最新版が発表されるも、未だ流動的な2021年F1カレンダー。最も厄介なのはトルコGP?
F1は先日、2021年シーズンのカレンダー最新版を発表したが、スケジュールは依然として流動的な状態だ。
2021年シーズンのF1は、未だ新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けており、先日は日本GPの中止などを受けてカレンダーが改訂された。しかし、その改訂版カレンダーに関しても、まだまだ流動的な部分が多い。
まず懸念されるのは、アメリカのオースティンでグランプリが開催できるかという点。オースティンのあるテキサス州では大規模な感染爆発が起こっている上、物流の面や人員の移動の面でも複雑な問題を抱えている。
しかしながら、F1が最も頭を悩ませているのはトルコGPであろう。
トルコは現在、イギリス政府が定めるレッドリストに入っているため、過去10日以内にトルコを訪れた者は、帰国後に政府指定のホテルで10日間の隔離が必要となる。F1では全10チーム中7チームがイギリスに拠点を置いており、その他ホンダやピレリ、メディアの関係者を含めると1000人ほどが影響を被ることになると考えられている。なお、トルコがイギリスのレッドリストから外れるかどうかは、イタリアGP後の9月16日に行なわれる審査の結果次第となる。
トルコGPは当初、10月3日に開催予定となっていたが、1週後ろ倒しに。日本GPの開催中止によって空いた10月10日の枠に収まる形となった。これによりトルコGPはロシアGP(9月26日開催予定)との連続開催ではなくなった上、レッドリストの更新後に一定期間の猶予が与えられることとなった。
もし仮にトルコがレッドリストから外れなかった場合、チームとして考えられるプランとしては、最小限のクルーのみがトルコへと向かい、残りのスタッフは10月24日のアメリカGPに向けてイギリスを離れる、というものだ。
しかし、この戦略が最適なものでないことは明らかであり、こういった動きをするしかなくなった場合には、チーム側の合意を得る必要性も出てくる。
またアメリカGPに関しても、F1は現在どのくらいの人員の入国が許可されるのかについて、現地当局と協議している。というのも、入国するのは“必要最低限”の人数でなければならないと規定されているからだ。
先週末、FIA F3は最終ラウンドの舞台をアメリカ・オースティンからロシアのソチに変更することを発表した。これは「避けられない物流上の変更により、オースティンでのイベントにかかる全体的なコストに大きな影響を与えた」ことが理由とされている。
またF1側は、F3での決定がF1グランプリ自体の計画には影響しないことを強調している。
F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリは、最近発表された改訂版のカレンダーは、当面堅実なものであると語っている。
「これまでのところ、我々が提供できる情報はあれが全てだ」
ドメニカリはmotorsport.comに対してそう語った。
「そして今の所、その全てが堅実なものである。これ以上状況が深刻にならないことを期待しているが、少なくとも現時点ではこれで確定されている」
またトルコGPの展望について、彼は次のように話す。
「もちろん状況を注視している。我々は状況が改善されることを心から願っている」
「ひとつ分かっていることは、トルコにおける(チケットの)売上は非常に好調であるということだ。これは非常に良いニュースだ」
また、現在の改訂版カレンダーでは、11月21日の枠が「TBC(未定)」となっている。ここにはドーハ郊外のロサイル・サーキットで行なわれるカタールGPが組み込まれると考えられているが、まだ契約がまとまっていないため正式には発表されていない。
カタールでのナイトレースの実施に関しては着々と計画が進んでいるとされているが、ドメニカリは「次のイベントが確定しない限り、TBCについて発表するものは何もない」として、このことについて言及しなかった。
ロサイル・サーキットと言えばMotoGPカタールGPの舞台としてよく知られているが、2009年にはGP2アジアシリーズのレースが開催されたこともあり、その内1レースは現レッドブルのセルジオ・ペレスが制している。また、2015年から2017年にかけてはWTCC(世界ツーリングかー選手権)が開催されたこともある。
FIAのF1レースディレクターであるマイケル・マシと、F1スポーティングディレクターであるスティーブ・ニールセンはハンガリーGP後にロサイル・サーキットを訪れ、F1でのレース開催に向けてどういったアップデートが必要かについて指摘した。
その中でも特に注目されたのが、F1などの4輪カテゴリーよりも2輪向けに作られたピットエントリーやバリア、縁石など。またパドック内にあるチーム用の仮設建造物に関しても整備が必要なようだ。
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