クレーン車がコース上にある中でセッション開始。「許されざるミス」とベッテル
セバスチャン・ベッテルは、F1トルコGP予選でクレーン車がコース上にある状態でセッションを再開してしまったというFIAのミスについて、一切容認すべきではないと考えている。
写真:: Charles Coates / Motorsport Images
F1トルコGPの予選で起きたある出来事が波紋を呼んでいる。Q1でニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)がスピンし、ターン8でストップ。このマシンを回収するためにクレーン車が出動したが、ラティフィのマシンを吊り上げたクレーン車がバリアの向こう側に退避する前に、Q2が始まってしまったのだ。当該区間にダブルイエローが掲示される形で対処されたが、雨で滑りやすい路面であったことを考えると危険なシーンであったと言える。
F1レースディレクターのマイケル・マシは、「Q2が始まりコースインしたマシンがターン8に到着するまでにクレーンは撤収する」とレースオフィシャルから断言されたことがセッション再開に繋がったと説明した。しかしながらクレーン車がバリアの向こう側に移動するのには予想以上に時間がかかってしまった。
GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の理事を務めているフェラーリのセバスチャン・ベッテルは、このマシの説明に納得がいっておらず、F1ではこのようなミスが許されてはならないと発言した。
「僕たちは皆人間だから、ミスは起こり得る」とベッテルは言う。
「でもこのミスは許されざるミスなんだ。僕たちは皆それを十分認識していると思うし、今後このようなことは起こらないと信じている。でもこのことはしっかりと話し合って、理由を明らかにしていくよ」
ただこういったベッテルのスタンスとは裏腹に、マシはコースオフィシャルからの情報を基にこういった決断を下したことは「問題なかった」と考えている。
「クレーン車はバリアの開口部にかなり近付いていたし、そこに向かっていたんだ」とマシ。
「うまく事が進んで、コースが完全にクリアになるだろうと保証されていた。現地からの情報でそう保証されているからこそ心配していなかった」
「後から考えれば、何か違う事ができたかもしれない。しかし当時入手可能な全ての情報に基づいた結果、我々はああいった決断をしたんだ」
マシは今後同じようなミスを繰り返さないためにも、FIAは今回何が起こったのかを調査していくと語った。
「FIAとしては、発生した全てのインシデントを調査している」
「些細なことであっても、大きな事象であっても、セッション中のことでも、それ以外でもだ。起こった全ての出来事から学んでいく」
「そうしてできたハンドブックによって、我々は学びを続けていくんだ。週末の間に様々なことを学ぶチームと何ら変わりはない」
「何度も言っているように、我々としては安全が最優先であり、何かこれまでとは違う事が起きる度に学んでいくのだ」
ベッテルはこの件について、次戦バーレーンGPのドライバーズミーティングでマシと話し合いたいと考えているが、チームメイトのシャルル・ルクレールもこれに賛同。次のようにコメントした。
「クレーンの件に関しては、僕たち全員があれを見て少しショックを受けたと思う。こういったことを避けるために、おそらく次のブリーフィングで話し合うことになるだろう」
「同じようなシチュエーションで過去に何が起こったのか、言うまでもないだろう。つまり、これは起きてはいけないことだし、二度と起きないようにしなければいけない」
ルクレールが暗に言及しているのは、2014年の日本GPで起きたジュール・ビアンキの死亡事故だ。ビアンキはウエットコンディションの中行なわれた決勝レース中にコントロールを失い、コースオフ。ランオフエリアで別のマシンの回収作業をしていたクレーン車に激突した時に負った怪我が原因で命を落としている。
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