F1 イギリスGP

圧倒的な強さ”だったはず”のレッドブル、そのアドバンテージは消えてしまったのか?

レッドブルのアドバンテージは、レースを追うごとに小さくなっているように見える。最近では他のチームが勝つことも少なくない……あの強さは、一体どこに行ってしまったのか?

Filip Cleeren

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編集: 2024/07/12 11:10

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Max Verstappen, Red Bull Racing, Alex Albon, Williams Racing

Max Verstappen, Red Bull Racing, Alex Albon, Williams Racing

写真:: Zak Mauger / Motorsport Images

 2024年のプレシーズンテストでは、今年もレッドブルの優位が続くと、多くの人が考えたはずだ。しかしそれから4ヵ月が経過し、状況は一変したように見える。

 確かに多くの人の印象の通り、シーズン序盤はレッドブルが席巻した。しかしまずはフェラーリ勢がレッドブルに土をつけ、目覚ましい前進を遂げたマクラーレンが肩を並べ、そして最近ではメルセデスがアップグレードを成功させてついにグランドエフェクトカーを使いこなし始めた。

 ここ最近の7戦を見ると、優勝者は5人。しかも4チームそれぞれが優勝を手にしているのだ。後半戦に向けてはさらに激戦になることが予想されており、F1ファンにとっては素晴らしい展開になるだろう。

 しかし当然のことながら、レッドブルにとっては喜ばしい状況ではない。しかし不思議なのは、シーズン序盤にあったはずのアドバンテージは、一体どこへ消えてしまったのだろうか? ということだ。

 これまで説明されていたのは、現行のレギュレーションが施行3年目であり、そこから引き出せるパフォーマンスの最大値に、徐々に近付きつつあるということだ。つまりレッドブルとしては、伸び代が減っていたということである。

 一方で過去2年間でパフォーマンスを手にできなかったライバルチームは、レッドブルが既に導き出していた問題の答えを、徐々に見つけ始めている。しかもレッドブルは、チャンピオンになったことで空力開発に制限が加えられており、その面でも打撃を受けている。

「彼らは我々よりも早く、ある意味限界のスピードに到達したんだと思う」

 マクラーレンのCEOであるザク・ブラウンはそう語る。

「マシンの開発をどれだけ続けられるかという点では、いつか限界がやってくる。彼らは最初にそこに到達し、我々や他のチームは、そこに追いついたばかり、あるいは追いつきそうになっているところだ」

 最近、ブラウンCEOといくつかの話題で衝突したレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、この件についてはブラウンCEOの意見に同意する。

「我々が他のチームよりも開発量が少なく、しかも最先端にいるため、パフォーマンスの向上が限界に近付く傾向にあるのは周知の事実だ」

 そうホーナー代表は語るが、同チームのドライバーであるマックス・フェルスタッペンは、チームに対して現実を受け入れるのではなく、進歩の追求に注力するよう、繰り返し求めてきた。

「『これは普通のことだ』と言うこともできる。でも、僕は普通だとは思わない」

 そうフェルスタッペンは言う。

「僕らは懸命に働き続けなければいけない。これが普通だと思ったら、ライバルが僕らを追い抜いていくだろう」

「僕は毎日エンジニアたちと仕事をし、アップデートができるだけ早く届けられるように働きかけている」

George Russell, Mercedes F1 W15, leads Max Verstappen, Red Bull Racing RB20

George Russell, Mercedes F1 W15, leads Max Verstappen, Red Bull Racing RB20

Photo by: Glenn Dunbar

■RB20に”残っている”パフォーマンスは?

 2024年のF1も夏の業務停止期間が近づき、各チームは来季用マシンの開発に注力し始めている。そんな中で、レッドブルはRB20からあとどれだけのパフォーマンスを引き出すことができるだとうか?

 RB20が登場した時、多くの人たちが驚いた。昨年まで圧倒的な強さを発揮したにも関わらず、マシンの形状が大きく変更されていたからだ。これについては、レッドブルの優位性を保つための努力であると、人々は感銘を受けた。

 その努力は確かに実を結び、シーズン序盤にレッドブルは確かに力強いパフォーマンスを発揮した。しかし最近では、ラップタイムを稼ぐ余地は少なくなっている。

 チーフエンジニアのポール・モナハンは以前、レッドブルは開発曲線が平坦になりつつあり、得られる利益がどんどん小さくなっていると明かした。

 ホーナー代表は、今後投入が予定されているアップデートが効果を発揮すると期待しているが、それでも今や細かな開発の成否にかかっているという。それは、首位を走る全てのチームに当てはまることだ。

「予定されているアップデートは、まだ何かあると思う。開発曲線の頂点に辿り着くまで、まだ進歩できるはずだ」

 そうホーナー代表は説明した。

「必然的に、差が小さくなってしまうと、違いを生むのはほんの僅かな、細かな開発が重要になってくる」

Max Verstappen, Red Bull Racing RB20

Max Verstappen, Red Bull Racing RB20

Photo by: Erik Junius

■フェルスタッペンがレッドブルを救う?

 レッドブルの優位はいったいどこにあるのか? それはますます分かりにくくなっている。

 レッドブルとしては、長年バンピーなサーキットに苦労してきた。しかしRB20は、予想以上にそういうサーキットで苦戦した傾向がある。ただ路面がスムーズなサーキットに戻れば、強さを発揮するだろう……そう思われたが、スペインGPではマクラーレンが速さを見せた。

 ただその後のオーストリアGPでは、フェルスタッペンがライバルに0.4秒の差を差をつけてポールポジションを獲得した。1周が1分と少しというレッドブルリンクでの0.4秒差は圧倒的な差であり、ライバルたちはレッドブルのアドバンテージの大きさを改めて目の当たりにしたはずだ。

 イギリスGPでは、マクラーレンとメルセデスが速さを見せた。しかしこれは、タイヤを適切な作動領域に保つための能力による違いという側面も大きく、実際の戦闘力の差とは違う可能性がある。

「調子の変動が少しある。シルバーストンではメルセデスが強かったし、マクラーレンも先週は強かった。その前の週のバルセロナでは、我々が勝った」

 そうホーナー代表は認めた。

「オーストリアの予選では全てのライバルを0.4秒リードすることができた。シルバーストンでも、(フェルスタッペンが予選Q1でフロアを損傷していなければ)ポールポジションを狙うことができていただろう」

「レース終盤、マックスはルイス(ハミルトン/メルセデス)を追い詰めた。10秒差から1秒ちょっとの差まで追い上げたんだ」

「この3連戦で、マックスが最も多くのポイントを獲得していたとしても、私はまったく驚かないと思う」

 実際、この3連戦で最多のポイントを獲得したのはフェルスタッペンで61。ハミルトンが次点で55ポイントを手にした。このふたりに続くのはオスカー・ピアストリ(マクラーレン)の43ポイントで以下ジョージ・ラッセル(メルセデス)42ポイント、ランド・ノリス(マクラーレン)40ポイントと続く。

 そこにレッドブルのもうひとつの強みがある。最速のマシンではないグランプリでも、フェルスタッペンとチームはチャンピオンらしく戦うことができるのだ。最速のチームにミスがあれば、そこを突いて容赦なく打ち負かすのだ。例えばマクラーレンは、勝てそうなレースをいくつもミスで落としている。

 レッドブルは過去7戦のほとんどで、最速のマシンを持っていなかった可能性がある。それでもフェルスタッペンは3勝を挙げ、表彰台を逃したのはモナコとオーストリアの2戦だけ。この間の獲得ポイントは、現在ランキング2番手につけるノリスを上回っている。

 レッドブルの絶対的なパフォーマンス、そして2台目マシンを駆るセルジオ・ペレスの不振が続いていることは、深刻な懸念材料と言える。しかしレースでの強さを考えれば、やがりレッドブルが、今年もダブルタイトルを獲得する可能性が高いように見えるが、さて後半戦はどうなっていくだろうか?

 

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