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ダニエル・リカルドのF1公式ゲームに対する認識が変わった理由「かつては見下していたけどね」

マクラーレンのダニエル・リカルドは、1996年以来、プレイステーションの公式F1ゲームを愛してきた。しかしそのゲームに対する認識は、ここ数年で大きく変わったという。

Daniel Ricciardo, McLaren

写真:: Steven Tee / Motorsport Images

 1996年、前年のチームとドライバーの情報を収録したプレイステーション用のF1公式ゲームが発売された。このゲームには、ドライバーやチームが実名で登場するだけでなく、実況の音声も収録……英語版にはマレー・ウォーカーが声を吹き込んだ。

 マクラーレンのダニエル・リカルドは、子供の頃からこのF1公式ゲームに親しんできたという。

「それは本当に偉大なモノで、子供の頃はそのゲームで遊んで、とても楽しかった」

 リカルドはそう語る。ただリカルドにとってそれは、長いこと”ただのゲーム”だったという。しかし月日が経つに連れてグラフィック、モデルやハンドリングの再現性は著しく進歩しており、今やシミュレーションとも言えるレベルに引き上げられた。

 その最新のリアリズムは、リカルドの認識を変えるのに大いに役立ったようだ。

 シムレースの世界は、現在はかなりハイレベルになっており、世界大会も開催されるほど。そしてシムレーサーの何人かは、実際のレースへと挑もうとしてきた。また、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)やランド・ノリス(マクラーレン)といった若手ドライバーは、シムレースにも積極的に参加。そのオンラインでの戦いでどんな恩恵を受けているのか、リカルドはそれを観察したという。

 現在のF1は、コース上を実際に走る機会が、著しく制限されている。そのため、レースの感覚を保つために、シミュレータへの注目が日に日に高まっている。そういうことも考えれば、リカルドの認識が変わったのも不思議ではないかもしれない。

 結局リカルドは、今では何らかの好影響を受けることができるほど、ゲームのレベルが引き上げられていると考えており、初めて自宅用のシミュレータを購入することを検討しているという。

「最初は、時間を潰すには楽しいことだと思っていた。でも今は、もっと価値のあるモノになっていることは間違いない」

 リカルドはそうmotorsport.comに語った。

「シムレーサーの中には、そのスキルを実際のクルマを移行することができた人もいる。それは、少々目を見張るモノだ。僕らは1995年の”F1”について話したけど、それは今僕らが持っているモノとは大いに異なっている」

「しばらくの間、僕の頭は『それはただのゲームだ』と考えていた。でも今では、それから本当に、何を学ぶことができるだろうか……というようなモノになった」

 リカルドがシムレースから得ることができると考えるのは、実際のレースで集中するために、精神面の準備を整えることだという。

「僕らF1ドライバー全員が抱える最大の課題は、週末に新しいタイヤを履いて、完璧な周回をこなすためのチャンスは数回しかないということだ」

「レースの間が3週間空くこともあれば、シーズンが終わった後は2〜3ヵ月もレースがないことがある。正確性が求められるスポーツにとっては、それはとても奇妙なことだ。多くの技術が関わり、精度が求められる……にも関わらずその間走行できないというのは、僕らドライバーの誰にとっても、完璧にこなすことを難しくする」

「間違いなく、僕は偏見を持っていなかった。F1のシミュレータは好きだったしね。この6〜12ヵ月は、家のシミュレータで周回を繰り返した」

「そのことは本当に重要だと思う。同じマシンでなくても構わない。例えば、GTカーの場合もある。それによって周回を重ねることは、『オーケー、このラップは完璧にこなさなければいけない』というような環境に身を置くことに繋がる。それは、少し精神的なことだ。自分にプレッシャーをかけようとするんだ」

■実際の比較

Daniel Ricciardo's McLaren in F1 2021

Daniel Ricciardo's McLaren in F1 2021

Photo by: Codemasters

 F1公式ゲームの最新版『F1 2021』のアンバサダーとしてリカルドは、同ゲームの開発を担うコードマスターズの担当者と、直接話す機会があったようだ、

 そのことにより、彼の実際の経験と最新ゲームを比較することができたという。F1公式ゲームによって、実際のマシンをドライブした時と同じような肉体的な負荷を再現できるわけではない。しかしリカルド曰く、ゲームが実際の体験の一部を模倣できるのは、微妙な領域にあるという。

「少し前を遡ると、縁石やランオフエリアの芝生でさえ、非常にフラットだった。コントローラーを介して縁石の衝撃を受けたり、跳ね返ったりすることはなかった。全てのコースが同じように感じられ、うねりや振動も実際とは違っていた。でも、今ではより近い感触がある」

 マシンの再現性も大幅に改善され、ドライバーがプッシュする時の方法も大きく改善された。

「マシンがスライドすると、その反応を感じることができる」

 そうリカルドは付け加える。

「一方、僕らが”アーケードゲーム”と呼んでいた時のモノは、もう少し路面を掴むことができる。グリップは100%か、あるいはゼロか……だからフィーリングは無いに等しいモノだった」

「実際のF1でも、早めにスロットルを開けることができれば、リヤホイールからとても大きなパワーを得られる。そうすれば、ラップタイムは明らかに速くなるだろう」

「ビデオゲームでは、ブレーキングを遅くしたり、いくつかのアシストを使用することにより、ラップタイムを向上させることができた。でも今は、ラップタイムを削ったり、速く走るための方法が、順調に近づいていると思う。つまりスローイン、ファストアウトだ。それが、最高のラップタイムを計測する方法だと思う。そういう面でも、より現実に近くなっている」

 リカルド曰く、F1公式ゲームの精度は、F1チームが使っているシミュレータと近づきつつあるという。

「確かに近づいてきている」

 そうリカルドは言う。

「トラックマップというモノがある。これは実際のコースと比較して、その外観と感触が近いかということは過小評価されていると思う。F1チームは、実際のコースを測定し、高度はキャンバー角などを得られるため、ほぼ完璧だ。そして今では、F1ゲームはかなり長い道のりを進んできたが、ほとんどのサーキットは実際のモノに近いと思う」

「ブレーキのロックやトラクションといった面でも、パーセンテージで示すのは難しいと思う。しかしF1チームのシミュレータが、実際のマシンと比較して80%のリアルさである場合、これまで僕はゲームは30%の再現度だと言ってきた。しかし今では、それは50%をはるかに上回るところまできている」

■シミュレーションレースvs現実世界

 リカルドのように、ゲームに対する評価を変えた人ばかりではない。今もシムレースに対して懐疑的な見方をする人がいるのも事実だ。

 リカルドもかつてはシムレースを見下していたものの、今では状況が異なると語った。

「正直に言おう。最初は、僕もそうだった。レースは、僕がずっとやってきたモノだったからね」

 そうリカルドは説明する。

「そうしてきたことについては、誇りに思っている。実際のレースでは、ウォールにクラッシュすると痛い。しかしシムレースでは傷つくことはない。だから、そこにはプライドがあると思う」

「でも一部のシムレーサーが、実際のレースカーに乗り換えて才能とスキルを示すのを見てきた。僕は彼らを無視することはできない。彼らはただ家で遊ぶだけの、怠け者ではないんだ」

「たしかに、実際と同じようなスキルと努力が注がれていると思う。だから僕はそれを尊敬する。正直に言うと、彼らがどれだけ優れているのかということに、驚かされたんだ」

「実際のマシンに乗っていなくても、もちろん問題ない。でも、大きな問題は恐怖だ。壁にぶつかる時の痛みという恐怖を脇に置いて、それをすることができるだろうかということだ。しかし、スキルという観点から言えば、彼らはかなり印象的だと思う」

 リカルドにとってF1公式ゲームが重要なことがもうひとつある。それは、自身が実名で収録されているということだ。

「僕はF1でも、自分のことをつねって、これが現実だということを確かめる。でも、ゲームでも同じことをしなきゃいけないんだ」

 そうリカルドは笑う。

「子供の頃、それがどれくらいすごいことなのかを身をもって体験した。世界中の子供が、このゲームを家に持っていて、『ああ、ダニエル・リカルドだ! 今日は彼と対戦したい』と思うことができるんだ」

「それは馬鹿げたことに聞こえるかもしれないけど、かなり素敵なことだと思うよ!」

 

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