表彰台を逃したフェルスタッペン&ルクレール、滑りやすい路面に経験不足が露呈?
F1のモータースポーツ面のマネージングディレクターを務めるロス・ブラウンは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)のふたりは、トルコGPで経験不足を露呈したと考えている。
Max Verstappen, Red Bull Racing RB16, Charles Leclerc, Ferrari SF1000
Charles Coates / Motorsport Images
急遽開催されることが決まった今年のF1トルコGP。2011年以来、実に9年ぶりの開催となった同グランプリだが、特殊な状況に各チームが翻弄されることになった。
グランプリ開催直前に路面の再舗装が行なわれたため、開催当日になっても路面にはまだ油が浮いている状態で、滑りやすいコンディションとなっていた。しかも路面のアスファルトは、以前は粗かったモノが、再舗装により実にスムーズになった。
高速のロングコーナー”ターン8”があり、さらに路面が粗いはずのトルコに向けて、ピレリは最も硬いタイヤ3種類を持ち込んだ。しかし実際の路面状況は予想とはあまりにも違い過ぎ、持ち込まれたタイヤとはまったくマッチしなかった。そのため、金曜日の走行開始から、各ドライバーはグリップを得ることができず、ラップタイムは予想よりも大幅に遅いモノだった。
その後、土曜日には雨が降り、しかも低温……滑りやすい路面、雨、低温と、グリップの発揮を阻止する要素が次々に重なり、攻略が実に難しいコンディションになった。
こういうコンディションで強さを見せたのは、経験豊富なドライバーたち。優勝したルイス・ハミルトン(メルセデス)を筆頭に、セルジオ・ペレス(レーシングポイント)、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)と、長くF1で戦ってきた面々が上位を占めた。
一方で近年目覚ましい活躍を見せる若手、シャルル・ルクレール(フェラーリ)やマックス・フェルスタッペン(レッドブル)らは、表彰台を逃すことになった。
F1のモータースポーツ面のマネージングディレクターを務めるロス・ブラウンは、今回のレース結果は、ルクレールやフェルスタッペンの経験不足を露呈させたものだと考えているようだ。
「我々が目にしたのは、豊富な経験を持つドライバーたちと、もう少し学ぶことがあるドライバーたちがいるということだと思う」
ブラウンはF1公式サイトに掲載されたコラムの中で、そう語った。
「今週末のセバスチャンのパフォーマンスは、魅力的だった」
「彼には大いなる才能があるということを、日曜日に思い出させてくれた。彼は今年、シャルルの陰に隠れてしまっていた。そんな中でフェラーリとの関係を終えるというのは、簡単なことではないだろう。そういう意味でトルコGPは、彼にとっては素晴らしい1日だったと思う。彼は歩みを間違えることなく、チャンスが訪れたときに前を急襲する準備を整えていた」
「対照的にシャルルやマックスといった若いドライバーたちはミスを犯した。彼らはこれまで、今回のようなレースを経験したことはなかっただろう」
「タイヤがどう機能するかということを判断するのは、本当に難しかったはずだ。そして10〜20周後のラップタイムがどうなるのか、それを予測するのも難しかった。彼らはここで、それを経験することになったのだ」
「しかし今回のことは、若いドライバーたちのデータバンクのひとつの基準にはなったはずだ。もし明日トルコで再びレースがあるのなら、彼らの多くは異なるアプローチをすることになるだろうと確信している」
イスタンブールパークの滑りやすい路面は、多くの批判に晒されている。しかしブラウンは、この路面があったからこそ、ドライバーたちが自らの才能を”最大限に”披露することができたと主張する。
「プロモーターと国(トルコ)は、このサーキットをセンセーショナルなグランプリを開催するべく、素晴らしい仕事をした」
「ドライバーたちが、全体的にグリップレベルに満足していなかったということについては承知している。しかしこれは、新型コロナウイルスのために開催カレンダーが改定されたため、ここでレースをするという決定が遅れたが故にもたらされた結果だ」
「誰が一線を最初に超えるかという戦いであることを、ドライバーたちは覚えておく必要があると思う。確かにグリップレベルは高くなかった。でもそれは、誰にとっても同じだった」
「何人かのドライバーはその意見に同意し、そして集中した。しかしその一方で、そのコンディションは気を紛らわすモノだと感じていたんだ」
「この週末のようにチャレンジングな路面のグランプリがあるということは、悪いことじゃない。今回のことは、ドライバーの才能を最大限に発揮した。グリップレベルがどうなのかということは、彼らが戦う競争自体のレベルを測るモノではないと思う」
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