F1メカ解説|深刻な健康リスクに? ブレーキダストをドライバーが浴びている理由
FIAは今後数週間、F1ドライバーのブレーキダストに関する懸念に対処するために行動を起こす必要があるかどうかを評価するため、チームと協議する予定だ。
写真:: Giorgio Piola
ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】
Analysis provided by Giorgio Piola
FIAは、F1ドライバーがブレーキディスクから発生しているダストを吸い込んでいる問題の解決に向けて動き出しており、今後数週間のうちにチーム側と協議する予定だ。
この問題は、オーストリアGPでセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)がマシンを降りた際、顔がダストで黒くなっていたことで明らかとなった。
ベッテルは、長年の課題であった前走車のブレーキダストだけでなく、ブレーキダクトのレイアウトが今シーズンから変更され、自車から発生するダストもドライバーが浴びるようになったことで問題が悪化したと語った。
「今年のブレーキダクトのデザインは、フロントアクスルからブレーキダストがすべて顔に飛んできて、いいことはない」
以前はブレーキダクトから取り込んだ空気をホイールから車両側面に排出していた。この分野はデザインの自由度が高く、各チームが多くのリソースを投じてブレーキダクトやホイールリムのデザインなどの開発を行なった。
しかし、今季から導入したレギュレーションは後方への乱流を生む要因を削除するため、ブレーキダクトのデザインが変更されている。ダクトの出口を、後方に向けることが義務付けられたのだ。しかしこれが、カーボンダストの問題を引き起こすことになったようだ。
標準ホイールとホイールカバーにより、車両側面へ気流を排出するのではなく、前方から取り込んだ空気を後方に向けて出すようになったのだ。
ドラム内の熱と気流をどのように管理するかは、各チームが創造的に解釈できる自由度があり、レッドブルのRB18のように、ブレーキディスクを囲むフェアリングを選択するチームも多い。
Red Bull Racing RB18 brake drum detail
Photo by: Uncredited
ブレーキダクト吸気口と排気口の形状、大きさ、位置はレギュレーションで決まっているが、各チームが個性的にデザインする余地がある。
しかし排気ダクトに関しては、各チームに自由度が与えられすぎている可能性があるとして、FIAが注目している部分だ。
またブレーキディスクの直径が最大278mmから、325~330mmへと大幅に拡大されることも覚えておくといいだろう。
さらに、ブレーキディスクを貫通する冷却孔の直径は3mm以上でなければならず、これは冷却孔の数とデザインに劇的な影響を与える。ブレーキパッドに冷却孔を開けてはいけないことも明確にされた。
これらの変更が、ブレーキダストの発生増加につながっている可能性があるのだ。
したがってチームとの協議の中で、ブレーキディスクとダクトの設計の詳細が注目されることになる。気流をマシンの外に吹き飛ばさないようにするという当初の目的を損なうことなく、良い解決策を見つけようとするだろう。
長期的に見れば、FIAがブレーキディスクの材質変更など、より根本的なことを検討する可能性もあるだろう。
2022 brake disc dimension
Photo by: Giorgio Piola
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