F1マイアミGP、コースレイアウトで“限界”に挑む「針の穴を通すようなデザインを実現させた」
初開催マイアミGPの舞台マイアミ・インターナショナル・オートドローム。設計を担当したエイペックス・サーキット・デザインは、バックストレート手前のシケインで「設計の限界」に挑んだと明らかにした。
もうすぐ初開催を迎えるF1第5戦マイアミGP。NFLのマイアミドルフィンズの本拠地ハードロックスタジアムを囲むように新設されたマイアミ・インターナショナル・オートドロームを舞台に行なわれる。
全長5.41kmのコースには19個のコーナーが配置され、平均速度は216km/hに。1周のラップタイムは1分35秒ほどと予想されている。
このサーキットを手掛けた「エイペックス・サーキット・デザイン」の担当者は、設計上最もチャレンジングだったセクションとして、バックストレート手前のシケインを挙げている。
ターン17に向けたオーバーテイクを仕掛けるチャンスが生まれる1.28kmのバックストレート。最高速度は318km/hを超えると予想されているが、ストレートでのパフォーマンスはその手前のシケインを含む複合コーナーでいかに前車に接近できるかがカギになる。
ターン13からシケインに向けて若干傾斜がつけられ、ドライバーからはエイペックス(コーナーの頂点)が見えなくなる。そしてターン15からの立ち上がりは下り坂と、低速区間ではあるが起伏に富んだセクションとなっている。
Miami track Turn 15 during build process
Photo by: Charles Bradley
バトルの上でも重要になるターン14からターン16までのこのセクションだが、その頭上にはマイアミとオークランドを結ぶ有料高速道路「フロリダ・ターンパイク」のジャンクションとNW203通りの高架が走っている。
ふたつの高架下をコースが通ることとなるが、FIAのレギュレーションで定められている通り、路面と頭上構造物との間には最低4mのクリアランスを確保する必要があったのだ。
「この一連のセクションは、まさにエンジニアリングの挑戦だった」
エイペックス・サーキット・デザインの主任デザイン・エンジニア、アンドリュー・ウォリスはそう語る。
「(エイペックスの創設者でありディレクターを務める)クライヴ・ボウエンのコンセプトデザインではこのエリアをコースが通ることとなっていたが、最初の高架下を通るためには、少なくとも4mのクリアランスが必要というFIAのレギュレーションをクリアする必要があった」
「しかし、ターンパイクの進入路は7%の傾斜がついていて、我々の路面は下がるべきところで登っていた」
「また、F1には車速の2乗に連動してクリアランスが変動するというレギュレーションがある。このコースデザインはハッキリ言って、三次元的に針の穴を通すようなモノだ。マシンがシケインのキャンバーに沿って高架下をゆっくりと走らせることで、マシンの速度を十分に落とす狙いがあるのだ」
「我々は厳しいシケインにとてもドラマチックなコーナーを組み込んだが、変動率のレギュレーションを満たすために最低速の80km/hで設計されている。ただ起伏があるため、ドライバーからは(エイペックスが)全く見えないのだ」
「我々はここの設計で10回以上シミュレーションを繰り返し、針の穴を通すために必要な二次元・三次元のジオメトリと取ることができた」
「このエリアでは、我々はまさに設計の限界にある。ここではデブリフェンスをバリアの上に置くスペースがないから、バリアの後ろにデブリフェンスを設置することとなった」
Miami circuit
Photo by: Liberty Media
このシケインは、ターン11のタイトな左コーナーからターン12のオフキャンバーがつけられた右コーナーを抜けた先に設置されている。アプローチに向けてマシンには大きな負荷がかかるため、それ自体がドライバーにとってチャレンジになる。
「ターン11から16にかけて素晴らしいコーナーが続くから、ドライバーには新しいマシンでチャレンジングだと思って欲しいね」とウォリスは続ける。
「その前の右コーナーで、(シケインに向けて)ドライバーは準備をする必要がある。エイペックスが見えないだけでなく、ブレーキングでマシンは横方向に負荷がかかる。エイペックスを見つけるのが遅れると、コーナーをしっかりと回れなくなる。予選では、ラップタイムを左右するコーナーになると思う」
「コースでは、技術的に最も難しいのはここだろう。その後に長いストレートが続くから、ドライバーはどんなミスでもターン17まで引きずることになる。オーバーテイクのチャンスにもなるし、何より、ストレート上でマシンは“団子状態”になるだろうね」
また、このエリアからたった25mしか離れていないフロリダ・ターンパイクとサーキットを安全性の理由から隔離すべく、グランプリ期間中はマーシャルを除き立ち入りが禁止されることになる。
エイペックス・サーキット・デザインのサム・ウォルティーは次のように語る。
「ターンパイクがこれほど近くにあるため、マシンとマーシャルを守るべく、境界線に沿ってバリアとついたてを設置し、ターンパイクを走っている人たちに気を取らせないようにするつもりだ。全員にとって安全なレースにするためには、それが我々の大きな心配事だった」
「このエリアにはグランドスタンドや観客席を設置するスペースがないため、F1はこのエリアに多数のカメラを敷き詰めて、複数の視点を確保することを強く望んでいる」
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