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雨予報のマイアミGP、新世代のF1にとっての試練に? 雷雨中止だけじゃない懸念点とは

悪天候が懸念されているF1マイアミGPについて、FIAは中止の可能性は低いと考えている。一方で、F1にとっては課題に直面するレースになるかもしれない。

Wet weather

 5月1日に開幕するF1マイアミGP。その走行前日となる木曜メディアデーでは、2つの話題が注目された。ひとつは以前から問題とされてきたF1の新ルールの調整で、もうひとつは決勝日の雨天の予報だ。

 すでにいくつかのチームは2026年型マシンをタイヤテストでウエットコンディションで走らせているものの、マイアミGPは、新ルール下での初めての“全体的な”ウェットコンディションでの走行となる可能性がある。

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 そうなるとまず浮かぶ疑問は、日曜日に発生する可能性のある雷雨がグランプリにどのような影響を与えるかという点だ。この問題は、レース中止の可能性に関する憶測を呼んでいるが、FIAは現時点で中止は想定していないと明確にしている。仮に日曜日に雷雨がマイアミを襲ったとしても、中止よりも赤旗によるレース中断が起こる可能性の方がはるかに高い。

 FIAは、昨年の経験に基づく対応計画もすでに用意している。現地の法律では、落雷、あるいはその恐れがある場合には人々が避難することが求められているが、ハードロック・スタジアム内やガレージ内でそれは可能だ。そのため、憶測されているような中止よりも、赤旗中断の方が現実的なシナリオとなる。

 FIAの広報担当者は次のように述べている。

「今週末の天候予報を注意深く監視している。昨年のマイアミでも雷雨の脅威に直面した経験があり、我々は対応計画を用意している。必要に応じてそれを実施し、走行プログラムへの影響を最小限に抑える」

■ウェットレースへの懸念を和らげようとするFIA

 仮にセッションが通常通り実施され、しかもウェットコンディションで行なわれる場合、次の疑問は、新世代のF1マシンが低グリップ状況でどんなパフォーマンスを発揮するかだろう。

 現在ポイントリーダーのアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は、シェイクダウン時の雨天走行の経験から、次のように語った。

「シルバーストンでのシェイクダウンで雨の中を走ったけど、とても難しかったのは確かだ」

「ただ、今は変更が入って、ウェット時には出力が250kWに制限されるし、ブーストモードも使えない。だからその点では一歩前進していると思う」

Carlos Sainz, Williams

Carlos Sainz, Williams

Photo by: Hector Vivas / Formula 1 via Getty Images

 アントネッリの指摘は重要な点を含んでいる。4月のレース休止期間に行なわれたルール調整はエネルギーマネジメント全体に関わるモノだけではなく、ウエットコンディション向けの調整も含まれていた。リヤのライトシステムによる視認性の向上だけでなく、FIAは低グリップ条件下におけるMGU-Kの制限が可能となった。そのためマイアミGPではその初の事例となる可能性もある。

 またアントネッリが述べた通り、こうした条件下ではブーストモードが禁止されると新たに規定されたため、ドライバーの懸念をある程度軽減することが期待されている。

 しかし、ドライバーたちが懸念点として挙げたのはそれだけではない。例えばカルロス・サインツJr.(ウイリアムズ)はアクティブエアロについても言及した。

 低グリップ条件下でFIAは部分的なストレートラインモードを導入することができる。これは従来ウエットでDRSが規制されていたのと同じで、リヤのアクティブエアロを使用できなくすることを意味している。同時にこれはフロントのアクティブエアロは使える、という意味でもある。

 サインツJr.はここで得られるドラッグ低減効果が、その潜在的リスクに見合うものかどうかに疑問を呈している。彼は次のように指摘する。

「いくつか理解できない点がある。例えばウエット時にフロントだけで使えるストレートラインモードだ。あまりドラッグを減らさないのであれば、なぜ必要なのか分からない。もし日曜日がウエットになるなら、ドライバーズブリーフィングで議論して、何が起こり得るのか、どの仕様でレースをするのかを明確にしておく必要がある」

 FIAは、こうした条件下での部分的アクティブエアロの採用は、マシンのエネルギー消費特性に関する多数のシミュレーションに基づくものだと説明している。また、ドラッグ低減量はチームごとに異なるため、アクティブエアロの効果は設計上の選択にも左右される点も指摘されている。

■タイヤにも課題

 さらに、こうした状況ではタイヤを適正温度に持っていくことも大きな課題となる。アントネッリはこれこそが最大の懸念点であると述べている。

Kimi Antonelli had a taste of wet-weather running in Silverstone

Kimi Antonelli had a taste of wet-weather running in Silverstone

Photo by: Mercedes AMG

「もう一つの大きな問題は、ウエット時にはタイヤウォーマーの温度を上げる必要があるということだ。現状では低すぎると思う。どうなるかは興味深いけれど、難しい状況になるだろう」と、アントネッリは言う。

 またアントネッリはピレリのタイヤについても依然として不確定要素が多いと見ている。ピレリは開発段階でウエットコンディションのテストを重ねているものの、実戦での使用経験は限られている。

「間違いなく非常に”興味深い”状況になるだろう。現時点ではウエットでの未知の要素が多すぎる。特にインターミディエイトをほとんど使っていないし、どんなフィーリングになるのか、どれだけグリップがあるのか分からないんだ。特にこの新レギュレーションではなおさらだ」

 なお、FIAは少なくともインターミディエイトに関しては対応を行なっており、ドライバーのフィードバックを受けてタイヤウォーマーの温度を引き上げ、「初期グリップとウエット時の性能向上」を図っている。

 ただそれで十分かどうかは不透明だろう。直線では速い一方、ダウンフォースが減少しコーナーが遅くなった新世代のマシンでは、タイヤに熱を入れるのがこれまで以上に難しいためだ。

「今年のマシンはタイヤの温度を上げるのが難しい。ウエットでは特に厄介になるだろう。そのためにもタイヤウォーマーの温度を上げる必要がある」とアントネッリは認めた。

 アルピーヌのピエール・ガスリーもアントネッリの見解に同意している。彼は1月のシルバーストンでのシェイクダウンを振り返り、当時は雨ではなかったものの極めてグリップが低い状況を経験している。

「タイヤ温度は30度で、6速でもホイールスピンしていた。マゴッツとベケッツを抜けるたびに毎周下着を替えなければならないレベルだった。人生で最も過酷な経験だったよ。だからどんなコンディションにも、もう準備はできている」とガスリーは笑いながら語っていた。

■マイアミ自体の抱える難しさ

The layout of the Miami track brings its own issues

The layout of the Miami track brings its own issues

Photo by: Glenn Dunbar / Motorsport Images

 ウエットコンディションそのものだけではなく、マイアミGPの会場がハードロック・スタジアム周辺の駐車場に設けられたコースとなっていることも、状況を複雑にしている。

「ここの排水性も問題になる」と、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は指摘する。

「昨年のスプリントでも、グリッドに向かうラップで大量の水たまりがあった」

 サインツJr.はコースに高低差が乏しいことが問題だと指摘する。

「昨年見られたみたいに、ストレートで水たまりがすごかった。このコースは非常にフラットで、水が路面に残りやすいんだ。そして壁が近く視界も悪い現状を考えると、安全性の確保は大きな懸念になってくる」

 もし新世代マシンにとって初の本格的なウェットレースとなれば、ここまでに挙げてきた全ての要素が重なり、チームとドライバーにとっては極めて大きな挑戦となるはずだ。

 それでもサインツJr.は、条件が許せばドライバーたちはレースを望んでいると強調した。

「適切な対策が取られることを願っている。良いショー、良いレースができるようにしたい。ドライバーは皆、ウエットでレースしたいと思っているはずだ。ウエットはかなり楽しいからね。でも、安全を確保するための適切な仕組みとツールが必要だ」

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