フェルスタッペン、”陰謀論”騒動受けてヘイト撲滅訴える「改善にはソーシャルメディア運営側の協力が不可欠」

　レッドブル・レーシングとその戦略担当責任者であるハンナ・シュミッツ、そして姉妹チームのアルファタウリは前戦オランダGP終了後、マックス・フェルスタッペン優勝を後押しするためにアルファタウリ所属の角田裕毅のリタイアを共謀したという荒唐無稽な陰謀論が一部のファンから向けられることとなった。

　フェルスタッペンはこうした事態に対して、ソーシャルメディア運営サイドが”荒らし”行為やヘイトスピーチにより対処してきくべきだと語っている。

　オランダGPでは、角田が2回目のピットストップを終えた後にマシントラブルを訴え、チームのトラブル発見が遅れたことで2度に渡りコース上で角田はマシンをストップ。これによりバーチャル・セーフティカー（VSC）が提示されることとなった。

　フェルスタッペンには前戦ベルギーGPほどのマシンアドバンテージはなく、レッドブルと異なる1ストップ戦略に賭けたメルセデスが優勝を掴む可能性が浮上していた。

　そうした中でVSCが出されたことでフェルスタッペンは結果的に得をする形となったため、アルファタウリがレッドブルを意図的に助けようとしたという説が唱えられたのだ。

Yuki Tsunoda, AlphaTauri AT03

Photo by: Red Bull Content Pool

　この陰謀説はソーシャルメディア上を駆け回り、レッドブルの戦略担当であるシュミッツには誹謗中傷が向けられた。こうした事態を受け、アルファタウリはレース後に、強い口調の声明を発表している。

「我々のチームや、レッドブル・レーシングの戦略責任者であるハンナ・シュミッツに向けられた言葉やコメントの数々を読んで、信じられないほど失望している」

「このような憎悪に満ちた行動は許されないし、卑怯な言いがかりは容認できるものではなく、真実でもない。ハンナと我々双方に対して無礼極まりないモノだ」

「我々は完全に独立し、公正かつ最高レベルの敬意とスポーツマンシップを持って競技に臨んできた」

「ユウキは（マシンに）トラブルを抱え、チームもすぐにそれを発見できず、それが原因でコース上に止まることとなった。これと異なるモノを示唆する行為は、侮辱的であり断じて間違っている」

　フェルスタッペンもアルファタウリの姿勢に賛同。一部のファンが取った行動は「馬鹿げている」と批判した。

　そしてイタリアGPを前に、彼は次のように語った。

「正しくないことだ。彼らが声明を出し、一連の事態に対処できたことには嬉しく思う」

「でも結局のところ、こういうことはそもそも起こってはならないことなんだ。まず、こういうことを考えること自体が、既に馬鹿げている」

「どうしたらこのスポーツでそんなことが可能だと思うんだろうか？　どうして個人が嫌われるのか？」

「どうしてそんなことできるのか、僕には全く理解できない」

Max Verstappen, Red Bull Racing RB18

Photo by: Erik Junius

　そしてフェルスタッペンは、誹謗中傷を行なった者を排除するためにソーシャルメディアの運営側がもっと努力する必要があるとして、状況の改善を求めている。

「ソーシャルメディア上で全てがオープンになると、誰もが好き勝手なことを言えるようになる。それが問題だ」とフェルスタッペンは続ける。

「ヘイトにはもっともっと対処されるべきだ。これらの（ソーシャルメディア）企業は少しは力を入れているけど、まだ不十分だ」

「他のアカウントを作って、そのまま続けることもできる。たとえIPアドレスをブロックされても、彼らは他の手段を見つけるくらいには”賢い”んだ。それに対してこれまでとは異なる解決策が絶対に必要だ」

「ソーシャルメディアは成長しているし、全体的には素晴らしいモノで、素晴らしいツールだ。でも、かなりネガティブな部分もあるよね」 

　レッドブルは、シュミッツとウィル・コートニーのローテーション体制でストラテジーグループを回している。そのためシュミッツはイタリアGPを欠場することにはなるが、フェルスタッペンは彼女に全幅の信頼を置いている。

　一連の騒動についてシュミッツと話をしたかと訊かれたフェルスタッペンは次のように答えた。

「ハンナは強い人だし、自分が何をしているのかを理解している。そのために直接話す必要はない」

「ハンナは今回ここにいないけど、彼女と会った時には、もしかしたらその話題に触れるかもしれない。けど、ここの人たちは非難を受けるべきじゃないし、僕らもあまり注意を向けるべきじゃない」