「何年も前から」F1引退を考えていたベッテル、今は心が軽くなった? これまで語られなかった妻の“内助の功”にも言及

セバスチャン・ベッテルは、F1を引退するか否かについて長い間ずっと考えてきたとして、ようやくそれを公表できたことで今はリラックスできていると語った。

Sebastian Vettel, Aston Martin

 F1で4度のワールドチャンピオンに輝いたセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)は、先日開設したばかりのInstagramに動画を投稿し、2022年シーズン限りでのF1引退を発表。チームの首脳陣に引退を意向を伝えたのは、その前日だったという。

 ベッテルによると、ここ数週間は自分の将来について考えることでレースに100%集中できていなかったようで、彼は引退を発表した今、よりリラックスして残りのレースに臨めるとだろうと考えている。

 引退を決断したことで、モチベーションが下がってしまうのではないかと尋ねられたベッテルは、むしろその逆だと説明した。

「このことがこれからの10レースにおけるモチベーションに悪影響を与えるとは思わない。むしろ逆だと感じているんだ」とベッテルは言う。

「この決断については長い間ずっと考えてきた。正直エネルギーも使うし、時には少し集中できないこともあった。今は落ち着いているし、これからのレースが楽しみだ。僕が逆だと言ったのはそういうことなんだ」

 ベッテルは今もモータースポーツを愛しているとしたが、家族や外部の関係者からの“声”がこの決断に繋がったと語った。

 motorsport.comが、いつ、どのように引退を決めたのかを尋ねると、ベッテルは「まあ、何年も前からの話になるんだけどね」と話し、さらにこう続けた。

「一夜で決めたようなことではない。もちろん、最終的な判断をしたのは昨日で、その時にチームにもう続けないことを伝えた。でもこれまで色々と考えた末の決断だったんだ」

「だから、他のことをやるにはちょうどいい時期だと思う。これ(F1)をやるには、どれほど身を捧げないといけないかも分かっているし、なおかつそれは適切なやり方でやらないといけないと思っている。ここにいることで、それほど多くの喜びやモチベーションを感じなくなった」

 またベッテルは、現在アストンマーチンが上位争いをできるほどの位置にはないものの、チーム自体を高く評価しており、進歩できると協調した。

「優勝すること、上位で戦うことを常に目指してきた」とベッテル。

「ありがたいことに、これまで多くの素晴らしいマシンやチームに恵まれてきたからこそ、僕はたくさんのことを成し遂げることができた」

「“素晴らしさ”という点ではこのチームも引けをとらないと思うけど、やはり僕たちのパッケージは望んでいたほどは強力ではなかった。だから上位でレースはできていないけど、チームのスピリット、クオリティなど、あらゆるものが揃っていると思う。来年、再来年と進むにつれてチームは進歩すると思う」

「たださっきも言ったように、多くをそれに捧げるということは、時間も頭も使うし、家を離れることで家族や子供たちとも物理的に距離ができることになる。子供もまだ育ち盛りだし、そういう色んな見方をした時に、そういった声を無視することはできなかったんだ」

「つまるところ、そういった疑問が自分の中で少しずつ大きくなっていって、この決断に至ったんだ」

「0か100かという決断ではない。レースが嫌いになった訳でもないし、今も大好きだ」

「でも多くのものが僕を違う方向に引っ張ったんだ。これは僕が決断したことだし、後進に道を譲るということでもないけど、違う方を向くのも悪くない」

 ベッテルは自身のプライベートについて公に言及するのは稀であり、自身の家族や妻についても語られることはあまりなかった。しかし、妻であるハンナは、ベッテルがどんな決断をしようともサポートしてくれると彼は明かした。

「もちろん、妻とは時間をかけて話をした」とベッテルは言う。

「彼女は僕が(F1を)続けるということも支持してくれたし、最終的には僕の判断に任せると言ってくれた」

「僕の人生において、多くの喜びを与えてくれて、多くの人と出会わせてくれて、旅をして、色んなものを見て、視野を広げられる……そんな存在に出会えたことはとんでもなく幸運なことだ」

「もちろん、彼女にだって自分の考えはあるけど、それでも協力的でいてくれるんだ。だから最終的には『あなたが決めることであって、私が決めることではない』と言ってくれた」

 ベッテルは近年、環境問題に高い関心を持っているが、これが自身の考え方に影響を与えたことを認めている。

「確かにそれも要因のひとつだ。それが理由の何パーセントを占めるかは分からないし、愚問だと思うけどね」

「世界が変化し、僕たちの世代、そして特に次の世代にとって非常に危機的状況あるということを目の当たりにして、僕が情熱を持っている仕事は、世界を転戦してレーシングカーを走らせることで、文字通り資源を燃やしているんだと理解したんだ」

「このようなものを知ってしまったら、そして一度でも意識してしまったら、もう目をつむることはできない。このことが(引退を)主な要因という訳ではないし、色々な事の組み合わせの結果ではあるけど、決断の背景にあったもののひとつではあると思う」

 
 
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