F1 サウジアラビアGP

ハースF1、“夢”を追う。昨年最下位から悲願の初表彰台獲得へ「正しいタイミングで、正しいポジションにいることが重要」

昨年コンストラクターズランキング最下位だったハースは今年、表彰台を狙える位置にいる。2016年の参戦以来果たせていない夢を叶える可能性は決して低くない。ドライバーとチーム代表が、夢の実現に向けて語った。

Luke Smith

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公開日時: 2022/03/26 12:09

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Guenther Steiner, Team Principal, Haas F1, Kevin Magnussen, Haas F1 Team, Mick Schumacher, Haas F1 Team, the Haas team celebrate after the race

 F1 2022年シーズン開幕戦バーレーンGPの決勝後、メディアセッションに20分ほど後れて登場したハースのチーム代表、ギュンター・シュタイナーは申し訳なさそうな表情を浮かべ、集まったジャーナリストにこう言った。

「みんな、ごめんね。チームで集合写真を撮らなきゃいけなくてね!」

 そう言うと、シュタイナーは決勝での嬉しい話題を語るべく席についた。

 チームのケビン・マグヌッセンはF1復帰戦で5位入賞を果たし、2020年のアイフェルGP以来のトップ10入り。決勝の2時間で、2年分のポイントを獲得した。

 ここ数シーズン厳しい戦いが続いており、さらにロシアのウクライナ侵攻に端に発するタイトルスポンサーのウラルカリ、およびドライバーのニキータ・マゼピンとの契約解除など、チームにとって苦しい状況が襲いかかっていたが、ようやくハースに祝報がもたらされた。


 バーレーンで行なわれたプレシーズンテスト2回目から、2022年シーズンマシンの『VF-22』が輝き始めた。マグヌッセンの2020年末以来のF1電撃復帰や、彼の手による非公式セッションでのトップタイムなど、風向きが一変したのだ。

 各チームの真価が初めて見える開幕戦バーレーンGPの予選セッションでは、マグヌッセンが7番手、ミック・シューマッハーが12番手を獲得。テールエンダーとしてグリッド最後方が定位置だった時代が終わりを告げたことは明らかだった。

 決勝レースではレッドブル勢のダブルリタイアが助けになった部分はあるが、マグヌッセンが5位入賞を果たし、2018年シーズンの開幕戦オーストラリアGP以来のチーム最高成績を収めた。ハースの復調はまやかしではなかったのだ。レース後、シュタイナーがチームスタッフに「夢を楽しんでほしい」と語ったように、長い間目指してきた成功の喜びに浸っていた。

 連戦となる第2戦サウジアラビアGPの舞台ジェッダ市街地サーキットに到着したハースのクルーの足取りは軽かった。開幕戦終了後、コンストラクターズランキングでフェラーリとメルセデスに次ぐ3番手と、昨年最下位に終わったハースが驚異的な位置につけている。

 ただバーレーンGP終了後、シュタイナーがチームオーナーであるジーン・ハースに電話をかけると、「ハースはジェッダでも同じレベルで戦えるのか?」と彼は次週のイベントに目を向けていたという。突破口となる結果は出せた。この後はコンスタントに結果を出していくだけということだ。

 F1という世界では、ドライバーとチームは常に先を見据え、より良い結果を考えている。ハースは、2021年シーズンの全てを犠牲に、新レギュレーション導入の2022年に向けて爪を研いできた。中団勢トップで戦えるマシンを手にしたハースの次なるステップは、2016年にF1参戦を開始して以来達成できていない「表彰台獲得」。ハースは今、転換期にある。

 バーレーンGPで11位だったシューマッハーはその結果を残念に思う反面、「入賞を逃して残念と思える状況にいること」を嬉しく思っている。

「どのチームも上位を目指しているが、実際には誰もが予想だにしないトラブルに見舞われている」とシューマッハーは言う。

「そうでなければ、僕らにもトラブルは起きなかったはず。確かに、僕らはあそこまで速いとは思わなかった。中団勢で戦えるとは思っていたけど、実際に中団勢のトップに立てるというのは、とても良いね」

 特に、最近の中団勢の混戦具合と拮抗するパフォーマンスを鑑みると、開幕戦でのハースの結果はとても印象的だ。ここ数年のF1には、トップチームにアクシデントが発生すると、その後ろにつける中団勢からレースウィナーが生まれるという傾向がある。エステバン・オコン(アルピーヌ/2021年ハンガリーGP優勝)やピエール・ガスリー(アルファタウリ/2020年イタリアGP優勝)がそれを証明している。

Kevin Magnussen, Haas VF-22, Pierre Gasly, AlphaTauri AT03

Kevin Magnussen, Haas VF-22, Pierre Gasly, AlphaTauri AT03

Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

 意外かもしれないが、昨シーズン表彰台に登ることができなかったのは、ハースとアルファロメオの2チームのみ。そしてその2チームは2022年の開幕戦で躍進を見せている。信頼性やマシン習熟が大きな懸念材料ではあるものの、中団勢での首位を維持することができれば、ハースが表彰台に登る可能性は決して低くはない。

「望み通り、もし常にトップチームのすぐ後ろにいられるのなら、何かあればまっさきに表彰台に登ることができる。メルセデスやフェラーリ、レッドブルに乗っていない限りね」

 そうマグヌッセンは語る。

「すぐに表彰台に辿り着けるとは思っていない。でも、バーレーンの時のように、中団勢をリードすることは期待できる。その頻度を増やして、レベルを維持できれば、目標は表彰台だ」

「以前にも起きた通り、そこ(中団勢のトップ)にいて、ドライバーの多くにトラブルが起こるというラッキーな日には、表彰台を真っ先に獲得できるだろうね」

 マグヌッセンはハースの好パフォーマンスを「予期していなかった」と冷静さを保っており、上位3チームに近づくために必要なことを理解している。その一方で、2014年のF1デビュー戦以来の自身2度目の表彰台獲得が頭をよぎったとも認めている。

「表彰台を狙えるようなペースがあるとは思っていない……でも、僕は表彰台を夢見てきたんだ」

 シューマッハーも、マグヌッセン同様に表彰台に登ることを目指している。ハースの目標は正しいタイミングで正しいポジションにいることであり、そうすれば先行するドライバーのトラブルを上手く利用できると考えている。

「前が崩れた時に、“おこぼれ”をもらえるくらい近くにいたい」とシューマッハーは言う。

「今年中に表彰台に登るチャンスがないとは言い切れない。まだ22戦残っているし、とんでもない展開の週末になる可能性はもっと高い」

 では、その表彰台獲得の夢を第2戦サウジアラビアGPで早々に叶えることはでき得るだろうか?

 2021年の表彰台の顔ぶれは、ルイス・ハミルトン(メルセデス)、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、バルテリ・ボッタス(元メルセデス、現アルファロメオ)といういつも通りの顔ぶれだったが、決勝レースは2度の赤旗中断など波乱に満ちていた。

 第2回開催に向け、超高速レイアウトのコースは改修を受けているが、サプライズのひとつやふたつは簡単に起こるだろう。

Kevin Magnussen, Haas VF-22, Sergio Perez, Red Bull Racing RB18

Kevin Magnussen, Haas VF-22, Sergio Perez, Red Bull Racing RB18

Photo by: Zak Mauger / Motorsport Images

 2022年のマシンは、テクニカルレギュレーションがオーバーホールを受けたこともあり、まだ成熟が進んでいない。各チームは様々なアップデートを持ち込み、パフォーマンスを高めてくることだろう。中団での戦いはさらに激しさを増すことはハースも理解している一方で、昨年常に最下位をひた走っていたチームが表彰台を目指せる位置にまで上がってきたという事実が、チームがいかに好転したかを物語っている。

 バーレーンGP後のメディアセッションで、シュタイナーは2020年、2021年シーズンを「クソみたいな2年間だった」とジョークを飛ばし、レース後の集合写真が彼らにとっていかに重要であったかを強調した。

 もしハースが初表彰台獲得を達成すれば、2度目の表彰台は容易くなる。

「正しいタイミングで、正しいポジションにいれることを願っている」

 そうサウジアラビアに到着したシュタイナーは語った。

「運が味方するかどうかはわからないが、そうなることを願っている」

「過去2年間、小規模なチームが予想外にも、表彰台を獲得したことはある」

「チャンスがあれば、それをモノにできるかもしれない。(表彰台に登れたら)素晴らしいだろうね」

 

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