フェラーリの逆襲は次戦から……F1マイアミGPで今季マシンへのアップデート開始。レッドブルとの差を詰められるか？

　スクーデリア・フェラーリは、F1第5戦マイアミGPから今季マシン『SF-23』へのアップデートを開始するとチーム代表を務めるフレデリック・バスールは語った。

　新スプリント形式で行なわれた第4戦アゼルバイジャンGPでは、シャルル・ルクレールがフェラーリに初のポールポジションを届け、スプリント用の予選”スプリントシュートアウト”でもポールポジションを獲得した。

　しかしレースとなると、レッドブルがフェラーリを圧倒。ルクレールは迫るセルジオ・ペレスとマックス・フェルスタッペンに為す術もなかった。

　ルクレールはレッドブルのふたりに続く3位でチェッカーを受け、フェラーリが求めてきた今季最初の表彰台を獲得。ただ、レースを制したペレスとの21秒というギャップは、フェラーリがレースペースで多くの課題を抱えていることを示している。

　チーム代表のバスールによると、チームのアップデート計画は次戦マイアミGPから開始され、続くヨーロッパラウンドでさらに小さなアップデートが予定されているという。

「マイアミから数回のイベントで、マシンアップデートを投入し始める。そしてそのアップデートにマシンがどう反応するか見ていくことになる」

「アップデートは重要なことだが、アップデートから全てのパフォーマンスを引き出すことができるかは、また別の話だ」

Frederic Vasseur, Team Principal and General Manager, Scuderia Ferrari

Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

　バスールは、フェラーリがマシンで後れを取っているエリアが機械的なモノなのか、空力的なモノなのかについては言及を避けた。そして、フェラーリはレッドブルに大きく先行される現状について「強気でいてはいけない」と語りながらも、マシンの挙動が安定してきたことでチームが正しい方向へ一歩踏み出せたと考えている。

「全体的に見れば、彼らは我々より速かったし、我々が強気でいてはいけない」とバスールは言う。

「そしてそれが空力的な理由なのか、機械的な理由によるモノなのかを理解するのは、また別のことだ」

「今のところ、明らかなのは我々が一貫性に苦しんでいるということ。それは今週末（アゼルバイジャンGP）も同じで、ラップもコーナーもレースも全てそうだ。でも、今回はよりマシンが安定していたし、正しい方向に向かっていると思う」

　またフェラーリが分析を進めるのが、レッドブルが大きなアドバンテージを持つDRSのトリック。アゼルバイジャンGPを短縮化されたDRSゾーンで他チームがオーバーテイクに苦労する中、レッドブルはストレートでフェラーリを抜き去ることができた。

「今回のレッドブルの強さのひとつは、明らかにDRSの効果だ。彼らが何をしているかを理解する必要があるし、我々はそれに取り組んでいる」

　またスプリント形式のグランプリでは、セットアップ変更が可能なフリー走行が1時間しかないため、アップデートの効果テストを行なったり、既存パッケージから最大限のポテンシャルを引き出したりすることも難しい。

　アルピーヌはアゼルバイジャンGPで今季初の大型アップデートを投入したが、フリー走行から信頼性トラブルが多発したことで、ピエール・ガスリーとエステバン・オコンの週末は連鎖的に崩れていった。またマクラーレンもアップデートから期待されたパフォーマンスを最大限に引き出すのが難しいと考えていた。

　フェラーリのバスールも、スプリント形式の導入によって、どのグランプリでアップデートを展開するか再考するようになったと考えている。

「この週末は、私が考えるようなポテンシャルを引き出すのが難しい」とバスールは言う。

「このフォーマットでマシンにアップデートを投入するのは難しいが、それは誰にとっても同じことでゲームの一部だ」

「今後のイベントではその点を考慮する必要があるというのは事実だ。モナコはマシンを開発する場所としては適していないから、小さなアップデートを投入するに留まるだろう」

「このフォーマットは、チームに大きなアップデートを持ってくるのではなく、小さなアップデートを投入するよう促すモノだ」