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海外F1記者の視点|2026年にF1デビューするキャデラックは、どのドライバーと契約するべきか。優先すべきは儲け? 実力? 経験?
2026年から新チームとしてF1に打って出ることになったキャデラック。しかし、現時点ではそのドライバーは決まっていない。キャデラックは誰を起用するべきなのか? motorsport.comのライター陣が考察する。
公開日時: 2025/01/20 8:00
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2026年のF1ドライバーマーケットは、2025年に向けた動きと比べると静かなモノになるだろうと予想される。主要なドライバーのほとんどが、新規則が導入される2026年に備え、早々に居場所を確保済みであるからだ。
とはいえ、まだ2026年のシートが決まっていないドライバーにとっての重要な行き先がひとつある。キャデラックが新チームとしてF1に参戦することで、グリッド上のシートがふたつ増えるのだ。
実績あるスピードスターにとっては、F1キャリアを軌道に戻すチャンスである。また若手ドライバーにとっては、良くも悪くも歴史に名を残すチャンスでもある。
キャデラックがF1に初めて打って出るにあたって、最も説得力のあるドライバーは誰だろうか? motorsport.comのライター陣が、その可能性を検証した。
■キャデラックがボッタスを選ぶべき理由:アレックス・カリナウカス
キャデラックのF1参戦は、アウディのF1参戦とは大きく異なる。
アウディは既存チームのザウバーを買収する形でF1に参戦する。しかしキャデラックは、ゼロから新チームを築き上げていくことになる。そのため、経験豊富な人材を起用するのは、必要不可欠であろう。ドライバー選びにおいても、豊富な経験を持つ人物を確保するのはさらに重要だ。
Valtteri Bottas, Stake F1 Team KICK Sauber
Photo by: Zak Mauger / Motorsport Images
キャデラックがアメリカ人ドライバーをF1にデビューさせるという考え方は、楽しくロマンチックである。しかしコルトン・ハータのようなインディカーでトップクラスのドライバーでさえ、F1では新人……チームメイトは、F1で実証済みのスピードと技術面でチームの成長を助けた実績があるドライバーでなければならない。
最適なのはバルテリ・ボッタスだ。
ボッタスは2024年限りでザウバーのシートを失い、今季はメルセデスのリザーブドライバーを務めることになった。確かにシートを失いはしたが、ボッタスがキャデラックに、F1マシンをスピードアップさせるための冷静で細やかなサポートを提供することができるだろう。しかも彼は、キャデラックが最初の2年間使うフェラーリ製のパワーユニット(PU)に精通しており、マシンのパフォーマンスが優れなかったとしても、波風を立てることはないだろう。
ボッタスはこれまでのキャリアを通じて、かなりの速さを見せてきた。メルセデス時代にはルイス・ハミルトンのチームメイトを務め、勝利数など決勝レースでの成績では差をつけられたものの、予選での速さでは肉薄することも多かった。2024年には、チームメイトの周冠宇に対して20勝3敗という結果だった。これは、マックス・フェルスタッペンがセルジオ・ペレスに対して21勝3敗、ランド・ノリスがオスカー・ピアストリに対して20勝4敗だったという数字に並ぶ。
唯一心配なのは、レースでの速さに翳りが出ているように見えるデータもあることだ。各レースでの最速ラップトップ10の平均では、全ドライバー中最も遅かったのだ。
しかしボッタスはもはやかつてのレベルには達していなかったとしても、そのエネルギーと性格は、成長が求められるキャデラックにとってはもちろん、F1全体にとっても有益であろう。
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■ペレスはいい選択肢……もちろん、まだやる気があるのであればだが:ベン・ヴィネル
2024年にはレッドブルで、惨憺たる成績に終わったセルジオ・ペレス。しかしキャデラックにとっては明らかな選択肢であろう。
Sergio Perez, Red Bull Racing
Photo by: Red Bull Content Pool
昨年のペレスのパフォーマンスは、ドライバーとしての彼の実力を示したモノではない。技術的な理由、心理的な理由など、何らかのことで物事がうまくいかなくなってしまうこともある。その結果、F1の歴史を見てもこれまで様々な関係性が終わりを迎えてきた。
ペレスは過去に、素晴らしく安定したドライバーであることを証明した。それにより、レッドブル入りのチャンスを掴んだのだ。おそらく、チャンピオンになるほど目がくらむような速さを持っているわけではないが、中団グループのチームにとっては、素晴らしい財産となるほど堅実な走りを披露する。そして彼のグランプリ出走回数は、歴代8位の281回を数える。
そういう意味でペレスは、キャデラックが新しいF1チームを組織する上で、理想的な人材であろう。商業的な観点から言っても、ペレスのメキシコでの人気はプラスにしかならず、キャデラックの市販車の売り上げ増にも貢献するかもしれない。
キャデラックはGM(ゼネラルモーターズ)傘下のブランドであるが、このGMの2023年の中米での販売台数は約18万4000台、このうち約1000台がキャデラックの車両である。これはGMの世界生産台数の3%にすぎないが、これを押し上げることができれば大きなメリットとなろう。
あと重要なのは、レッドブルで悲惨な成績を残してしまい、チームを去ることになったペレスに、今もモチベーションが残っているかどうかだ。
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■経済的な側面で理に適っている周冠宇:スチュアート・コドリング
キャデラックのチーム代表に任命されたのは、グレアム・ロードンである。このロードンは、周冠宇のマネジメントにも関与していた人物であり、チームのドライバーとして周を起用しようとすることは、当然のことだろう。
ただ、その関係性以外を見ても、周を起用するのは理に適っているかもしれない。
Zhou Guanyu, Stake F1 Team KICK Sauber
Photo by: Sam Bloxham / Motorsport Images
周は現代のグラウンド・エフェクトカーに関する必要な経験を持っている。そして伝えられるところによれば、ガレージでは実に勤勉でプロフェッショナル。懸命に働いているという。ザウバー在籍中にその努力が報われることはほとんどなかったが、チームが特に苦しんだ2024年シーズンに唯一のポイントをもたらしたのも周だった。
また商業面でも周を起用できるのは魅力だ。母国中国で、周は大いに影響力がある。
現在のGMの主な市場は、今や北米ではなく中国である。ただそれでも、最近ではGMのシェアが低下しつつあり、最近発表された数字によれば、2023年には約2億ドル(約300億円)の損失を出したという。この状況を打破するためにも、周を起用するのはうってつけなのである。
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■ハータを起用し、アメリカ流に”走る”べき:ジェイク・ボクソール-レッジ
キャデラックは、F1にデビューする際にアメリカ人ドライバーを起用しなければいけないという条件を、必ずしも設けているわけではない。経験という側面は、間違いなくひとつのシートにとって最優先事項となろう。しかしもう一方のシートは、マーケティング面での価値と、アメリカのチームであるという地位を確立するためには、アメリカ人ドライバーを起用するのが最善である。そしてコルトン・ハータが、そのリストの先頭にいるだろうことは間違いない。
Colton Herta, Andretti Global w/ Curb-Agajanian Honda
Photo by: Jake Galstad / Motorsport Images
ハータは以前にも、F1に手が届きそうなところに近づいたことがあった。しかし、スーパーライセンスポイントを満たすことができておらず、アルファタウリからF1デビューすることが叶わなかった。
現時点でハータは、スーパーライセンスの発給条件に近づいている。スーパーライセンスを獲得するためには、各カテゴリーで好成績を残し、それぞれのシリーズに割り当てられているスーパーライセンスポイントを直近3年で40ポイント以上獲得しなければならない。
ハータは昨年インディカー・シリーズでランキング2位となったことで、スーパーライセンスポイントが32となった。今年インディカーでランキング4位となれば、ライセンスポイントは40に達することとなる。
結局のところ重要なのはパフォーマンスである。ハータは2022年にマクラーレンのテストに参加し、印象的な走りを見せたと言われている。しかもF4時代には、現マクラーレンのランド・ノリスのライバルとなり、高い評価を集めた。
キャデラックとしては、今シーズン中にどこかのチームのシートを買ってFP1やTPC(旧車テスト)に参加させるなどして、その力を見極めるということもできるだろう。
ただそれを実現するためには、ハータ自身が、今快適に過ごすことができているインディカーを捨て、F1の厳しい世界に挑もうとするかどうかが最も重要かもしれない。
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■パロウの起用をしっかり考慮する必要あり:フィリップ・クリーレン
キャデラックがアメリカ人ドライバーを起用したいと考えるのは理解できる。しかしドライバーを探すためにインディカー・シリーズに目を向けるなら、なぜそのシリーズで最高のドライバーを採用しないのだろうか?
Champion Alex Palou, Chip Ganassi Racing Honda
Photo by: Michael L. Levitt / Motorsport Images
スペイン人のアレックス・パロウは、インディカーで信じられないほど素晴らしいキャリアを築いている。わずか5シーズンで3回のドライバーズタイトルを獲得し、優勝回数も12回を誇る。
所属チームであるチップ・ガナッシでは、インディカー史上最高のドライバーのひとりとみなされているスコット・ディクソンと肩を並べている。特に秀でているのはその一貫性で、出場した81戦のうち30回の表彰台を獲得。この成績は、デイル・コインで走ったルーキーシーズンを含めたものだ。
ただパロウは、まだインディ500を制していない。それが彼にとって唯一”取りこぼし”と言えるかもしれないが、その才能は十二分に証明済み。しかもまだ27歳という若さである。
パロウはF1への野望を隠していない。2022年には、F1への道筋が開ける可能性を期待して、マクラーレンへの移籍を目指した。しかしチップ・ガナッシとの契約問題に発展してしまい、結局はチップ・ガナッシとの和解に達して、インディカーへの参戦を継続することになった。
パロウはチップ・ガナッシと共に、インディ500を制覇することを第一優先としている。しかしF1参戦が確約されるオファーが舞い込んだとしたら、パロウはどんな判断を下すだろうか?
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