アルピーヌF1の”巨大”エアボックス……その存在理由は?
アルピーヌの2021年用マシンA521は、かなり大きなエアボックスとエンジンカバーを備えており、話題となっている。なぜそれほど大きくしなければならなかったのだろうか?


バーレーンで行なわれているF1のプレシーズンテスト。サーキットに登場したアルピーヌのA521は、非常に大きなエアボックスとエンジンカバーを備えており、大いに話題となった。
その形状は、1970年台のリジェなどを彷彿とさせるモノ。その理由については様々な憶測を呼んでいる。ただルノー時代のR.S.20から、エアボックスやロールフープなどは変更されていないはず。その後方にあるボディワークが、大幅に拡大されたのだ。

Alpine A521 cover
Photo by: Alpine

Renault R.S.20
Photo by: Renault
このボディワークの形状の理由、それは今季導入された、ダウンフォースを10%削減することを目指すレギュレーションに対応するためのモノだろう。
今季多くのチームが、サイドポンツーン後部がフロアに向けて落ち込んでいくデザインを採用している。しかしアルピーヌは、現在のハイブリッド時代が到来する以前によく使われていたような、サイドポッドが前後に長く、その下部が抉られたデザインを採用してきた。これにより、サイドポンツーンとフロアの間に多くのスペースが生み出される。
ただこの空力面での目標を達成するために、チームはマシンの冷却を見直さなければならなくなった。つまりサイドポンツーン内部のラジエターやその他のハードウエアを、配置し直す必要があったのだ。

Esteban Ocon, Alpine A521
Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images
ルノーはここ数年、冷却パッケージを優先し、パワーユニットの周囲に様々なハードウエアを詰め込んでいた。しかしサイドポンツーンの形状を絞り込みつつハードウエアを内包するために、エンジンカウルを拡大したのだろう。
つまりこのデザイン変更はレギュレーションの変更に起因するモノであり、マシンのパフォーマンスをできるだけ損なわないことを目指したアルピーヌの解決策ということだと考えられる。

Renault F1 Team R.S.19 powerunit install
Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images
なお前述の通り、F1には過去にいくつかの”巨大な”エアボックスを持ったマシンが登場している。下のギャラリーは、そんなマシンたちのほんの一部である。

写真:: Sutton Images

写真:: Ercole Colombo

写真:: Ercole Colombo

写真:: Giorgio Piola

写真:: Giorgio Piola