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F2に5人を送り込むも、F1に空席なし。“人材過多”のフェラーリ育成が抱える問題

2020年、フェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)は実に5人もの若手ドライバーをFIA F2に送り込む。しかし、フェラーリF1チームは来季のカルロス・サインツJr.加入が決まっており、シートを巡る争いは非常に厳しいものとなっている。

Mick Schumacher, Prema Racing and Giuliano Alesi, Trident

Colin McMaster / Motorsport Images

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 2020年シーズンのF1は新型コロナウイルスの影響で開幕が3月から7月に延期されたが、その間に2021年に向けた移籍市場は大きく動くこととなった。セバスチャン・ベッテルがフェラーリを離脱し、その後釜としてカルロス・サインツJr.が加入、そしてサインツJr.移籍によって空いたマクラーレンのシートは現ルノーのダニエル・リカルドが確保……2021年はドライバーラインアップが大きく変わることが確実視されている。

 この一連の動きは他のドライバーにも影響を与えることになるだろうが、それはジュニアカテゴリーを戦う若手ドライバーにも言えることだ。近い将来のF1昇格を目指す彼らにとって、シートが空かないことにはどうすることもできないからだ。

 それは特にフェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)の面々に当てはまると言える。今季はF1直下のカテゴリーであるFIA F2にFDAから実に5人のドライバーが参戦することになっている。昨年も同カテゴリーを戦ったミック・シューマッハー、ジュリアーノ・アレジ、カラム・アイロットに加え、ロバート・シュバルツマン、マーカス・アームストロングがFIA F3からステップアップする。

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 フェラーリは2018年からアルファロメオとパートナーシップを結んでおり、実質的なBチームとすることに成功している。これにより、アルファロメオ・ザウバー時代の2018年にシャルル・ルクレールのF1デビューを実現させ、2019年にはFDAのメンバーではないもののフェラーリの息がかかったアントニオ・ジョビナッツィをフル参戦デビューに導いた。

 2年前のFDAが目指していたのは、当時フェラーリに所属していたキミ・ライコネンの後釜を見つけることであった。それは2019年にルクレールが加入したことによって達成されたが、次は4度の世界王者であるベッテルの後任を擁立しなければいけなくなったのだ。

 仮にベッテルが2年の延長契約にサインし、2022年までチームに残っていれば、フェラーリはベッテルの後任を準備するための十分な時間が与えられていただろう。ジョビナッツィはアルファロメオで自身の才能を見せつける時間があっただろうし、それができなかった場合には新たな若手を昇格させてその実力をチェックすることもできただろう。

 しかし、ベッテルの今季限りでの離脱が決まったことで、状況はより複雑となった。ルクレールのパートナーとなる若くフレッシュな人材を求めていたフェラーリは、FDAの一員ではないサインツJr.と2021年からの2年契約を結んだのだ。

 今回フェラーリはベッテルの後任を決めるにあたって、ジュニアドライバー以外にも目を向けざるを得なかった。F1での経験があったのはジョビナッツィただひとりだったが、彼はアルファロメオでの1年目のシーズンが芳しくなく、ステップアップには時期尚早であると判断されたのだ。昇格が時期尚早であったことに関しては、ジョビナッツィ本人も認めている。

 実際、サインツJr.はジョビナッツィよりも1歳若く、フェラーリの求めていた条件と合致する。つまり、サインツJr.が新たな環境にうまく適応して契約延長を勝ち取ろうものなら、若手ドライバーたちのフェラーリ入りのチャンスはどんどんと限られていってしまう。

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Robert Shwartzman, PREMA Racing

Robert Shwartzman, PREMA Racing

Photo by: Joe Portlock / Motorsport Images

 ここ数年間、FDAにはルクレールを除いて目立ったドライバーがいなかったが、下部カテゴリーに焦点を当てて支援することによって、今季はFDAのドライバーが5人もFIA F2を走ることになった。

 今季のF2は、フェラーリジュニアの序列を明確にする重要なシーズンとなるだろう。もし誰かがタイトルを獲得すれば、フェラーリが所有するアルファロメオの1席に座るジョビナッツィにとって大きなプレッシャーとなることは間違いない。

 現時点でジョビナッツィに最も大きなプレッシャーをかけているのは、シューマッハーの存在であろう。偉大なF1王者を父に持ち、これ以上ないネームバリューを持っている彼は、既にフェラーリとアルファロメオでF1マシンをテストしており、今季はプレマから2年目のF2シーズンを迎える。

 ただ、そんなシューマッハーのF2デビューイヤーは、率直に言って期待外れであったと言う他ない。確かに経験豊富なベテランドライバーが目立っていたシーズンではあったが、シューマッハーはハンガロリンク戦レース2での優勝が唯一の表彰台となり、周冠宇、故アントワーヌ・ユベール、そして同じFDAのアイロットという3人のルーキーにランキングで敗れてしまった。

 昨年はポールポジションを獲得するなど見せ場を作ったアイロットは、チャロウズからユニ-ヴィルトゥオーシに移籍。昨年戦闘力の低いトライデントで苦しんだアレジもHWA(旧アーデン)に移籍し、共に新天地で2年目のシーズンを迎えることとなった。

 そしてシューマッハーにとって最大の脅威となるのが、今年からチームメイトとなったシュバルツマンだ。彼らは2018年のユーロF3でもチームメイトとなっており、その時はシューマッハーがチャンピオン、シュバルツマンがランキング3位となっている。翌2019年はシューマッハーがF2に昇格した一方でシュバルツマンはFIA F3に参戦し、見事タイトルを獲得。そしてふたりはまた同じ土俵に立つことになったのだ。

 現時点でルクレールの後に続く存在として最も可能性があるのは、シュバルツマンだろう。フェラーリは彼とシューマッハーのどちらがF1昇格に最適なのか見極めることができるため、理想的な状況だと言える。

 ただ、シュバルツマンと共にF2に昇格したアームストロングも見逃せない。彼の強みは何と言っても、昨年ニック・デ・フリーズがタイトルを獲得したARTグランプリのシートを得たことだ。強豪チームからの参戦とあって、1年目からのタイトル挑戦に期待がかかる。

 ただ、仮に彼らのいずれかがタイトルを獲得した場合、2021年のF1シートを獲得する上で十分だと言えるのだろうか? つまるところ、それはジョビナッツィの2020年シーズンの働きぶりにかかっている。

Antonio Giovinazzi, Alfa Romeo

Antonio Giovinazzi, Alfa Romeo

Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

 ジョビナッツィは昨年、チームが苦戦しているにも関わらず、後半に尻上がりに調子を上げてライコネンに匹敵する速さを見せた。今季は新型コロナウイルスの影響で過密日程のシーズンとなるが、その中でも昨年後半と同じかそれ以上のパフォーマンスを見せる必要がある。

 もしジョビナッツィがアルファロメオ残留に十分な力を発揮した場合、ジュニアドライバーの管理はさらに難しくなるだろう。FDAの面々のうちの誰かがタイトルを獲ったとしても、行き場を失くすことになりかねない。つまり、光る才能の数に対してシート数が足りないという事態が起こり得るのだ。

 ルクレール以外でF1へと辿り着いたFDA生に、GP2(現FIA F2)とフォーミュラ・ルノー3.5で好成績を残し、2013年にマルシャからF1デビューを果たした故ジュール・ビアンキがいる。しかし、現在F1へと直接繋がるカテゴリーは実質的にFIA F2のみであり、F1昇格に向けてアピールできるチャンスは限られている。さらに参戦チーム数も当時よりも少なくなっており、今の若手はビアンキの時よりも厳しい状況に置かれていると言える。

 ルクレールのように、シングルシーターデビューから5年でフェラーリのシートを勝ち取るような逸材はそうそう出てこないだろう。しかし、フェラーリはこれを長期的なプロジェクトと捉えているはずだ。ひとりのジュニアドライバーにじっくりと時間をかけて経験を積ませ、アルファロメオの躍進に貢献させるのだ。2年前のように、衰えが見えるベテランドライバーの後任を急いで探している訳ではない。

 ベッテルの後任となることを狙っていたフェラーリの若手たちにとって、サインツJr.の加入は確かに影響を与えているが、彼らにはまだ時間がある。彼らが目指すべきなのは、サインツJr.がフェラーリ行きを決めた時のように、適切なタイミングで適切な位置にいられるようにする、ということだ。

 

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