分析
F1 オーストリアGP

GPSデータから見えたレッドブルとマクラーレンの違い。フェルスタッペンは最高速、ノリスはトラクションが武器に

F1オーストリアGPのスプリント予選では、マクラーレンのランド・ノリスがレッドブルのマックス・フェルスタッペンに肉薄したが、GPSのデータから2台の違いが見えてきた。

Pole man Max Verstappen, Red Bull Racing, and Lando Norris, McLaren F1 Team, arrive in Parc Ferme after Sprint Qualifying

Pole man Max Verstappen, Red Bull Racing, and Lando Norris, McLaren F1 Team, arrive in Parc Ferme after Sprint Qualifying

写真:: Zak Mauger / Motorsport Images

 F1オーストリアGPのスプリント予選では、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がランド・ノリス(マクラーレン)を0.093秒差で抑え、ポールポジションを獲得した。これでスペインGPに続き、再びこのふたりがフロントロウに並ぶことになった。

 GPSデータを見ると、スペインGP予選と同じような傾向が浮かび上がってきた。しかし、今回はノリスがフェルスタッペンを上回ることはできなかった。

 SQ3での2台のアタックラップを比較すると、ふたりの差が0.2秒以上まで広がる地点はなかった。コーナリングやブレーキングではフェルスタッペンがノリスに対して差を広げるが、逆にコーナー出口のトラクションではマクラーレンの方が優れており、フェルスタッペンとの差を縮めた。そして最終的な差は0.093秒だった。

 より細かく見てみよう。

 スペインと同様、フェルスタッペンはターン1のブレーキングゾーンにノリスより時速2~3km高いスピードで突入していた。

 一方マクラーレンのトラクションは強力で、ノリスはコーナー立ち上がりで失ったタイムを取り戻すことになった。ターン1の後、ノリスはギャップを縮めてターン3までの坂を上がっていった。しかしストレートでの伸びはフェルスタッペンが優位で、ターン1からターン3間のストレート3分の2ほどのところでノリスのスピードを上回り、逆に差を広げることになった。ノリスは時速317kmほどのところで頭打ちとなったが、フェルスタッペンはブレーキを踏むまで加速を続け、時速324kmから減速した。

 同じような力関係がターン3と4のストレートでも繰り返された。ノリスはトラクションを活かしストレートの中盤までは差を縮めるが、ストレートエンドではその逆で、差を埋めきることはできなかった。

 そうした小さな積み重ねが、最終的なふたりのギャップである0.093秒差となったのだ。

Lando Norris, McLaren MCL38

Lando Norris, McLaren MCL38

Photo by: Zak Mauger / Motorsport Images

 こうした違いが生まれたのは、マクラーレンの使うメルセデス製パワーユニットのモーターアシスト(デプロイ)が切れるのがわずかに早かったこと、レッドブルのDRS効果の高さ、あるいは単なるギヤ比の問題など、いくつかの要因が考えられる。なおギヤに関しては、ターン1でノリスは3速まで落としたのに対し、フェルスタッペンは4速でクリアしていたのが分かっている。また、シフトアップのタイミングもノリスの方がフェルスタッペンよりも若干速く、先に8速に到達している。

 一方でマクラーレンは半径の小さなコーナーをより速いスピードでクリアできており、低速域でのダウンフォースが大きいか、足回りの硬いレッドブルよりもメカニカルグリップが良いことが考えられる。

 ラップの後半になると、より高速で流れるようなコーナーが増え、中高速コーナーで優れるレッドブルがギャップを少し広げることができている。

 前述のように全体的にはマクラーレンの方がトラクションに優れているものの、ターン9ではフェルスタッペンがスロットルを強く踏み込んでいるのに対し、ノリスはそこまでの自信を感じられていないようだ。

 ノリスのチームメイトであるオスカー・ピアストリも同様だ。彼はノリスに比べ、最終コーナーへの進入がより速かったが、それでも彼のスロットルワークはフェルスタッペンより思い切ったものではなかった。

 こうしたデータを踏まえると、今週末(少なくともスプリントレースでは)フェルスタッペンが第2、第3セクターでライバルたちの追撃を振り切り、DRS圏外にライバルたちを追い出すと予想される。もちろん、これはフェルスタッペンが1周目、マクラーレンの2台の攻撃を抑えきれればの話だ。

 ノリスかピアストリがフェルスタッペンをかわしてトップに躍り出た場合、優れたトラクションを武器に、巧みにエネルギーマネジメントをしてフェルスタッペンを抑え込もうとするだろう。

 それができなければ、フェルスタッペンは強力なDRSを使って襲いかかってくるだろう。特にターン3~4でオーバーテイクを狙うにはDRSは必要不可欠だ。レッドブルリンクではDRSゾーンが3つもある。マクラーレンにとってはそれが使えない1周目が勝負の鍵を握る。

 MCL38がレッドブルリンクで苦手とするのはターン7だ。ここをうまく対処できればマクラーレンは良い方向に向かうはずだが、最終的にはドライバーの自信にかかっている。ノリスもピアストリも、もう少し早めにアクセルを踏み込むだけの自信をマシンに感じていなければ、レッドブルを逃してしまうことになる。

 スプリントレース後、パルクフェルメが解除されれば、マクラーレンはコースの高速セクションをもう少し走りやすくするためにセットアップを変更するかもしれない。

 繰り返すが、1周目の展開が大きく影響する。マクラーレンがよりレース向きのセットアップを施せば、週末残りの予選・決勝がより興味をそそられるモノになるだろう。しかし、今のところはフェルスタッペンのほうが有利だと言えそうだ。

 今季レッドブルRB20が理想的なウインドウにセットアップを持って行くのが難しいマシンとなっているが、今週末のフェルスタッペンは走り出しから好調で、スプリントレースに向けて万全の準備が整っていると言えるかもしれない。

 

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