F1 スペインGP

タイヤの“使い方”が勝敗を分けた? スペインGPで敗れたランド・ノリス、最後に追いつけなかった理由は

F1スペインGPではマックス・フェルスタッペンとランド・ノリスによる優勝争いが繰り広げられた。接戦となっている今のF1では、タイヤの使い方ひとつがその後の勝負を決定づける。

Lando Norris, McLaren MCL38, 2nd position, arrives in Parc Ferme

Lando Norris, McLaren MCL38, 2nd position, arrives in Parc Ferme

写真:: Simon Galloway / Motorsport Images

 F1スペインGPは、ポールシッターのランド・ノリス(マクラーレン)がスタートでポジションを落としたことが大きく影響し2位に終わったが、レース後半にも決定的な局面があった。

 ノリスはソフトタイヤを履いた第1スティントを引っ張ったことで、タイヤライフにオフセットを作り出すことに成功。その甲斐あって、最終スティントではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)よりも3周遅くピットに入っている。

 スタートで新品のソフトタイヤを使っていたノリスは、ここでユーズドのソフトタイヤを使用。そう考えるとタイヤの状況はノリスと新品ソフトタイヤを使っていたフェルスタッペンで五分五分だったと考えていいだろう。

 ノリスはフェルスタッペンとの差を縮めていったが、ギャップを削り切る前にペースダウンしてしまった。第1スティントではフェルスタッペンよりもソフトタイヤをうまく使っていたことを考えると、意外にも思える。

 ノリスはレース後、彼とマクラーレンが得意としているタイヤの使い方に固執すべきだったのではないかと後悔を抱えていたようだ。

 その使い方とは、ピットストップ後に新しいタイヤを履いたタイミングですぐにプッシュするのではなく、ゆっくりと走行開始することで、タイヤがより長く良いパフォーマンスを発揮できるようにするということだ。

 レース後、ノリスは次のように語った。

「最終スティントはそれほど長くなかったから、本当に追いつくことができるのかどうかわからなかった」

「ラスト3周は、差がどれだけ大きいかを実感した。きつかったよ」

「序盤でプッシュしすぎて、終盤で少し苦しくなってしまったのかもしれない。こういうことを判断するのはとても難しい」

Lando Norris, McLaren MCL38, Lewis Hamilton, Mercedes F1 W15, Charles Leclerc, Ferrari SF-24

Lando Norris, McLaren MCL38, Lewis Hamilton, Mercedes F1 W15, Charles Leclerc, Ferrari SF-24

Photo by: Zak Mauger / Motorsport Images

 ノリスは、フェルスタッペンとの約7.6秒差を追いかける必要があることを認識しており、最後のピット作業を終えてコースに復帰した際、アタックすることを選択したのだ。

 ノリスはアウトラップの次の周、1分17秒377をマーク。その2周後にはこのレースのファステストラップとなる1分17秒115をマークして追い上げた。

 しかしスティントの序盤からプッシュしていく方法は、トップとの差を縮めていく道に見えるものの、F1チームとドライバーは多くの場合より優れた別のアプローチをマスターするために時間と努力を注いでいる。

 そのアプローチというのが、ピットアウト直後はペースを上げすぎないようにすることだ。

 すぐにプッシュしない代わりに、ドライバーは数周をかけてゆっくりとタイヤを慣らしていく。そうすることで最終的にはタイヤの温度と内圧を安定させて、残りのスティントでより良いパフォーマンスを発揮できるようにするのだ。

 F1にタイヤを供給するピレリのチーフエンジニアであるシモーネ・ベラは、こう説明している。

「(タイヤの)内部温度が全てに関係しているし、当然圧力も関わってくる」

Lando Norris, McLaren MCL38, in the pit lane

Lando Norris, McLaren MCL38, in the pit lane

Photo by: Sam Bloxham / Motorsport Images

「タイヤには、ある種の慣性が存在しているんだ」

「穏やかにペースを上げていけば、内部の温度と圧力は徐々に上昇していく。そしてタイヤのトレッドが摩耗し始めると、できるだけ早くプッシュして温度と内圧のピークを早く迎えるよりも、低い圧力で安定することになる」

「内圧は低いほうが高い方よりもずっと良いということは分かっている。接地面積が大きくなるからね。それだけでなく、内部の温度と圧力によって、タイヤのコーナリング剛性も向上する」

「ターンインしたとき、温度が高いとコーナー中盤でハンドリングの問題が生じてしまう可能性が高まる。そのため、例えばフロントがいっぱいっぱいになれば、強くアンダーステアが出てしまう」

 ベラはドライバーとチームが適切にタイヤを作動させていくことで得られるメリットは、過小評価されるべきではないと考えている。

「これは本当にチーム次第になるが(タイヤの内圧は)0.5psi〜1psiの違いになる可能性がある」

「タイヤをマネジメントし、温度と内圧をコントロール下に置き続ければ、望んだところで安定させられるんだ」

「そのため、穏やかなペースアップにするのは良い妥協点だ。今年は、スティントの序盤からプッシュしていく事例よりも、穏やかにペースを上げていくほうが利点があった場面が何度もあったよ」

 ベラの語る典型的な例のひとつが、イモラ戦だろう。ノリスはフェルスタッペンを追いかけていく中で、最終スティント序盤にタイヤをすぐにピークに持っていくような無理をしなかった。そして結果的にノリスはフェルスタッペンを猛烈に追い上げ、最後は0.725秒差まで詰め寄ってみせた。

 ノリスがスペインGPの最後のスティントで、急にプッシュしなかった場合にどうなっていたかは、今では決して分からないことだ。しかし今のF1はパフォーマンス差が縮まっているため、タイヤを早くからプッシュするか、ゆっくりとペースアップするかの選択が、優勝を争う上で重要な要素となっていることは明らかだ。

 

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