フェルスタッペン、25歳で既に2冠もレッドブルで過ごした”我慢の5年”。タイトルへの大躍進は「ホンダが加わってから」
今では2度のF1チャンピオンとなったマックス・フェルスタッペンだが、レッドブル加入当初はメルセデスの後塵を拝し続けた。しかし、それによって「強い忍耐力を得た」と語っている。
2度のF1世界チャンピオンであるレッドブルのマックス・フェルスタッペンは、F1タイトルへ挑戦するチャンスを手にするまでには時間を要したが、それによって「強い忍耐力を得た」と語っている。
元F1ドライバーを父に持ち、史上最年少17歳という若さで2015年にF1デビューを果たしたフェルスタッペン。2016年のスペインGPでトロロッソ(現アルファタウリ)からレッドブル・レーシングへスピード昇格すると、その加入1戦目でいきなり優勝を掴んでみせた。
しかしこのF1での1勝目もメルセデスの同士討ちがあっての結果。2014年に現行のパワーユニット(PU)レギュレーションへ以降してから数年は、メルセデスの支配が続き、フェラーリがライバルとしてタイトル争いに挑んでいた。
一方で、2010年から2013年までコンストラクターズタイトル4連覇を果たしていたレッドブルは、搭載するルノー製カスタマーPUのパワーと信頼性の面で劣っていたこともあり、トップ2チームに太刀打ちできずにいた。
フェルスタッペンはその間、時折勝利を手にすることはできたものの、マシンから最大限のスピードを引き出す予選でポールポジションを獲得するには2019年ハンガリーGPまで待つ必要があった。
レッドブルがメルセデスにマシンパフォーマンスで肩を並べたのは2021年。フェルスタッペンとメルセデスのルイス・ハミルトンが毎戦のように互角の勝負を繰り広げた末に、フェルスタッペンが初戴冠。テクニカルレギュレーションが刷新された2022年はレッドブルが大差でダブルタイトルを獲得した。
2023年もレッドブルの勢いは止まらず、開幕から5連勝を飾っている。
今でこそ3連覇達成の可能性も強まっているフェルスタッペンだが、苦戦するレッドブルで5シーズンを過ごしたことで、忍耐力を得たと語っている。
レッドブルのプロジェクトに対して疑問を抱いたことはあるか、そうフェルスタッペンに尋ねると彼は次のように答えた。
「疑問はなかったけど、忍耐強くいる必要があるんだ」
「僕は年を重ね、強い忍耐力を得ることができたと思う。でも、僕は常にこのプロジェクトを信じていたんだ。みんなが働いている姿を見て、彼らが本当にトップへ返り咲きたいという意思を感じていたからね」
「無理強いすることはできないし、僕らは当時3番手のチームだった。『今すぐ勝たないと』とは言えない。その過程で何人かがチームに入り、何人かが別の場所へ行く。それで良いグループに仕上がっていくんだ」
Max Verstappen, Red Bull Racing
Photo by: Red Bull Content Pool
レッドブルは2014年以降、うだつの上がらないルノー製カスタマーPUに不満を隠さず、両者の関係は次第に悪化していった。
苦境打開の一手として、レッドブル側が目を向けたのはホンダ。2018年から姉妹チームのトロロッソがマシンにホンダPU搭載を開始し、パフォーマンスの伸び代が充分と見たレッドブル・レーシングも2019年からホンダPUユーザーとなった。
フェルスタッペンは、チームが「前に進みだした」と感じたのはルノー製PUからホンダ製PUに乗り換えて以降だという。しかし、2015年から2017年までマクラーレンと組み、パワー・信頼性共に酷評されていたホンダに懸けるというギャンブルにはリスクもあった。
「ある時点、あるシーズンとあるシーズンの間で一気に前進したんだ」とフェルスタッペンは言う。
「もちろん、後になってから『こうなるって分かっていたんだ』などと言うのは簡単だ。でも、どうなるかなんて分からないものだ」
「でも僕は、僕らが何かに向かっていると感じていたから、自分たちのプロセスを信じていたんだ」
「PUの契約が決裂しかけて、苦戦を強いられたシーズンが何年かあった。それなりに良いパッケージを手にしていたことがあっても、僕らは最高速で劣っていたんだ。それによって、本当のポテンシャルを発揮するのがかなり難しくなっていたんだ」
「そしてホンダが加わって、また少しずつ前進していった。でも、それから1年経つ頃には、僕らはかなりの競争力を手にしていたんだ。見ていてかなり楽しかったよ」
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