カリフォルニア州裁判所、シュタイナー元代表に対するハース社の訴えを退ける。書籍の”商標権”をめぐる裁判に判決

米国・カリフォルニア州の裁判所は、ハース・オートメーション社によるギュンター・シュタイナーに対する、著書をめぐる裁判の判決を下した。

Gunther Steiner

Gunther Steiner

写真:: Sam Bloxham / Motorsport Images

Motorsport Business

Covers any motorsport business related content

 ハース・オートメーション社は、同社の傘下にあるハースF1チームの元代表であるギュンター・シュタイナーに対し、著書『Survivng to Drive』の中で商標権を侵害したとして、裁判を起こしていた。しかし米国・カリフォルニア州の裁判所はこの訴えについて、シュタイナー元代表に有利な判決を言い渡した。

 今年の5月、ハース・オートメーション社(以下ハース社)は、シュタイナー元代表が自身の著書の中で、許可や同意なしにハース社のブランドや商標を使用したと主張した。そしてシュタイナー元代表から満足いく回答を得られなかったため、ハース社は本社を置く米国・カリフォルニア州で、シュタイナー元代表と著書『Survivng to Drive』の出版社であるテン・スピード社を相手取る裁判を起こした。

 ハース社が特に問題視したのは、この本で使われている写真である。中でも表紙に使われている写真は、ハース社のCNC工作機械事業とモータースポーツ活動に関する連邦登録商標を侵害していると主張した。

 シュタイナー代表の弁護側は、ハースのロゴの使用法はフェアユースに該当し、合衆国憲法修正第1条で保護されていると主張し、全面的に争っていた。

 カルフォルニア州の裁判官はこれについて、ハースのロゴの使用は書籍の芸術性に関連しており、明確に誤解を招くようなものではないと裁定した。

「この本は、2022年のシーズン中にハースF1チームのチーム代表として、シュタイナー氏が経験したことを物語っている」

 裁判所が発表した文書にはそう記されている。

「ハースのマークを含む写真を使用することは、ハースF1チームの2022年シーズンについての追加的な背景を定許するための、芸術的な選択である」

「ここでは、”作品の出どころ”がハース・オートメーション社である明示的な表示、あからさまな主張、または露骨な虚偽表示はなかった」

「表紙の写真も暗黙的の承認またはスポンサーシップを示唆しているという議論はあるが、ハースのマークによる明白な誤解を招くような提示や示唆はない」

「したがって被告によるハースの商標の使用は、ロジャー法の下で保護される。つまり被告の申し立ては認められる」

 なお被告側はこの裁判に際し、ハース社に対して訴訟費用の返還を求めたが、ハース社の訴えは「客観的に見て合理的」とみなされたため、その訴えは却下された。

 シュタイナー元代表はまた、ノースカロライナ州でハース社に対する裁判を起こしている。シュタイナー元代表は、ハース社が数年にわたって、手数料やロイヤリティを支払っていないと主張しているのだ。この裁判は現在も続いている。

 シュタイナー元代表は、ハース・オートメーションの創設者でありNASCARチームのオーナーでもあるジーン・ハースの支援を受け、2014年にハースF1チームを創設。チームを率いてきた。しかし2023年限りでチーム代表の座を追われ、今季から小松礼雄が後任としてチーム代表を務めている。

 motorsport.comはこの件について取材を求めたが、ハースF1チームはコメントを控えている。

 

前の記事 フェラーリ、バウンシングの問題は解決できたと自信。しかし”グラウンドエフェクトカー”でのフロア開発の難しさを吐露
次の記事 F1日本GPを0円で楽しめるチャンス! 鈴鹿サーキット、”若いファン”を対象にした特別招待企画の実施を決定

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

エディション

日本 日本