”特殊な”スパ・フランコルシャンで、スプリント・フォーマット実施は過酷? 1回のみのフリー走行では、最適なバランスは見つからない……
今季のF1ベルギーGPは、初めてスプリント・フォーマットで実施される。このことは、各F1チームにとって大きな課題となるだろう。
今週末に開催される2023年のF1ベルギーGP。このベルギーGPは、アゼルバイジャンGP、オーストリアGPに続き、今季3回目のスプリント・フォーマットで行なわれるグランプリとなる。各チームともこのスプリント・フォーマットに対する経験を積み重ねてきたが、ベルギーGPでの初めてスプリント・フォーマット実施は、チームにとって厳しいチャレンジになるだろうことは間違いない。
スプリント・フォーマットで行なわれる週末は、金曜日のフリー走行1回目を終え、予選が始まった段階でマシンはパルクフェルメ状態となり、セッティングを変更できる範囲が著しく制限される。
スパ・フランコルシャンは、オー・ルージュ〜ラディオンなど、高低差が大きいことで知られており、さらに直線スピードも重要である。
そのため各チームは、昨年までは3回行なわれるフリー走行をフル活用し、ダウンフォースと空気抵抗のバランスを考え、さらに車高の調整も行なってきた。しかし前述の通り今季は1回のみしか、この調整に使うことができる時間がない。もしセッティングを誤ってしまえば、ケメルストレートでの最高速が伸びずにライバルに簡単にオーバーテイクされてしまったり、逆にコーナリング区間でペースを失ってしまう可能性がある。
Eau Rouge track action
Photo by: Erik Junius
通常、スパ・フランコルシャンには、各チームとも低ドラッグ仕様の空力パッケージを持ち込む。チームによっては、スパ専用の新しいウイングやブレーキダクトを持ち込む場合もあるかもしれない。
また、アップデートパーツを投入するチームもある、例えば今週末には、アルピーヌが新しいフロアを投入する予定である。
さらに、新しい構造となったタイヤも、チームの苦悩に拍車をかけるはず。この新構造タイヤはイギリスGPで投入されたばかりであり、今回のベルギーGPは3戦目。各チームとも、この新構造タイヤをまだまだ学んでいる最中なのだ。
その状況に、天候も追い討ちをかけてきそうだ。現在の天気予報では、金曜日には雨が降る可能性が高いと言われている。もしその予報通り雨が降れば、ダウンフォースの面でも、タイヤの評価という面でも、やれることは非常に限られてくる。
アストンマーチンのパフォーマンス・ディレクターであるトム・マッカローは、ベルギーGPについて次のように語る。
「我々にとって最大の懸念は、FP1に雨が降ることだ。これは長年にわたってよく起きることだ」
そうマッカローは語った。
「そして我々は、今年は8月の夏休み前、いつもよりも少し早めにそこ(スパ)に訪れることになる」
「シミュレーションツールに大きく依存することになる。我々はこのタイヤについてまだ学習しているところだ。非常に特殊なコースで、しかも1回しかないセッションで、燃料搭載量が少ない状況、多くの燃料を搭載した状況、そしてウエットコンディションに向けたセットアップの全てを見極めて、すぐに週末に突入しなければいけない。とはいえ、我々はまずまずの状態にあると思う」
またアルファタウリのチーフ・レースエンジニアであるジョナサン・エドルズは、ダニエル・リカルドが加入したばかりであるため、他のチームよりも厳しい状況にあると語る。
「スプリントの週末は、いつでも厳しいモノだと思う。それは、誰にとっても同じだ」
そうエドルズは言う。
「イベント前の作業とシミュレータの作業に、より重点を置く必要があると思う。優れたシミュレータがあれば、すぐに走り始めることができるだろう」
「しかしダニエルにとっては、より厳しい状況になるだろう。彼はまだ、我々のマシンを学んでいるところだ。我々はいつもとは大きく異なるダウンフォースレベル、非常に特殊なコース、より硬いタイヤ、より低い温度で走らなければいけない」
「走り始める時にセットアップを整えて、その後は彼に周回させる。おそらく、FP1を通じて空力やバランスを調整することになるだろう」
Sergio Perez, Red Bull Racing RB18
Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images
エドルズ曰く、トップスピードを他チームに合わせるようにセッティングを変更しなければいけない場合もあると明かす。
「自分たちのクルマのシミュレーションから得られた最適値が、他とは異なる場合がある」
そうエドルズは言う。
「そして最終的にトップスピードに達した時に、他のドライバーたちと同じように走るために、自分たちのレースに最適だと考えるモノとは少し異なる走りをする必要がある場合もある」
「だから、間違いなくリヤウイングは話題になるだろう。イベントに特化した新しいリヤウイングが登場することもあるかもしれない。昨年を振り返り、イベント前のシミュレーション作業に関しては、できる限りのことを行なっている。今年の僕らのアプローチは、自分たちにとって最適なモノを見つけようとすることだ。それにより、僕らは他と同期することになる」
「それでもし僕らが外したら、予選に向けて変える必要がある。それも決して簡単ではないんだ」
理論的には、走行が制限された状況では、良いシミュレーションツールを手にしているチームにとって有利になるはずだ。
「フォーマットが違うのは確かだ」
フェラーリのフレデリック・バスール代表はそう語る。
「しかしこれまでのところ、予選前にFP1しかない中で、我々はスプリントレースでかなり良い成績を収めてきたと思う。バクーでも、レッドブルリンクでもかなりうまくいった」
「スパでも同様になることを願っている。どのチームも、シミュレーションに関してはかなり進んでいると思う。そして我々は、自分たちがどんなポジションにいるのかわかっている」
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