今も賛否が渦巻くF1新規則、王者ベッテルは“DNA”を失ってはいけないと警告「最速のマシンに乗った最速のドライバーが勝つべき」
セバスチャン・ベッテルは、新規則となったF1が「DNA」を失わないようにすべきだと考えている。
写真:: Simon Galloway / LAT Images via Getty Images
大規模に刷新された2026年のF1レギュレーションは、今のところドライバーやファンの間で賛否両論を呼んでいる。4度のF1世界王者であるセバスチャン・ベッテルは、F1が“DNA”を失わないことが重要だと語る。
今季の新規則が導入に至るまでの数年間でも、潜在的なリスクについて指摘する声もいくつか挙がっていたとはいえ、シーズンが開幕して実際のレースでの変化を多くの者が目の当たりにすると、ファンやドライバーから強い反発が起こった。
批判の根源となっているのは、パワーユニットにおける電動パワーの比重が大幅に高まったこと。エンジンと電気エネルギーの出力比がほぼ同等になった一方でバッテリー容量はほとんど変わっておらず、これがエネルギーマネジメントの重要性を極めて高いものにしている。それが常識を大きく揺るがし、これまでと全く違ったドライビングを求められるようになった。
ドライバーはエネルギーのハーベスティング(回生)とデプロイメント(発動)に集中せねばならず、それがパフォーマンスを左右する主要な要素のひとつとなっている。これが「純粋に攻めるドライビング」を損なっていると主張する声もある。その傾向は特に予選で顕著だが、決勝においても回生中のマシンとブースト中のマシンで大きな速度差が生まれるため、オーバーテイク時の安全性にも批判が広がっている。
かつては選手会組織のGPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の理事を務め、2022年を最後に現役を引退したベッテル。スウェーデンの放送局からこれらの批判について質問されると、自身もそういった懸念に共感するとして、F1全体に対して警鐘を鳴らした。
「競技の面で見れば、その批判は僕も同感だ。クルマ自体はおそらく乗っていて楽しいんだろうけど、レギュレーション的に色々と難しい部分があり、レースを走るのはそこまで楽しくないのかもしれない」
「だからドライバーたちの気持ちは分かるし、F1のDNAであり核となる部分……つまり最速のマシンに乗った最速のドライバーがレースに勝つという本質を失わないようにしなければならない」
F1を統括するFIAはすでに対応に動いており、チームやパワーユニットメーカーを含む関係者の間で長時間議論されたうえで、いくつかの技術規則の修正が承認された。
この変更により、スーパークリッピング(全開走行時のエネルギー回生)時の回生量上限が引き上げられ、大幅な減速を伴うリフト&コースト(アクセルオフによる惰性走行)への依存度が下がった。また予選アタック時のエネルギー回生量は引き下げられ、よりピュアな全開アタックに近付く方向となった。
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