2021年のF1、ダウンフォース削減のためフロアを縮小……意図しない結果に繋がる可能性?
2021年シーズンに向けては、基本的にはマシンの開発が凍結されることになった。しかし、そんな中でも空力開発は進んでいくことになっており、ダウンフォースの増加を抑えるためにも、フロアが小型化されることになった。
写真:: Giorgio Piola
ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】
Analysis provided by Giorgio Piola
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、シーズン開幕が大きく遅れることになった2020年のF1。現時点では7月5日にオーストリアで開幕し、その後ヨーロッパ内で8戦を開催するスケジュールが組まれたが、9月中旬以降、フライアウェイ戦についての見通しは立っていない状況だ。
既にF1チームは、ウイルス感染拡大に伴い財政的な影響を受けている。そして、もしレースの開催数が減ることになれば、その財政的な打撃はさらに大きくなる可能性が高い。
この状況に対処するため、F1は来季に向けてマシンの開発を凍結することを決定した。つまり、基本的には来シーズンも、2020年と同じマシンを各チームが走らせることになるのだ。
しかしそんな中でも空力開発は許される予定であり、ダウンフォースが増加していくのは避けられない。その一方で2021年シーズンまで、2019年仕様のタイヤが使われ続ける予定となっており、増大するダウンフォースによる負荷に耐えられるのか、懸念されている。
これに対処するため、2021年用のマシンは、フロアの後ろ半分の幅が徐々に狭められる形となり、ダウンフォース量を約10%削減することが目指されている。具体的には、フロア端に開けられることが多かった穴を排除。さらにフロントホイール中心線の後方1800mmの位置から、リヤホイールの中心線よりも175mm前の位置に向け、フロアを100mm狭めなければならなくなったのだ。これにより、ディフューザーをしっかりと機能させるために、リヤタイヤ後方に発生する乱流との間を区切るのが難しくなるはずだ。
2021 floor rules
Photo by: Giorgio Piola
フロアの穴
現在のF1マシンのフロアの端には、前後方向に長いスリットが、多く入れられている。近年ではリヤタイヤの前方に斜めのスリットが入れられている。
Haas-Ferrari VF-20 floor detail
Photo by: Giorgio Piola
このフロア端のスリットは、エアカーテンの役割を果たしている。つまり、フロントタイヤ後方で発生した乱気流が、フロア下の気流に悪影響を及ぼさないようにしているのだ。
2020-2021 floor comparison
Photo by: Camille De Bastiani
一方、リヤタイヤのすぐ前に開けられた斜めのスリットは、”タイヤスクワート”の影響を軽減させるためのものだ。タイヤは走行中に大きく変形することがあり、この変形によって周囲の気流を乱す。この影響はディフューザーにも及ぶことになるため、ダウンフォースが失われる可能性になる。
ただ2021年のF1マシンには、フロアを狭めることとともに、これら2パターンの空力的影響を制御するためのスリットが入れられなくなってしまう。このことはデザイナーたちを大いに悩ませ、別の方法でその悪影響を制御する方法を模索しなければいけないということになる。
ただしおそらく、各チームはこの問題に対処してくるだろう。フロアの前端やバージボード、その他フロアの表面を大きく変化を加えてくるはずだ。おそらくチームは、2021年シーズン中には、失われる10%のダウンフォースを取り戻してくるだろう。
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