F1 Haas livery unveil

ハースF1小松礼雄代表が、2024年シーズンの後方スタートを予想する”理由”。目指すは旧体制からの脱皮

ハースのチーム代表に就任した小松礼雄は、2024年もチームは開幕時点で苦戦を強いられることになるものの、その後に報われるはずだと考えている。

Haas VF-24 livery

 ハースF1チームはニューマシンVF-24のマシンカラーリングを2月2日に発表。バーレーンでのプレシーズンテストまでに、シルバーストンとバーレーンで2度のシェイクダウンを行なう予定となっており、開幕に向けてかなり気合が入っているように見える。しかし小松礼雄チーム代表は、開幕時点では苦戦するはずだと考えている。

 ハースにとって2024年は、前チーム代表のギュンター・シュタイナーとテクニカル・ディレクターのシモーネ・レスタが去り、新体制で臨む変化の年となる。

 進歩のなさに不満を抱いていたオーナーのジーン・ハースが大鉈を振り下ろし、小松代表に技術プログラムの全面的な見直しとエンジニアリング主導のアプローチを託した。

 しかし小松代表はマシンのカラーリング発表に際し、開幕戦バーレーンGPではハースが「最下位ではないにせよ、グリッド後方に沈む」と予想。これは必要な代償だと彼は話した。

 2023年、ハースはタイヤのオーバーヒートなどに苦しみ、1周アタックでの予選ペースの良さをレースペースに繋げられなかった。そして9月に解決策を見出そうと、アップデートを投入した。

 だがこのアップデートはあまり効果を発揮できず、2024年のマシン開発にも悪影響が及んでしまったのだ。

「VF-24のスタートに関する期待は現実的です」

 そう小松代表は語った。

「(開幕戦)バーレーンでは、我々は最後尾ではないにしても、依然としてグリッドの後方となるでしょう」

「バーレーンでのローンチ仕様のマシンが十分な速さを発揮できない理由は、ここにいるスタッフのクオリティのせいではなく、(昨年の)オースティンでのアップデートのために(開発の)スタートが遅れてしまったからです」

「そこにリソースが割かれたので我々は時間をロスしましたが、チームは風洞で良い結果を得ており、特性の面でもポジティブです。正しい方向に進んでいると思います」

Ayao Komatsu, Chief Engineer, Haas F1 Team, in the team principals Press Conference

Ayao Komatsu, Chief Engineer, Haas F1 Team, in the team principals Press Conference

Photo by: FIA Pool

 VF-24の長所と短所を正確に理解し、マシンの開発を続けていきたいと話す小松代表。それは好調なスタートを切りながらも、開発競争で後手に回る傾向にあるハースにとって重要なことだろう。

 新シーズンに向けて、レスタの後任として、アンドレア・デ・ゾルドがチーフデザイナーからテクニカルディレクターに昇格。ビークル・パフォーマンスの責任者だったダミアン・ブレイショーがパフォーマンス・ディレクターとして、車両パフォーマンス、トラックサイド・エンジニアリング、エアロ・チーム全体のコミュニケーションを改善する役割を担うこととなった。

 こうした技術プロセスの合理化と人事異動によって、弱点の解消を目指しているハース。チームの全員が、目指す方向性を認識することが重要なのだと小松代表は語る。

「このチームがどこに向かっているのか、どのように向上していくのかがわからないと、多くの人が同じことを感じていたと思います」

 小松代表はそう説明する。

「明確な目標、ビジョン、コミュニケーションが必要で、いらない障壁を取り除く必要があります」

「自分たちが何を扱っているのか、このチームがどのように前進しているのか、どのようにレースを進めていくのか、誰もが我々のアプローチを理解する必要があります」

「ドライバーもより大きな役割を果たすでしょう。昨年はマシンの弱点を理解はしていたものの、それをマシン開発プログラムに反映させることができませんでした。チーム内で行なった変更によって、ドライバーたちが開発の輪の中に入って、何も失われることなくこの問題に対処することを目指しています」

 小松代表は、ハースがグリッド後方からシーズンを始めることになったとしても、2023年のマクラーレンのような前進につながると信じている。

「以前の組織構造を見てみると、その(マシン開発の)面でコミュニケーションを完結させるための明確な道筋がありませんでした」

「現在はトラックサイドで発見されたものはすべて、エアロ、風洞、CFDの各部門へと伝達されています。今はたとえ意見の相違があったとしても、少なくともなぜそのような方法でクルマを開発するのか、誰もが明確になっています」

「マシンにアップグレードを施せず、シーズン中に後退してしまった重要な原因はそこにあります。今はすでにより良い伝達ができるよう取り組んでいますし、透明性、開放性、コミュニケーションもずっと良くなっています。だから、今年はマシンをきちんとアップグレードできる可能性がずっと高くなったと思います」

「バーレーンでのテストプログラムを充実させることで、質の高いデータを分析し、クルマを発展させる方向性を理解することができます」

「つまりそれは、VF-24の長所と短所を正確に理解し、首尾一貫した計画を立てて、マシンのアップデートを行なっていくということを意味しています」

 2月2日に発表されたマシンは、カラーリングがレンダリング画像で発表されたものの、随所にアップデートが施されていた。果たしてVF-24がこの画像通りのマシンなのか、何かサプライズが待っているのか……2024年マシンの走行一番乗りとなる2月11日のシルバーストンでのシェイクダウンで明らかとなる。

 

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