F1 モナコGP

ベッテル、F1の”対”環境問題に提言「この素晴らしいテクノロジーが日常に貢献しているだろうか」

アストンマーチンのセバスチャン・ベッテルは、現行のF1用パワーユニットが、環境問題に貢献しているかどうかは「疑わしい」と考えている。

Pierre Gasly, AlphaTauri AT03, Sebastian Vettel, Aston Martin AMR22

 ここ最近環境問題に関心を寄せているセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)は、現在のF1で使われているパワーユニットが、地球環境に貢献しているかどうかは「疑わしい」と考えているという。

 ベッテルは環境や政治の問題に関心を寄せている現役F1ドライバーのひとりであり、環境を改善していく上でF1も大きな影響を与えられるようになるべきだと考えている。

 F1は2009年から運動エネルギー回生システム”KERS”を搭載。現在では運動エネルギーに加え、熱エネルギーも回生するようになっている。また、今季からはバイオエタノールを10%含んだE10と呼ばれる燃料を採用。今後も持続可能燃料の割合を増やしていく予定だ。

 しかしベッテルはこの状況について懐疑的な見方をしている。

「問題は、世界でも最も効率的なこのエンジンが、何をしているかということだ。人々の日常を助けたり、それに貢献したりしているだろうか?」

 そうベッテルは語る。

「このエンジンは何の手助けとなり、皆さんにどんなことをもたらすだろうか? そしてそれはどんなメリットがあるのだろうか? それは実に疑わしいと思っている。とても複雑な気分だ」

「魅力的なテクノロジーだと思う。誤解してほしくないんだけど、ファンとしても、そしてエンジニアリング的な観点としても、とても魅力的なモノだと思っている」

「しかしそれをどうやって一般の道を走る車に活かすのだろうか? ハイブリッドシステムを市販車に載せる以外に何かあるだろうか? 僕はあまりないと思う」

「だから正直にならなければいけない。正直になって、真実を語らなければいけない。それは実に重要なことだと思う」

 F1は現在、2026年から導入される次世代パワーユニットの規格を策定しているところだ。基本的には現行と同じターボハイブリッドになるものの、複雑かつ開発に巨額のコストがかかるMGU-H(熱エネルギー回生システム)が廃止されるのは確実だと見られている。

 ベッテルは、環境問題に対処するために、F1が必要なことを行なっているのかどうかを慎重に見極める必要があると示唆した。

「F1はしばらくの間、現行のエンジン(PU)を使い続けている。我々が提起しなければいけない問題は、それで十分なのかということだ」

 そうベッテルは説明した。

「僕たちは十分な仕事をできているのだろうか? 世界がどこに向かっているのか、そして気候の危機や崩壊を見ると、僕は十分にはやれていないと思う」

「そして特に、このガソリンを大量に使うスポーツを、どういう立ち位置においているのか……ガソリンを大量に使うというのは事実だからね。僕らは注目を浴びていると思う。そして僕らは、今以上のことをしなければいけない……十分にはできていないと思う。それが、今の答えだ」

 
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