F1
フェルスタッペンは最凶のチームメイトクラッシャー? 過去チーム内対戦成績から見る。リアム・ローソンにも“魔の手”が……
レッドブルのセカンドシートは、F1で最も難しい役割のひとつと言われている。マックス・フェルスタッペンは4度のF1世界チャンピオンに輝く旅路の中で、多くのチームメイトを破ってきた。今年はリアム・ローソンがその高い壁に立ち向かっている。
滑川 寛
公開日時: 2025/03/27 3:25
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Max Verstappen, Red Bull Racing
写真:: Red Bull Content Pool
レッドブルのマックス・フェルスタッペンは2025年でF1に参戦してから10年目を迎えた。これまでに63勝と112回の表彰台、なにより4度のドライバーズタイトルを手中に収めてきた。
フェルスタッペンの圧倒的な成功の歴史は、同時にそのチームメイトの敗北の歴史でもある。チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーも、フェルスタッペンのチームメイトを務めることはF1で最も難しい役割のひとつだと常々口にしてきた。
2025年シーズンはリアム・ローソンがレッドブルのセカンドシートに座っているが、成績不振により開幕直後から早くも更迭の噂も立っている。フェルスタッペンに立ち向かってきた歴代チームメイトの戦績はどうだったのか? その中で誰が最も肉薄できていたか? 時系列順に紹介する。
そこからはシーズンを経て成長する時代の寵児がいかに手のつけられない存在になっていったか、そしてフェルスタッペン中心のチーム体制の中でいかにドライバーたちがもがいてきたかが見えてくる。
カルロス・サインツJr.(トロロッソ)
2015年シーズン(19レース)
**予選対決|**サインツJr.(10):フェルスタッペン(9)
**決勝対決|**サインツJr.(7):フェルスタッペン(10)
**ポイント獲得|**サインツJr. 18点(完走したレースのうち36.8%で入賞):フェルスタッペン49点(完走したレースのうち52.6%で入賞)
**ポールポジション|**サインツJr. 0回(0%):フェルスタッペン0回(0%)
**表彰台|**サインツJr. 0回(0%):フェルスタッペン0回(0%)
**レース勝利|**サインツJr. 0勝(0%):フェルスタッペン0勝(0%)
2015年シーズンのF1はフェルスタッペンにとっても、現在はウイリアムズに所属するカルロス・サインツJr.にとってもルーキーシーズン。マシンもフェルスタッペンのスタイルに合わせて作られていたわけではない。そういう意味では、トロロッソ(現在のレーシングブルズ)にはフェアな条件が整っていた。
開幕戦オーストラリアGPではサインツJr.が9位入賞。フェルスタッペンがエンジントラブルでリタイアを強いられた。予選成績では互角ながらフェルスタッペンを制したサインツJr.だったが、決勝ではトラブルに見舞われることも多く最終的なリザルトでは後塵を拝した。
2016年シーズン(4レース)
**予選対決|**サインツJr.(1):フェルスタッペン(2)
**決勝対決|**サインツJr.(2):フェルスタッペン(2)
**ポイント獲得|**サインツJr. 4点(完走したレースのうち50%で入賞):フェルスタッペン13点(完走したレースのうち75%で入賞)
**ポールポジション|**サインツJr. 0回(0%):フェルスタッペン0回(0%)
**表彰台|**サインツJr. 0回(0%):フェルスタッペン0回(0%)
**レース勝利|**サインツJr. 0勝(0%):フェルスタッペン0勝(0%)
2016年シーズンは、フェルスタッペンが4戦を終えてメインチームに昇格したため、サインツJr.とフェルスタッペンがチームメイトとして対戦したのはたった4戦のみ。決勝ではどちらも1度リタイアを経験しているが、ポイント獲得数ではフェルスタッペンが上回った。
ダニエル・リカルド(レッドブル)
2016年シーズン(17レース)
**予選対決|**リカルド(11):フェルスタッペン(6)
**決勝対決|**リカルド(10):フェルスタッペン(7)
**ポイント獲得|**リカルド220点(完走したレースのうち100%で入賞):フェルスタッペン191点(完走したレースのうち82.4%で入賞)
**ポールポジション|**リカルド1回(5.9%):フェルスタッペン0回(0%)
**表彰台|**リカルド8回(47.1%):フェルスタッペン7回(41.2%)
**レース勝利|**リカルド1勝(5.9%):フェルスタッペン1勝(5.9%)
フェルスタッペンがシーズン途中からレッドブルに昇格した2016年シーズン。終わってみれば、ダニエル・リカルドと1勝ずつを分け合うという形だったが、フェルスタッペンはレッドブルでのデビュー戦となったスペインGPを制した。当時は18歳227日……F1での最年少優勝記録を大きく塗り替えた。
対峙したリカルドは、レッドブル昇格初年度となる2014年に4度の世界チャンピオンであるセバスチャン・ベッテルを下しているドライバー。フェルスタッペンとしても一筋縄ではいかなかった。予選成績や決勝成績では経験豊富なリカルドに敗れたフェルスタッペンだったが、この年、F1界に強烈なインパクトを残したことは間違いない。
2017年シーズン(20レース)
**予選対決|**リカルド(7):フェルスタッペン(13)
**決勝対決|**リカルド(9):フェルスタッペン(11)
**ポイント獲得|**リカルド200点(完走したレースのうち100%で入賞):フェルスタッペン168点(完走したレースのうち65%で入賞)
**ポールポジション|**リカルド0回(5.9%):フェルスタッペン0回(0%)
**表彰台|**リカルド9回(45%):フェルスタッペン4回(20%)
**レース勝利|**リカルド1勝(5%):フェルスタッペン2勝(10%)
レッドブルは2017年シーズン、信頼性トラブルなどに見舞われ、全体として苦戦を強いられた。フェルスタッペンも序盤は多くのリタイアを強いられた。
合計獲得ポイント数では、表彰台獲得回数の多いリカルドがフェルスタッペンを上回ったものの、予選成績・決勝成績、レース勝利数ではフェルスタッペンが上回った。レッドブル2年目にして、互角かそれ以上のスピードを示し始めた。
2018年シーズン(21レース)
**予選対決|**リカルド(4):フェルスタッペン(14)
**決勝対決|**リカルド(5):フェルスタッペン(14)
**ポイント獲得|**リカルド170点(完走したレースのうち61.9%で入賞):フェルスタッペン249点(完走したレースのうち81%で入賞)
**ポールポジション|**リカルド2回(9.5%):フェルスタッペン0回(0%)
**表彰台|**リカルド2回(9.5%):フェルスタッペン11回(52.4%)
**レース勝利|**リカルド2勝(9.5%):フェルスタッペン2勝(9.5%)
2018年シーズンはフェルスタッペンとリカルドのチームメイト対決の転換点とも言える。シーズン序盤はフェルスタッペンが荒れる一方でリカルドが2勝を上げた。アゼルバイジャンGPでは過度なディフェンスを展開したフェルスタッペンにリカルドが突っ込むという、やってはいけない同士討ち。予選でフェルスタッペンがクラッシュした傍ら、リカルドがポールトゥウィンを果たしたモナコGPも、ふたりの当時の状況を象徴していた。
ただ、それ以降リカルドに技術的なトラブルが相次いだこともあり、フェルスタッペンはポールポジション獲得回数や勝利数を除き、チームメイト対決を制した。そして2018年を最後にリカルドはレッドブルを離れ、ルノーへと移籍した。
ピエール・ガスリー(レッドブル)
2019年シーズン(12レース)
**予選対決|**ガスリー(1):フェルスタッペン(11)
**決勝対決|**ガスリー(1):フェルスタッペン(11)
**ポイント獲得|**ガスリー63点(完走したレースのうち75%で入賞):フェルスタッペン181点(完走したレースのうち100%で入賞)
**ポールポジション|**ガスリー0回(0%):フェルスタッペン1回(5.3%)
**表彰台|**ガスリー0回(0%):フェルスタッペン5回(26.3%)
**レース勝利|**ガスリー0勝(0%):フェルスタッペン2勝(10.5%)
リカルドがチームを離れたことで、レッドブルはフェルスタッペンのチームメイトとしてトロロッソからピエール・ガスリー(現在はアルピーヌ)を起用した。12レースのうち9レースで入賞を果たしたものの、この間にフェルスタッペンが2勝をマークした一方で、ガスリーは表彰台もゼロ……ハンガリーGPを最後にガスリーはトロロッソへと降格させられることとなった。
アレクサンダー・アルボン(レッドブル)
2019年シーズン(9レース)
**予選対決|**アルボン(1):フェルスタッペン(8)
**決勝対決|**アルボン(4):フェルスタッペン(5)
**ポイント獲得|**アルボン76点(完走したレースのうち88.9%で入賞):フェルスタッペン97点(完走したレースのうち77.8%で入賞)
**ポールポジション|**アルボン0回(0%):フェルスタッペン4回(21.1%)
**表彰台|**アルボン0回(0%):フェルスタッペン5回(26.3%)
**レース勝利|**アルボン0勝(0%):フェルスタッペン1勝(5.3%)
ガスリーの代わりとして2019年シーズン途中からレッドブルで起用されたのが、アレクサンダー・アルボン(現在はウイリアムズ)。この年は9戦をフェルスタッペンの隣で戦い、堅実にポイントを稼いだ。勝利や表彰台こそなかったが、ブラジルGPで当時メルセデスに所属していたルイス・ハミルトン(フェラーリ)に接触されるまでは表彰台圏内を走行しており、翌年もメインチームに残ることが決まった。
2020年シーズン(17レース)
**予選対決|**アルボン(0):フェルスタッペン(17)
**決勝対決|**アルボン(5):フェルスタッペン(12)
**ポイント獲得|**アルボン105点(完走したレースのうち70.6%で入賞):フェルスタッペン214点(完走したレースのうち70.6%で入賞)
**ポールポジション|**アルボン0回(0%):フェルスタッペン1回(5.8%)
**表彰台|**アルボン2回(11.8%):フェルスタッペン11回(64.7%)
**レース勝利|**アルボン0勝(0%):フェルスタッペン2勝(11.8%)
前年度はシーズン途中からの合流ながら徐々にフェルスタッペンにも迫っていったアルボンだったが、2020年シーズンは大いに苦戦。ムジェロでは初の表彰台を獲得し、続くバーレーンでも3位に入ったが、フェルスタッペンの11回という記録には遠く及ばず。フェルスタッペンが2勝を挙げたこともあり、獲得ポイントではダブルスコアをつけられた。
セルジオ・ペレス(レッドブル)
2021年シーズン(22レース)
**予選対決|**ペレス(2):フェルスタッペン(20)
**決勝対決|**ペレス(3):フェルスタッペン(19)
**ポイント獲得|**ペレス190点(完走したレースのうち72.7%で入賞):フェルスタッペン395.5点(完走したレースのうち86.4%で入賞)
**ポールポジション|**ペレス0回(0%):フェルスタッペン10回(45.5%)
**表彰台|**ペレス5回(22.7%):フェルスタッペン18回(81.8%)
**レース勝利|**ペレス1勝(4.5%):フェルスタッペン10勝(45.5%)
レッドブルはそれまで独自のドライバー育成プログラム上がりの若手ドライバーをメインチームに引き上げるという方針を取ってきたが、2021年にはベテランのセルジオ・ペレスを起用した。
レッドブル加入初年度のペレスはフェルスタッペンまでとはいかないものの、5回の表彰台を獲得。アゼルバイジャンGPではフェルスタッペンがアクシデントで姿を消す中で勝利を持ち帰り、最終戦アブダビGPではフェルスタッペンの初のドライバーズタイトル獲得に貢献した。長年入れ替わりの激しかったレッドブルのセカンドシートがようやく安定するかと思われた。
2022年シーズン(22レース)
**予選対決|**ペレス(5):フェルスタッペン(17)
**決勝対決|**ペレス(5):フェルスタッペン(17)
**ポイント獲得|**ペレス305点(完走したレースのうち86.4%で入賞):フェルスタッペン454点(完走したレースのうち90.9%で入賞)
**ポールポジション|**ペレス1回(4.5%):フェルスタッペン7回(31.8%)
**表彰台|**ペレス11回(50%):フェルスタッペン17回(77.3%)
**レース勝利|**ペレス2勝(9.1%):フェルスタッペン15勝(68.2%)
2022年からF1には現行のグラウンドエフェクトレギュレーションが導入された。表彰台獲得数やレース勝利数では、ドライバーズタイトル2連覇を達成したフェルスタッペンには及ばなかったペレスだが、モナコGPとシンガポールGPを制した。キャリア初ポールポジションを達成したのもこのシーズンだ。
2023年シーズン(22レース)
**予選対決|**ペレス(5):フェルスタッペン(19)
**決勝対決|**ペレス(2):フェルスタッペン(20)
**ポイント獲得|**ペレス285点(完走したレースのうち86.4%で入賞):フェルスタッペン575点(完走したレースのうち100%で入賞)
**ポールポジション|**ペレス2回(8.7%):フェルスタッペン12回(52.2%)
**表彰台|**ペレス9回(39.1%):フェルスタッペン21回(91.3%)
**レース勝利|**ペレス2勝(8.7%):フェルスタッペン19勝(82.6%)
レッドブルは2023年シーズンに22戦中21勝という圧倒的な成績を残した。このうち、フェルスタッペンが19勝。ペレスは2勝に留まった。
シーズン序盤、ペレスは予選Q3進出を逃すグランプリも多く、予選成績、決勝成績、ポイント獲得数、ポールポジション獲得数、表彰台獲得数、レース勝利数全てでフェルスタッペンに負け越したが、それまでのセカンドドライバーが果たせなかったランキング2位を手に入れることができた。その点では、チームに最大限の貢献ができたと言える。
2024年シーズン(24レース)
**予選対決|**ペレス(1):フェルスタッペン(23)
**決勝対決|**ペレス(1):フェルスタッペン(23)
**ポイント獲得|**ペレス152点(完走したレースのうち66.7%で入賞):フェルスタッペン437点(完走したレースのうち95.8%で入賞)
**ポールポジション|**ペレス0回(0%):フェルスタッペン14回(58.3%)
**表彰台|**ペレス4回(16.7%):フェルスタッペン14回(58.3%)
**レース勝利|**ペレス0勝(0%):フェルスタッペン9勝(37.5%)
2024年シーズンのレッドブルは、序盤こそ前年度の勢いをそのままドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルを難なく獲得するかと思われた。
フェルスタッペンが開幕から勝利を重ねる中、ペレスも連続表彰台を続けていたが、ライバルが台頭しレッドブルが徐々に苦戦を強いられるようになるとペレスは低迷。予選からペースが上がらず、決勝でも表彰台圏内まで盛り返すことができないというレースが続いた。最終戦アブダビGPではクラッシュで終了。レッドブル離脱と共にF1キャリアに幕を下ろすこととなった。
リアム・ローソン(レッドブル)
2025年シーズン(※)
**予選対決|**ローソン(0):フェルスタッペン(2)
**決勝対決|**ローソン(0):フェルスタッペン(2)
**ポイント獲得|**ローソン0点(完走したレースのうち0%で入賞):フェルスタッペン36点(完走したレースのうち100%で入賞)
**ポールポジション|**ローソン0回(0%):フェルスタッペン0回(0%)
**表彰台|**ローソン0回(0%):フェルスタッペン1回(50%)
**レース勝利|**ローソン0勝(0%):フェルスタッペン0勝(0%)
※第2戦中国GP終了時点
レッドブルはペレスに代わって2025年からローソンを起用。チーム自体の苦戦もさることながら、開幕2戦ではローソンがフェルスタッペンに対して全く歯が立たないというレースが続いている。F1スプリントの成績はリストに含めていないものの、予選成績ではここまで18番手、20番手、20番手。レッドブルのどのドライバーも経験したことのない2回連続の最下位グリッドを獲得した。
こうした成績から、早くもレッドブル更迭説が浮上しており、レーシングブルズで好調を続ける角田裕毅が代わりに起用されるのではないかと言われている。
ローソンは早ければ日本GPにもレッドブルのシートを喪失するとも報じられており、そうなればフェルスタッペンのチームメイト史上最も早い解雇となる。
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