ライバルが結託したら、メルセデスは詰む? 圧縮比問題に揺れる中、強気だったウルフ代表の発言に変化
メルセデスのトト・ウルフ代表は、エンジンの圧縮比トリックを巡る論争が、ここ数日になって急速に動きを見せたと感じている。
George Russell, Mercedes
写真:: Alastair Staley / LAT Images via Getty Images
バーレーンでのF1プレシーズンテストがスタートしたが、メルセデスのパワーユニットは依然として注目の的となっている。彼らは規則の抜け穴を利用して、規定よりも高いエンジン圧縮比で走行できていると言われているが、ライバルはその“抜け穴”を塞ぐべく、FIAに対して測定方法の変更を要請しているからだ。
メルセデスは常温での静的テストでは16:1の圧縮比を順守している一方、高温となる走行時にはより高い圧縮比を実現できるトリックを編み出したとされている。メルセデスのトト・ウルフ代表はこのエンジンが完全に合法だと強調しているが、FIAが介入する可能性を完全には否定していない。
「ここ数週間、この問題がなぜ今になって急に話題になったのか少し混乱している。というのも、先週金曜日までは状況は変わらないだろうという印象を受けていたからだ」
彼の言う金曜日以降、FIAの介入が差し迫っている印象を受けたかと問われると、ウルフ代表はこう答えた。
「イタリアのウェブサイトの記事で『状況が変わる』と読んだから、それで我々も状況を把握しておくべきではと思ったんだよ!」
motorsport.com含むメディアに語ったこの発言は冗談めかしたものだったが、他にも興味深い発言があった。ウルフ代表はメルセデスのローンチイベントの際、他メーカーに対して「自分たちのやることをやれ」と強気なコメントをしていたが、今回はライバルたちが結束をした場合、メルセデスは「どうしようもない」と認めたのだ。
「(規則の変更には)チームだけではなく、統括団体(FIA)と商業権保持者(FOM)の票も必要だが、もし彼らが意見と方針を共有してしまえば、我々としてはどうしようもなくなる」
「ここ数ヵ月、他のエンジンメーカーによるロビー活動はかなり活発になっている。秘密の会合や、FIAへの秘密の書簡もあった。もっとも、この世界に“秘密”など存在しないが、そういったものが今の状況を生んだ」
ウルフ代表が言及したように、規則への介入にはパワーユニット諮問委員会での圧倒的多数の得票が必要であり、5社中4社のエンジンメーカーに加え、FIAとFOMの賛成が求められる。ただ主導権は今やFIA側にあり、ウルフ代表もあらゆる可能性を排除していない。
「このスポーツは驚きに満ちている。絶対確実と言える状況などない」
「エンジンを設計する過程では常にFIAを近くに置き、意思決定に関与させてきた。我々が行なったことは規則に則っているという保証も得ている。しかも、莫大なパフォーマンス向上を狙ったものでもない。それでもライバルは不満を抱き、長期間にわたりFIAに働きかけてきたのだろう」
FIAが介入した場合、メルセデスは開幕戦で走れるのか?
もしFIAが測定方法を変更し、例えばエンジンが高温の状態で測定する、あるいは走行中にセンサーで測るといった手法を導入した場合、メルセデス製PUを搭載する4チームが開幕戦オーストラリアGPに出場できるのかが焦点となる。
2026年仕様のPUのホモロゲーション期限は3月1日。エンジンの変更には長いリードタイムが必要であり、特に基本設計に関わる変更が必要となると、ほとんど時間は残されていないと言える。
「そういう規則になるなら、それに従わなければならない。従えない状況なら、FIAが何らかの解決策を示す必要があるが、それは我々にも不透明だ」とウルフ代表は言う。
「言うまでもなく、エンジンの開発には時間がかかる。もし開発してきた方法で運用できないと言われれば、パフォーマンス面でかなりの打撃になる可能性がある」
ただ、メルセデスとしては法的措置に踏み切ることはないという。
「誰かを訴えるというシナリオはない。今のF1では、ルールが明確であることがこれまで以上に重要である一方で、技術的な創意工夫は常に尊重されるべきだと思っている。だからこそ我々は常にFIAをリスペクトしているんだ。彼らがルール変更を決めれば、それが我々に有利であれ不利であれ、受け入れるしかない」
またウルフ代表は、圧縮比の違いが大きなパフォーマンス差にはならないだろうと強調。10馬力以上高くなるといった噂や、1周あたりコンマ数秒単位で速くなるという噂を否定した。
「せいぜい数馬力だ。つまり2~3馬力程度であり、グランプリ全体を通して大きな差を生むリスクはほぼない」
「問題は我々の作る前例がどんなものであるか、そして新規則導入に伴う複雑な点は何なのか、そしてそれをどう監視して、必要な場合はどう調整するのか、そしてそれがADUO(いわゆる救済措置)にどう影響するかだ」
「6レースを終えた段階でADUOの対象となって(追加の開発機会により)ライバルに追いつくチャンスがあるだろうと踏んでいるメーカーは、今からすぐに圧縮比に目を向け、エンジン開発をまったく違う方向に進めることができる。なぜなら第6戦の後にエンジンを変更できる可能性があると分かっているからだ。こうした未知の影響は計り知れず、定量化もできない」
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