F1ドライバー間で流行ってるモノってな〜んだ?「僕らはチェスにかなり夢中で、もう止まらない」とルクレール語る

F1ドライバーの多くが興じる趣味といえば、ゴルフやロードバイクが主に挙げられる。ただ2021年シーズン、ドライバー内で流行ったのは「チェス」だった。フェラーリのふたりを筆頭に「F1ドライバー・チェスクラブ」は勢力を拡大している。

F1ドライバー間で流行ってるモノってな〜んだ?「僕らはチェスにかなり夢中で、もう止まらない」とルクレール語る
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 世界的に大きな成功を収めているNetflixのオリジナルシリーズ『栄光のグランプリ(原題:Drive to Survive)』。2021年のアメリカGPでは延べ40万人の観客動員数を記録したように、その成功がF1に新たな風を吹き込んでいる。

 しかし、Netflixでこうした盛り上がりを見せているのは、F1だけではない。2020年10月に配信が開始されたアニャ・テイラー=ジョイ演じるチェスの天才少女が世界一に上り詰める様を描いたウォルター・テヴィス原作の『クイーンズ・ギャンビット』も、世界的なヒットを記録した。

 クイーンズ・ギャンビットの大ヒットにより、チェスへ対する世間の関心が大きく膨らんだ。ニューヨーク・タイムズによると、小売店でのチェス盤の売り上げは1000%の増加。世界最大級のオンラインチェスサイト「chess.com」への新規登録は通常の7倍にもなったそうだ。

 そして、チェスに強い興味をもっていたのはF1ドライバー達も例外ではない。彼らの中ではゴルフやロードバイクと並び、チェスが2021年シーズンで人気の趣味のひとつになっていた。

 中でも最も真剣にチェスへ興じていたのはフェラーリのシャルル・ルクレールとカルロス・サインツJr.の若手コンビだ。赤き跳ね馬の復活を担うふたりはチームメイトとして共にチームをコンストラクターズランキング3位に導いただけでなく、コース外でも仲の良さを見せている。今、マラネロには若々しくフレッシュな風が吹いているのだ。

 実際、ルクレールは幼少期よりチェスに馴染みがあったが、2021年シーズン開幕前のオフシーズンに彼とサインツJr.で何か遊ぶモノを探している内に、ふたりの“チェス熱”に火がついたという。

「実は長年好きだったんだ。子どもの頃からチェスが好きだったんだ」とルクレールは語る。

「年始めのメディアデーだったと思うけど、僕ら何をすればいいか分からなくてさ。僕が(アプリで)チェスをやっていたら、彼がそれを見ていて『OK、僕もそれダウンロードする』って言ったんだ」

「今年前半は、ふたりともかなり夢中になっていたね。対戦し合っていて……もう止まらなかったよ」

 特にサインツJr.としては、チェスが新たな趣味になったようだ。

「彼はシャルルとのチェスが大好きなんだ」

 2020年までマクラーレンでサインツJr.とチームメイトだったランド・ノリスはそう証言する。

「初めて(サインツJr.と)対戦した時は、多分僕が勝っていたと思う。それで僕はやめちゃったんだ! でも、彼は僕がウソをついているって言うだろうね……」

「彼はシャルルと、何時間も対戦していたよ。彼が今でもやっていたなんて僕は知らなかった」

 ルクレールとサインツJr.はオフシーズンのみならず、レース間のフライトからマシンから降りた後のセッション間、そしてベルギーGP決勝レースでの降雨による長時間の一時中断の際にも、スマートフォンのアプリでチェスに興じていたという。

 

 また、コース上でのバトル同様にチェスの腕前も拮抗しているという。9月に英オートスポーツの動画へ登場したルクレールとサインツJr.は、「チェスが上手で、勝っているのはどちらか」という議論を繰り広げた。

「今日のフライト中に対戦していて、2対2だったね」とサインツJr.はルクレールに言った。

「それで、君は5回戦目をやりたがらなかった。いずれにしても……僕の方が上手いね」

「いやいや、それはない」と答えたルクレールに対しサインツJr.は、「スパの一件を覚えているか?」と返し、ルクレールが“レースに集中するあまり”チェスで負けたと主張した。

 

「彼は夜にチェスをするのが得意なんだ。夜9時以降のレースから帰ってくるといつも、彼は上手になるんだ」とルクレールは語る。

「でも朝方から夕方にかけては、僕の方がずっと上手いね」

 しかし2021年、チェスに熱中していたのはルクレールやサインツJr.だけではない。ミック・シューマッハー(ハース)もまた、レース週末のセッション間など、暇さえあればチェスに興じるドライバーのひとりなのだ。

 シューマッハーはレース会場に“必需品”としてチェス盤を持ち込み、座ってプレイしながらリラックスする時間を得ている。シューマッハーが対戦する相手は、カイ・シュナプカ。彼はミックの父ミハエルのF1キャリア終盤を支えたフィジオで、ミックともジュニアカテゴリー時代から共に仕事をしている。

 シューマッハーは時折、元F1ドライバーのティモ・グロックと対戦しているが、フェラーリドライバーのふたりとはまだ対戦したことがないとのこと。

 ただ、シューマッハーがチェスを本格的に始めたのは偶然の出来事だったという。

「家にチェス盤があって、僕らはいつも遊んでいたんだけど、ちゃんとプレイしたことはなかったんだ」とシューマッハーはmotorsport.comに語った。

「僕らはバックギャモン(編注:ふたり用の西洋版すごろく)が大好きだったんだ。カイと僕はね」

「ただ、バックギャモンのすごろく盤を忘れたことがあって、チェスしかそこになかったことがあった。それ(バックギャモン)で遊ぶのを止めて、チェスを始めたんだ!」

「その後、チェスとバックギャモンの両方で遊んでいた時期もあったけど、今は基本的にチェスだけをプレイしているよ。楽しいね……僕の圧勝だよ!」

Mick Schumacher, Haas F1 Team

Mick Schumacher, Haas F1 Team

Photo by: Haas F1 Team

 シューマッハーは、シーズンを通してチェスのパフォーマンスが右肩上がりに向上していったと認めている。

「年始め辺りは、僕がほとんど負けていたんだ」と彼は言う。

「それから、なぜだかゲームを理解できるようになって、勝ち越すようになったんだ」

 シューマッハーがチェスに見せた向上心は、F1ドライバーとしての仕事にも一役買う要素のひとつと言える。5月、彼は英F1誌『GPレーシング』のインタビューで、こうしたゲームをすることのメリットについてこう述べている。

「この手のゲームでは、常に気持ちを切り替える必要があるから、集中が続くような気がするんだ」とシューマッハーは語る。

「(レース)週末では、向かってくる困難に立ち向かう姿勢を常に整えておきたいんだ」

 全23レースで行われる2022年シーズン。カレンダーの拡大によりドライバーとしても、これまで以上に移動時間が延びることが予想される。つまり、フライトの回数、セッションの合間にサーキットで過ごす時間も増えていく。F1ドライバー・チェスクラブは非公式ではあるものの、その勢力を拡大している。ひょっとすると、来季にはさらに”会員”が増えているやもしれない。

 
 
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