F1 ラスベガスGP
ラスベガスGPの負け組:マクラーレン、悔やみきれないダブルリタイア。フェルスタッペンに見せた大きな隙
両マシンの失格、不必要に混戦状態となったタイトル争い、そしてすぐ後ろに迫る怒れるマックス・フェルスタッペン……マクラーレンにとって、F1ラスベガスGPは忘れたい週末となっただろう。
Norman Fischer
編集: 2025/11/26 0:36
Copy link
Viberでシェア
Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

マクラーレンにとって、F1ラスベガスGPは悪夢のような週末となった。ランド・ノリスが2位、オスカー・ピアストリが4位でレースをフィニッシュしていたものの、スキッドブロックの摩耗が原因で失格となったからだ。チームの首脳であるザク・ブラウンCEOは眠れない夜を過ごしたことだろう。
マクラーレンの失格がなければ、優勝したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)も、ラスベガスGPで”負け組”に含まれていたかもしれない。ノリスが2位となったことで、タイトル争いの差を大きく詰めることができず、残り2戦での逆転は至難の業になっていたはずだ。今になって、オーストリアGPの1コーナーでのクラッシュにより強いられたリタイアや、はるかにパフォーマンスが低いと言われていたチームに敗れて9位に沈んだハンガリーGPのようなレースを思い返して、さらに苛立ちを募らせていたことだろう。
実際つい数日前、フェルスタッペンはスペインGPでの自身の行動が誤りだったと認めた。当時、彼はメルセデスのジョージ・ラッセルに故意に接触し、10秒のペナルティを受け、5位から10位に転落したのだ。
失ったポイントが今フェルスタッペンにとって、より痛手となっていることは間違いない。しかしマクラーレンが失格となったことで、タイトル争いのライバルふたりとの差を25ポイントも埋めた以上、眠れない夜などない。
Oscar Piastri, McLaren, Max Verstappen, Red Bull Racing
Photo by: Zak Mauger / LAT Images via Getty Images
一方、タイトル争いの真っ只中で、両マシンが失格扱いとなること以上の痛手はない。そしてシーズンフィナーレを迎える2週間後、マクラーレンがタイトルを逃す原因が今回失ったポイントだったと判明するときがきたとしたら、言葉にできないはずだ。
そうなればフェルスタッペンは究極の逆転劇を成し遂げたことになる。いやむしろ、マクラーレンがほぼ確実と思われたタイトルを逃したと言うべきだろうか。
忘れてはならないのは、フェルスタッペンはオランダGP後、ピアストリに100ポイント以上も差をつけられていたことだ。それが、ラスベガスGP後には両者同点となった。
マクラーレンにとって、レースが行なわれた土曜日の夜は安堵の夜となるはずだった。スタートで出遅れたノリスも2位でフィニッシュし、フェルスタッペンに42ポイントものリードを維持できていたのだ。これで、最後の2戦で仮に一度ミスを犯しても、余裕がある状況となるはずだった。
だがその余裕は完全に消えてしまった。フェルスタッペンはわずか24ポイント差、つまりは優勝1回分未満の差で、5度目の世界タイトルに迫っている。フェルスタッペンは血の匂いを嗅ぎつけた。マクラーレンはまさに危うい立場に立たされている。
事態の深刻さは、彼らがスチュワードの判断を覆そうと必死に訴えた様子からもうかがえる。解釈の余地のない明白な違反行為に対し、聴聞会は1時間以上も続いたと報じられている。
それでもマクラーレンは、1999年のフェラーリのように、なおも判断の変更を迫ろうとした。当時、エディー・アーバインとミハエル・シューマッハーは最終戦から1戦前のマレーシアGPで1-2フィニッシュを果たしたが、バージボードが規定違反だとして失格処分となった。
Eddie Irvine, Ferrari F399 with the illegal bargeboard
Photo by: Sutton Images
フェラーリ勢の失格が確定すれば、後にタイトルを獲得したマクラーレンのミカ・ハッキネンが早期に世界選手権を制していたはずだった。しかし、フェラーリが失格処分を覆すことに成功したため、彼らは突然タイトル争いに復帰したのである。
ラスベガスでマクラーレンは、予期せぬ状況下でマシンが跳ねていたこと、悪天候によりテストの機会が限られていたこと、そして今シーズンこれまでの事例に比べて違反の程度が軽微であったことなど、酌量すべき事情があったと主張した。
しかしこのような状況では、許された範囲内であらゆることを試さなければならない。また過去には、もっと奇妙な主張が繰り広げられたこともあった。たとえば、2019年にフェラーリがセバスチャン・ベッテルのペナルティを覆すために使用したカルン・チャンドックによるテレビ中継の分析や、レッドブルがシルバーストーンでレーシングラインを再現するために当時テストドライバーを務めたアレクサンダー・アルボンを実際に走らせたことなど、度が過ぎる例はいくつかある。
ノリスのマシンは、わずか0.07mm の摩耗超過で違反とみなされた。しかし、検査を受けたマクラーレン以外のすべてのマシンは、規則の範囲内にとどまっていた。
結局、この 0.07mm がタイトルを決定づけることになるかもしれない。完璧を追求し、今シーズンまさにそのイメージを打ち出そうとしてきたマクラーレンに、そんなことはあってはならない。
それでも、この状況でドライバーらには非はない。ノリスは依然として 24 ポイントのリードを保っており、カタールGPで世界チャンピオンになることも可能だ。ピアストリは、両車とも失格となったことで、少なくともノリスとの差を縮めることができた。
しかしフェルスタッペンは、ピアストリとポイント数で並んでいる。さらにピアストリはここ数週間シーズン前半の勢いを失っており、フェルスタッペンはその隙を容赦なく嗅ぎ取っている。
Zak Brown, Chief Executive Officer of McLaren
Photo by: Alastair Staley / LAT Images via Getty Images
マクラーレンのザク・ブラウンCEOもこの事実を認識しており、数日前にラスベガスへ向かった時よりもはるかに神経質になってカタールへ向かうだろう。
彼にとってチャンピオンシップはまさに危機的状況にある。そしてマクラーレンは、安全と思われたタイトルを失う怖さを誰よりも知っている。
2007年、2レースを残した時点でマクラーレンは、現在のポイントシステムに換算すると、2位以下に42.5ポイントの差をつけていた。結局、ルイス・ハミルトンもフェルナンド・アロンソもタイトル獲得を逃し、最後に笑ったのはフェラーリのキミ・ライコネンだった。
それから18年後、今回最後に笑うのはフェルスタッペンかもしれない。彼はわずか24ポイント差で、さらにはスプリントレースもあり、4度のワールドチャンピオンにふさわしい自信に満ちている。
フェルスタッペンの好物がパパイヤかどうかは知らないが、彼が弱った相手を狩り取ることに関しては朝飯前だ。マクラーレンはこれまで以上にそれを意識している。
あなたの意見が聞きたい!
Motorsport.comで何を見たいですか?
5分間のアンケートにご協力ください。
- Motorsport.comチーム
関連ニュース :
記事をシェアもしくは保存
Copy link
Viberでシェア
前の記事 メルセデスF1のウルフ代表「退任予定はない」チーム株式一部売却による憶測に答える
次の記事 フェルスタッペン、今季タイトル獲得を逃した場合、2026年は個人ナンバーを「3」に変更か? 「本当は69が良かったけど」
More from
Norman Fischer

アロンソ、母国スペインGPで来季の去就は発表せず。アストンマーティンは辛抱強く待つ姿勢
F1
F1
スペインGP
1 ヵ月前
アロンソ、母国スペインGPで来季の去就は発表せず。アストンマーティンは辛抱強く待つ姿勢

【特集】F1界の“ジャーニーマン”は誰だ? 近代で最も頻繁に移籍をしたドライバー10選
F1
F1 5 ヵ月前
【特集】F1界の“ジャーニーマン”は誰だ? 近代で最も頻繁に移籍をしたドライバー10選

ウイリアムズ、フェラーリの”くるりん”リヤウイングを調査へ「正直、検討していなかった方向性だ」
F1
F1
バーレーン プレシーズンテスト後半
8 ヵ月前
ウイリアムズ、フェラーリの”くるりん”リヤウイングを調査へ「正直、検討していなかった方向性だ」

More from
ランド ノリス

F1王者ランド・ノリス設立のLNフュージョン、来季FIA F2の参戦権を取得。参戦全11チームが発表……F1デビューに向けた”最終関門”
FIA F2
FIA F2 3 日前
F1王者ランド・ノリス設立のLNフュージョン、来季FIA F2の参戦権を取得。参戦全11チームが発表……F1デビューに向けた”最終関門”

ピアストリ、チームオーダーで序盤にノリスを先行させる。その背景をマクラーレンが説明「ここはランドが得意としているサーキット」
F1
F1
アメリカGP
5 日前
ピアストリ、チームオーダーで序盤にノリスを先行させる。その背景をマクラーレンが説明「ここはランドが得意としているサーキット」

今や4番手チームに成り下がってしまったマクラーレン。アップデートの有無で勢力図激変……ノリス「低速コーナーの性能が十分なレベルじゃない」
F1
F1
アメリカGP
5 日前
今や4番手チームに成り下がってしまったマクラーレン。アップデートの有無で勢力図激変……ノリス「低速コーナーの性能が十分なレベルじゃない」

More from
マクラーレン

マクラーレン、今後前進するための”一歩”。マシンの新たな方向性を探るアップデートへの期待
F1
F1
アメリカGP
7 日前
マクラーレン、今後前進するための”一歩”。マシンの新たな方向性を探るアップデートへの期待

マクラーレン、3連戦でアップデート投入。2027年型マシンの基礎に「基本コンセプトのいくつかを検証したい」
F1
F1 11 日前
マクラーレン、3連戦でアップデート投入。2027年型マシンの基礎に「基本コンセプトのいくつかを検証したい」

マクラーレン、ハースF1入り逃したフォルナローリを引き続きリザーブに。WECのドライバーにも大抜擢
F1
F1 12 日前
マクラーレン、ハースF1入り逃したフォルナローリを引き続きリザーブに。WECのドライバーにも大抜擢
最新ニュース

Moto3マレーシア決勝|王者キレス、独走逃げ切りでポール・トゥ・ウィン! 日本勢がポイント獲得
Moto3
MOT3 Moto3
マレーシア
7 分前
Moto3マレーシア決勝|王者キレス、独走逃げ切りでポール・トゥ・ウィン! 日本勢がポイント獲得

ついにF1デビューへ……平川亮の想い叶う。紆余曲折も、常に語り続けてきた目標が現実に「F1は夢」
F1
F1 F1
メキシコシティGP
27 分前
ついにF1デビューへ……平川亮の想い叶う。紆余曲折も、常に語り続けてきた目標が現実に「F1は夢」

カタールGP開催を巡りライダーとMotoGP間で緊張高まる。ストライキしたら最終2戦出場停止ペナルティも??
MotoGP
MGP MotoGP
カタールGP
1 時間前
カタールGP開催を巡りライダーとMotoGP間で緊張高まる。ストライキしたら最終2戦出場停止ペナルティも??

ハミルトン、フェラーリ移籍後初のPP獲得! 41歳ポールシッターはマンセル以来「今でもこの仕事が大好きだ」
F1
F1 F1
メキシコシティGP
1 時間前
ハミルトン、フェラーリ移籍後初のPP獲得! 41歳ポールシッターはマンセル以来「今でもこの仕事が大好きだ」
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
次の 2 つのオプションがあります。
- サブスクライバーになります。
- 広告ブロッカーを無効にします。
購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします
広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード
お知らせの管理
登録