【分析】超高速のモンツァで圧勝……レッドブルとフェルスタッペンは、今後も同じような強さを発揮できるのか? あるいは一時的な好成績だったのか?
レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、F1イタリアGPで驚きの勝利を収めた。今後もレッドブルは、同じような強さを見せることができるのか?
写真:: Mark Sutton / Formula 1 via Getty Images
今年のハンガリーGPを9位でフィニッシュするのが精一杯だったレッドブルのマックス・フェルスタッペン。このレース直後、多くの人は「今年レッドブルが優勝を争うことは、もうないだろう」と考えたはずだ。
しかし現実は異なっていた。フェルスタッペンはイタリアGP`で、圧倒的な勝利を収めたのだった。しかも今季最強と目されるマクラーレン勢に約20秒のリードを築いてだ。
このモンツァでのフェルスタッペンのパフォーマンスは、マクラーレンを含む多くのF1パドック関係者を驚かせた。そして多くの人が疑問に思った。このパフォーマンスは特殊なモンツァ特有のモノなのか? あるいは今後のレースでも同様のパフォーマンスを発揮するのだろうか? と。
「モンツァのためだけに、多くのことをやる。ウイングもモンツァのためだけだったり、セットアップもモンツァ向けだったり。昨年は非常に厳しかったが、スタッフは素晴らしい仕事で昨年のレースを分析し、非常に具体的な解決策を持ってここにやってきた」
レッドブルのチーム代表を務めるローレン・メキーズはそう語る。
「質問にお答えすると、今回はモンツァ特有の部分が大きいと考えている。新しいコンポーネント(フロアなど)とマシンの走らせ方から得た知見を他のサーキットにどれだけ活かせるか、それはバクーで分かるだろう」
今回の際立ったパフォーマンスの一部は、メキーズ代表の言うとおり、モンツァ特有のものだったのは間違いないだろう。彼らは昨年と異なり、極端に低いダウンフォースレベルが求められるモンツァに向け、特別なパッケージを用意した。しかも元々今季のレッドブルのマシン”RB21”は、低いダウンフォースレベルのサーキットでは、概して優れたパフォーマンスを発揮してきた。
フェルスタッペンも、同様の見解を示している。
「まだサーキットによって多少は左右されると思う。モンツァでは低いダウンフォースレベルで走る。低ダウンフォースから中程度のダウンフォースの時の方が、僕らのマシンは競争力があるように感じる。突然復活したわけじゃないし、毎週末同じように戦えるわけではない」
とはいえ、長い長い全開区間を持つバクーは、レッドブルにかなり適したサーキットであるかもしれないという点は、指摘しておくべきだろう。ただバクー市街地コースは、名前の通りストリートサーキット。RB21はバンプとストリートサーキットが弱点であると、フェルスタッペンも繰り返し述べている。つまり彼らにとってはプラスの部分とマイナスの部分を併せ持ったサーキットであるが、それでも全体的にはRB21向きのコースと言える。レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは、イタリアGPの前の時点からアゼルバイジャンを勝利の可能性があるサーキットとして挙げていた。
真の試練はその後、シンガポールということになるだろう。典型的なストリートサーキットであるシンガポールは、直線を直角コーナーで繋いだようなレイアウト。全開区間も短く、高速コーナーは皆無と言える。RB21には適さないサーキットであろう。
モンツァで学んだことは、バクーでも活きる?
Foto door: James Sutton / LAT Images via Getty Images
メキーズ代表は、レッドブルがモンツァでどのように「マシンを走らせたか」という部分についても言及している。これはチームが、イタリアGPの週末に「新しい哲学」と表現した内容に繋がっており、レッドブルはバクー以降もこの哲学を継続させたいと考えているようだ。
「ポジティブな点は、より競争力を高めるためにマシンをどうすべきか、少し理解が深まったように感じていることだ。だから今後のラウンドでも、この理解を活かせることを願っている。ただし、コースによってはコンディションが多少異なるだろう」
そうフェルスタッペンは認めた。
マルコ博士はモンツァで、シミュレータへの依存を減らし、ドライバーからのフィードバックをより重視すべきだと語った。そのことは、フェルスタッペンの発言と関連しているようだ。
「今の我々のアプローチは、シミュレータの数値に関わらず、マックスの経験とエンジニアの経験を融合させていくことだ」
そうマルコ博士は語った。
「テクニカルチームは以前よりもずっと開かれたモノになり、チーム全体で議論するようになった。だからシミュレータの数値に盲目的に従うことはもうない」
テクニカルディレクターのピエール・ワシェも、マシンのセッティングへのアプローチが、サマーブレイク後に若干変化したと語っている。
「マシンのセッティングの方向性が変わった。ザントフールトで既にその方向性を見出せたが、ダウンフォースレベルがまだ大きく異なり、我々にとってはあまり良いレベルではなかった。モンツァではさらに最適化を進め、他のサーキットでもそれが機能するかどうかを確認できると思う」
今後はシミュレーションツールへの依存を減らすことになるのかと問われると、ワシェは次のように語った。
「そうだね。利用可能なツールはすべて活用しているが、限界があることは承知している」
もしレッドブルが他のサーキットでもRB21の性能を最大限まで発揮することができれば、より高い競争力を手にすることになる。ワシェは毎回モンツァのような結果にはならないだろうとしながらも、一定の期待を抱いている。
「彼ら(マクラーレン)は明らかにとても速い。そして常に上位につけている。しかし昨年と比べて、少なくとも挽回することが重要だった。我々は昨年、モンツァで大いに苦戦したからね」
昨年はアゼルバイジャンでも、レッドブルは勝てなかった。しかしその苦戦の度合いは、モンツァでのレースほど深刻ではなかった。セルジオ・ペレスはレース終盤まで、表彰台争いを繰り広げていたのだ。まあそのチャンスは、レース最終盤にカルロス・サインツJr.(当時フェラーリ)と接触したことで潰えたわけだが……。しかもこのレースでは、マクラーレン勢のフレキシブルウイング論争が再燃するきっかけとなった1戦でもあった。
マルコ博士も、慎重ながらも前向きな姿勢を見せる。
「バクーをはじめとする高速サーキットに関しては、非常に楽観的に考えている。シンガポールだけは、このところ勝てていないレースだがね。通常、低速のサーキットでは少し難しい。しかしこの時期だからこそ、あらゆることが可能だと信じているんだ」
レッドブルは、オランダGPとイタリアGPで得た教訓が、RB21のセットアップウインドウを見つけるのに役立つことを期待している。たとえそれがいかに狭いモノであったとしてもだ。マシンのスイートスポットを見つけることができれば、RB21は長らく懸念されてきたほど劣るマシンではないのかもしれない。
それがさらなる成功に繋がるかどうかは、サーキットの特性とマクラーレン次第ということになろう。しかし、その存在感を示すことに繋がる可能性は十分にある。モンツァでのような圧倒的な強さを発揮し続けるだけの強さかどうかは分からないが、正しい軌道に乗りさえすれば、再び傑出した結果を発揮するのは決して不可能ではない。
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