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20人中6人が感染……F1ドライバーに新型コロナウイルス感染者が多いのはなぜか?

アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーが、新型コロナウイルスの感染した。これで、同ウイルスに感染したF1ドライバーは6人。現役のほぼ1/3が感染したということになる。F1ドライバーが多く感染しているのには、何か理由があるのだろうか?

Pierre Gasly, AlphaTauri

Pierre Gasly, AlphaTauri

Charles Coates / Motorsport Images

 1月31日(日)の夜、アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーが、新型コロナウイルスに感染したことが分かった。このオフシーズン、同ウイルスに感染したドライバーはシャルル・ルクレール、ランド・ノリスに続き3人目。また全体で見れば、昨シーズン欠場も余儀なくされた3人も含め、合計6人のF1ドライバーが新型コロナウイルスに感染したということになる。

 現在、現役ドライバーの総数は20人。つまり、1/3のドライバーが新型コロナに感染したということになる。確かに現在、同ウイルスが世界中に蔓延しているが、この1/3という確率は、どう考えても非常に高い数字であると言えよう。

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 ではなぜF1ドライバーは、他のスポーツの選手と比較しても、新型コロナウイルスに感染する例が多いのだろうか?

 F1はサッカーやラグビーなどといった一国内を中心としたリーグではなく、世界中を転戦する”世界選手権”である。そのため渡航に際しては、一般の旅行者も使う空港を通るなど、いくつかのリスクを完全に排除するのはほぼ不可能だ。

 しかしそんな中でも、F1とFIAが導入した運営手順はうまく機能し、昨シーズン中頻繁に行なわれた検査でも、陽性者はほとんど確認されなかった。そのため、スケジュールは大幅に変更されたものの、無事に2020年シーズンを終えることができた。アブダビGPの際にはエアブリッジが設けられるなど、F1パドックは外界と完全に隔絶された環境にされたのだ。

 ただシーズンが終わってしまえば、前述のような運営手順が一時停止され、頻繁に検査を受けることもない。とはいえ世界中では感染状況が悪化し、特に変異株の発生も報告されているため、警戒を怠らない必要がある。

 アルピーヌ(昨年までのルノー)F1のドライバーであるエステバン・オコンは昨年末、オフシーズン中に定期的に検査を受けたり、シーズン中のような完全な予防策を講じるのは難しいと語っていた。

「このオフは、厳しいトレーニングをする期間ということになるだろう。シーズン中に失った体重を取り戻し、フィットネスのレベルを再び上げる必要があるからね」

 オコンはそう語った。

「しかし、現時点でヨーロッパ内を移動するのは難しい。予防策を弱めるわけにはいかないけど、実際にはシーズン中と同じようなことはできないからね」

「それほど検査を多く受けることはないだろう。でも感染して15日を失ったり、体調を崩したりするわけにはいかないんだ」

 F1ドライバーは、身体の隅々までトレーニングされたトップレベルのアスリートである。そんな肉体の持ち主であっても、この新型コロナウイルスは大きな影響を及ぼす。

 アストンマーチン(昨年までのレーシングポイント)のドライバーであるランス・ストロールは、新型コロナウイルスに感染してアイフェルGPを欠場したものの、復帰した際にもその影響はまだ残っており、それはしばらくの間続いていたと語っていた。

「復帰して最初の数レースは簡単ではなかった」

 ストロールはmotorsport.comのインタビューにそう語った。

「ポルトガルやイモラなどいくつかのレースで、新型コロナウイルスの後遺症があった。実際にそれは本当に大変だった。ロシアGPからポルトガルGPまで、ほぼ1ヵ月マシンに乗れなかった。その間、運動もほとんどできなかったんだ。トレーニングできなかったから、筋肉はごっそり落ちた。復帰するのは大変だったよ」

 こういったリスクがあるにも関わらず、ドライバーたちはオフの間にも渡航することが多かった。その行動については疑問が提起されることもあった。

 ノリスとルクレール、そしてガスリーは、いずれもドバイに渡り、その滞在中もしくは帰国後に新型コロナウイルス感染が発覚している。マクラーレンによれば、ノリスはトレーニングキャンプを張るためにドバイに行ったというが、トレーニング期間に入る前に短い休暇を現地で過ごしたことが分かっている。またガスリーはドバイにアパートを持っており、冬の間はそこで過ごした。実質的には”ステイホーム”しているということにはなるが、それでも市中でマスクをしない状態でファンが撮ったと見られる写真がSNSに投稿されている。

 

 感染状況の悪化により、昨年末から各国が人々の行動制限を再び強化した。しかしドバイは感染者が少なく、行動が比較的自由であり、入国するのもそれほど難しくなかった。

 同国の国営航空会社であるエミレーツ航空は、ドバイは「旅の回廊」であると謳い、イギリスに戻る旅行者が、到着後に2週間自己隔離する必要のない数少ない国のひとつであった。そしてマスクの着用義務以外の制限はほとんど解除され、3月までに人口の50%にワクチンを接種させる計画も始められた。

 しかし当然のことながら、今では感染者が急増。1月30日にはアラブ首長国連邦(UAE/ドバイも含まれる)で3657人の陽性者が確認されている。人口1000万人ほどの国であることを考えれば、これは非常に多い数であると言える。この結果、イギリス政府はUAEをレッドリストに載せ、旅行を禁止するよう要請した。

 冬のトレーニングのためにドバイを訪れていた多くのスポーツ選手も、新型コロナウイルスに感染したことが発覚。これには、マンチェスター・シティとアーセナルのサッカー選手も含まれる。またスコットランドでは、ドバイで行なわれたトレーニン合宿に参加した選手のひとりが陽性であることが分かったため、その濃厚接触者など13人の選手が最近の試合に出場できない事態となった。

 F1にとってこのオフは、70年にも及ぶ歴史の中でも最も重要なオフであると言える。昨シーズンはわずか5ヵ月の間に17戦ものレースが行なわれたため、関係する誰もが休息を求めているのだ。ドライバーたちも、シーズン中には楽しむことができなかった”自由”をこのわずかな期間だけ手にし、休息に充てているわけだ。

 ガスリーは昨シーズン終盤、次のように語っていたことがある。 

「少し檻に閉じ込められているような気がする。本当にやりたいことをやったり、会いたい人に会ったりする自由がないんだ」

「オフシーズンにある限られた時間の間に、シーズン中よりも良い個人的な生活を送れるようにしたいと思っている。来年何が起きるか分からないからね。もしかしたら、同じような状況になるかもしれない」

 ただここまで述べたようなことでは、新型コロナウイルス陽性となるF1ドライバーが多いことを説明できていない。MotoGPも、F1と同様に世界中と転戦し、昨シーズンは短い期間に多くのレースが開催された。ただ、現時点でオフシーズンに新型コロナウイルス陽性となったことが確認されているのは、下位カテゴリーのMoto2、Moto3も含め4人のライダーだけだ。そして、ほとんどのライダーはオフシーズンをヨーロッパで過ごした。

 一部のF1ドライバーとチームは、オフシーズンの動きをできるだけ目立たせないようにした。セルジオ・ペレス(レッドブル)とセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)は最近、いずれも新たなチームのファクトリーでシート合わせを行なうため、イギリスに渡航したことが分かっている。しかしそれ以外ではドライバーがファクトリーを訪れたり、休暇を取ったりした兆候はなく、現在の新型コロナウイルスの状況に対処するため、チームからのアドバイスに従っているとうだ。

 ノリス、ルクレール、ガスリーを擁護するわけではないが、彼らにとってはシーズン中に感染するより、オフの間に感染しておいた方が良かったかもしれない。

 研究結果はまちまちではあるものの、イギリス公衆衛生サービスの最近の発表によれば、一度新型コロナウイルスに感染すれば免疫を獲得し、再感染に対して83%の防御力を手にできるという。そしてその効果は、少なくとも5ヵ月間は持続するというのだ。しかし新型コロナウイルスに感染すれば、それを他の人に広げてしまう危険性がある上、免疫についても実際にどれほど長続きするのかは不透明な部分もある。

 彼らがどんな後遺症に悩まされているか、それはまだ分かっていない。ノリスはドバイで自己隔離期間を終え、イギリスに帰国している。またルクレールは先週、フィオラノで行なわれたフェラーリのプライベートテストに参加し、2018年仕様のF1マシンを走らせている。ただどちらもまだメディアのインタビューには応えておらず、どれほどの影響を受けているのかは興味深いところだ。

 今年からF1のCEOを務めているステファノ・ドメニカリは、”We Race As One”のキャンペーンの一環として、ドライバーたちは反人種差別をコース内外で訴えるアンバサダーであるべきだと語った。

 そしてこの新型コロナウイルスに関しても、同じことが言えるはずだ。ドライバーたちは、たとえオフシーズンであったとしても、自分のためだけではなく、より広く世界的な状況を認識させるために、可能な限り厳格にガイドラインを守り、新型コロナウイルスの感染を広めないように注意することが重要だ。レース欠場のリスクはないからといって、防御策を完全に緩めていいというわけではないのだ。

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