フェルスタッペンの”3位を奪った”ペナルティ。最も判断が難しかった一件?

F1のスチュワードであるギャリー・コネリーは、2017年アメリカGPでレッドブルのマックス・フェルスタッペンに科したペナルティは、これまでの判断で最も難しいもののひとつだったと語る。

フェルスタッペンの”3位を奪った”ペナルティ。最も判断が難しかった一件?
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 土曜日に行なわれたFIAのWeb会議で、F1のスチュワードを務めるギャリー・コネリーが自身のキャリアで最も判断が難しかったレースについて発言。2017年アメリカGPで、レッドブルのマックス・フェルスタッペンに科したペナルティは、覚悟の上での発出だったと明かした。

 サーキット・オブ・ジ・アメリカズで行なわれた2017年アメリカGP。フェルスタッペンは最終ラップでキミ・ライコネン(当時フェラーリ)をオーバーテイクし、3番手でチェッカーを受けた。

 しかしスチュワードは、ライコネンを抜いた際にコース外を走行したとして、フェルスタッペンに5秒加算ペナルティを科した。これによりフェルスタッペンの最終順位は4位に後退。ライコネンが表彰台を手にした。

 このペナルティはファンの間で騒動を巻き起こし、当日のSNSは関連する投稿で溢れた。

 同GPでスチュワードを務めたコネリーが、2月6日(土)に行なわれたFIAのWebカンファレンスに登場。ペナルティなどの判断を下す際には、ポジションを失うことになるかもしれない当事者への影響を、常に考慮すべきだと語った。

「決断を下す際には、ペナルティを受ける側だけでなく、検討する側の責任もしっかりと示さなければいけない」

 そうコネリーは語った。

「影響を受ける人たちについても考えることが重要だ。私と、仲間のスチュワードを当惑させた、ひとつの例を示したいと思う」

「それは2017年のアメリカGPだった。そしてその決勝レースの最終ラップで、事件は起きた。マックス・フェルスタッペンは、キミ・ライコネンに対して素晴らしい動き、驚くべき動きを見せた。そして最後から3つ目のコーナーだったと思うが、彼(フェルスタッペン)がオーバーテイクを成功させた」

「そのレースではドライバー出身のスチュワードとして、ミカ・サロが同席していた。彼はコース上で何が起きたのか、非常に素早く見分けることができるのだ」

「彼はすぐに、マックスの動きは素晴らしいと私たちに言った。ただ彼はコーナーのイン側、コースから1メートル離れたところを走っていた。彼はオーバーテイクのためにコースを離れていたんだ」

「我々はビジョンを見直したが、それは明らかだった。見てから1分後に、それは間違いないことだと確信した」

「我々スチュワードにとっては、フェルスタッペンを3位表彰台から引き摺り下ろし、ライコネンと交代させなければいけなかったので、難しい決断だった」

 コネリーは、そのペナルティがSNSでもたらした騒動を思い出し、次のように語った。

「みなさんは多くの批判を浴びたことがあるだろうか?」

「我々は当時、オランダでは一番批判を浴びたし、世界中全てのレッドブルファンも同様だった。他の多くの人々も同様だった」

「しかし我々は、別の観点からもそのオーバーテイクを見直した。規則を守っていれば、マックスはキミを抜くことはできなかっただろう。つまり、別のドライバーが、正当な権利を奪われていたんだ」

「ルールを遵守するのは、非常に簡単だ。誰かを追い抜くために、コースから離れることはできない。コースを離れてアドバンテージを得ることはできないのだ。彼はコースから1メートル離れた所を走ってオーバーテイクを成功させ、4番手から3番手になったんだ」

「難しい決断になると、罰せられるかもしれない人のことを気の毒に思う」

「ただ、その動きによって影響を受ける、もう一方のドライバーのことも考えなければいけない」

 ただコネリーは、その日の決断については後悔していないと語った。

「それは私の心にずっと残っているものだ。おそらくあの一件は、私が同僚たちと共に決断を下さねばならなかった、最も難しい決断だった」

「しかし我々は、正しいことを信じている」

「今フェルスタッペンと話せば、それが正しい決断だったと、彼も同意するだろう」

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