角田裕毅のレッドブル”デビュー戦”日本GPは堅実。彼にとっての次なる課題は?
角田裕毅はレッドブルでの初戦となった日本GPで、まずまずの走りを見せてチームの首脳陣を納得させた。しかし、まだまだ改善の余地は大きく、彼に与えられる猶予もそれほど長くないかもしれない。
Yuki Tsunoda, Red Bull Racing
写真:: Mark Thompson - Getty Images
F1において、これほどほんのわずかな”瞬間”をチャンスに変えなければいけないという状況になることは滅多にない。今季最初の3グランプリは、他のサーキットと共通点が極端に少ないサーキットで行なわれた。そしてその全てで、ポールポジションからスタートしたドライバーが勝った。
まだまだ3戦を終えただけであり、サンプル数は少ないものの、ダーティエア(前を走るマシンが生み出す乱流)の影響が大きくなっているという見方が強くなっている。このダーティエアの影響は、現行のグラウンド・エフェクトカーが導入されることで削減されるはずだったが、その目論見は外れている格好だ。
そのため予選は、週末においてもっとも重要な”瞬間”となっている。それに次いで大事なのが、決勝レースの1周目である。
そしてここに、角田裕毅にとって最大の課題が待ち受けている。
角田は、日本GPの直前にレッドブル昇格が急遽決まった。そしてその日本GPでは彼に注目が集まったが、いくつかの疑問が残ったままであるのも事実だ。
FP1ではチームメイトのマックス・フェルスタッペンまでコンマ1秒差にまで迫った。それが印象的ではあったが、フェルスタッペンとはエンジンモードが違ったのではないかという指摘もある。
その後、FP2やFP3では赤旗中断が頻発して、パフォーマンスを示すような走りができなかったが、フェルスタッペンとの差は拡大。前任のリアム・ローソンほどマシンに苦労している様子はなかったものの、肝心な場面で速いラップタイムを連続して計測することはできなかった。
Yuki Tsunoda, Red Bull Racing
Photo by: Clive Mason/Getty Images
ただ、角田にはローソンや晩年のセルジオ・ペレスとは違い、明らかにQ3に進出するだけのペースがあった。Q1では、新品ソフトを2セット使ったという背景はあるものの、やはりフェルスタッペンまで0.1秒差の7番手。ただQ2では、新品タイヤを投入した2回目のアタックでRB21の鋭さが彼を苦しめ、重要な箇所でライン取りをミスしてしまった。1回目のアタックは中古タイヤでのものであり、Q2突破には十分ではなかった。
この結果、決勝レースは14番グリッドからのスタートとなってしまった。
レッドブルにおいて角田に課された使命は、フェルスタッペンに勝つこと、あるいはフェルスタッペンに匹敵するようなパフォーマンスを発揮することではなく、ナンバー2ドライバーとしての職務をこなし、チームプレイヤーに徹することだ。ポイントを獲得することでライバルからポイントを奪い取り、そしてライバルチームが戦略的な駆け引きを仕掛けてくるのを阻止するために、常に存在感を示すことだ。
日本GPでは、フェルスタッペンの後方には2台のマクラーレンが連なって走っていた。彼らが戦略面をうまくやっていれば、フェルスタッペンの勝利はなかったかもしれない。しかしその近くに角田がいれば、マクラーレンの戦略の自由度を削ぐことになる。
そのために角田は、RB21を乗りこなさねばならない。RB21は、乗りこなせば速いものの、乗りこなすのが難しいマシンだと言われる。
フェルスタッペンがここ最近のチームメイトたちよりも優れた成績を残せたのは、不安定なリヤアクスルを刺激しないように、フロントに徐々に荷重をかけていく感覚を持っているからだ。RB21は、ガンガン攻めるようなドライビングスタイルに見合うマシンではない。角田は、そのマシンをうまく活かす方法を学ぶ必要がある。
興味深いことに、角田とフェルスタッペンは、FP3まではハイダウンフォース仕様のマシンとすることを目指していた。しかしフェルスタッペンはそれを避け、ダウンフォースを削ったセッティングに変更した。しかし角田はそうしなかったのだ。つまり角田は、RB21に対する自信を深めたかったということだ。
Yuki Tsunoda, Red Bull Racing
Photo by: Sam Bloxham / Motorsport Images
今の角田に必要なのは、実際のマシンの特性が、シミュレータで体験したモノとは異なる部分を発見するため、多くの時間を割くということだった。
ただ今週末にバーレーンGPが開催されるバーレーン・インターナショナル・サーキットは、開幕3戦と比べてピークダウンフォースが必要とされる高速コーナーがほとんどない。つまり、理論的にはRB21向きのコースではないのだ。その証拠に、フェルスタッペンでさえテストでは好パフォーマンスを発揮できなかった。
低速コーナーは、アンダーステアからオーバーステアへと急激に変化するマシンにとって、走るのが難しいコーナーであり、角田にとっては大きな挑戦となる。RB21での経験が不足している角田にとってはなおさらだ。
今の角田が示す必要があるのは一貫性だが、それを発揮するのは難しい状況である。しかし、それを乗り超えていいパフォーマンスを見せられれば、チームの信頼の深さが一段増すことになるだろう。
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