュレーションを理解できたと信じていたが、翌シーズンの開幕戦で再び夢が打ち砕かれた。

George Russell, Mercedes W13, Lewis Hamilton, Mercedes W13, Max Verstappen, Red Bull Racing RB18, Lando Norris, McLaren MCL36, Sergio Perez, Red Bull Racing RB18, the rest of the field at the start

写真: Steve Etherington / Motorsport Images

 しかしラッセルが、サンパウロGP以来の勝利をオーストリアGPで祝っている時、チーム内は全く異なるムードに包まれていた。実際、イギリス・ブラックリーのファクトリーにいるスタッフは、現行マシンに何が必要なのかを理解し、開発の方向性を定めたのだ。

 メルセデスのトト・ウルフ代表はオーストリアでの成功を祝い、純粋なペースでレースに勝てるようになることを心待ちにしつつ、チームの進歩を感じているという。

「我々は現在、ほぼ全てのレースでアップデートを投入していると思う」とウルフ代表は語った。

「ファクトリーはフル稼働している。この12年間、開発や設計、製造、サーキットへの投入、そしてクオリティを維持する上で、こうしたスピード感はなかった。このようなペースは本当に見たことがない」

「だから毎レース、アップデートしてきた。今後も毎レース投入するし、サマーブレイクまでにもう一歩前進できることを願っている」

「全員がハードワークしているし、他も手強いチームだが、僕らがその差を少しでも縮めることができれば……10周で15秒遅れだったと思う。それで3位だし、上手くいけばそれを半分にしてバトルできる」

 メルセデスの現在の調子が本物だと考えているのはウルフ代表だけではない。チームのエンジニアたちも、今季マシンW15の背後にあるダイナミクスをより深く理解できたことが、大いに役立っているという。

 そして何が機能し、何が機能しないのかという情報を集めれば集めるほど、チームはそのマシンパッケージからより多くのパフォーマンスを引き出すことができるようになる。

Toto Wolff, Team Principal and CEO, Mercedes-AMG F1 Team, George Russell, Mercedes-AMG F1 Team, 1st position, guests and the Mercedes team celebrate victory after the race

Toto Wolff, Team Principal and CEO, Mercedes-AMG F1 Team, George Russell, Mercedes-AMG F1 Team, 1st position, guests and the Mercedes team celebrate victory after the race

Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

 メルセデスでトラックサイドエンジニアリングディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは次のように語った。

「サーキットを走れば走るほど、自信がついてくる。以前のマシンは、ウィンドウに入っても、風向きや路面温度の変化によって突然バランスが崩れ、金曜日はいい感じだったのに、土曜日は突然苦戦するという感じだった」

「我々が実施してきた変更で、マシンは本質的にもう少し普通に機能するようになった。ドライバーたちはオーバーステアについて文句を言っていない。マシンに全般的な問題があれば、それを追うのは簡単だ。あちこちでアンダーステアになっているなら、それを修正すればいい。だから、作業は間違いなく簡単だ」

「しかし重要なのは、シミュレータとの相関性が向上したことだ。以前は見込みがなかった。5度の路面温度や風向きの30度の変化でバランスが崩れるなら、シミュレータがそれらの影響を全て捉えるのに苦労するのは当然だからね」

 そしてショブリンは、レース数の多さゆえに、マシンの理解も雪だるま式に深まったと考えている。シミュレーションにより多くのデータを投入することができ、アウトプットの質を高めることができるのだ。

「最近のマシン開発では、常にレースをしている方がはるかに簡単で、自分のやっていることが実際にマシンを速くしているんだと確認できるデータも入ってくる」とショブリンは語った。

 ショブリンの考えでは、結局のところ現在サーキット上で見られているのは、チームが前進する上で適切なパーツをマシンに搭載しているだけではなく、改善する上で適切なアイデアとツールがファクトリーにはあるという事実確認なのだという。

「どのチームもそうであるように、我々も速くなるための開発の方向性を間違いなく見つけたと思う」とショブリンは言う。

「問題は、他のチームと同じくらいの早さで開発できているのか? ということだ」

Lewis Hamilton, Mercedes F1 W15, George Russell, Mercedes F1 W15, in the pit lane

Lewis Hamilton, Mercedes F1 W15, George Russell, Mercedes F1 W15, in the pit lane

Photo by: Zak Mauger / Motorsport Images

「本質的にバランスが取りづらいマシンだと、サーキットの全てのコーナーで上手く機能させることができなかった。相関関係をはるかに越えていて、扱いが難しいんだ」

「今は低速域でも高速域、中速域でも、ブレキーングも問題なく機能するマシンに仕上がっている。改善点は常にあるし、常にもしくはほぼいつも、誰かを追いかけている。しかしマシンの改良が、相関関係を高める上で役立っているようだ」

 こうしたことから、メルセデスは今季の連続表彰台獲得が、他チームのつまずきによって勝利が左右されることのない、より良い後半戦への足がかりになると感じており、ウルフ代表も次のように口にした。

「チームには今、チームには勝利のために、本来のパフォーマンスで戦えるところまで行こうという大きな勢いがあるのは確かだ」

 

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