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マクラーレン、マイアミGPでマシンが”別モノ”に? 1ヵ月のインターバルでマシン開発競争激化か

マクラーレンは、マイアミGPに向けて”一新”されたマシンを用意しているが、ライバルチームも同様の対応をすると予想されている。

Oscar Piastri, McLaren

Oscar Piastri, McLaren

写真:: Andy Hone/ LAT Images via Getty Images

 中東情勢の悪化により、バーレーンGPとサウジアラビアGPが中止になったことで、F1は1ヵ月間のレース休止期間を過ごしている。ただこの期間は休みというわけではなく、各チームともフル稼働し、マシン開発を進めている。ただそれがコース上の順位に根本的な変化をもたらすとは限らない。

 近年のマクラーレンにとって、シーズン中のマシン開発の見極めは最大の強みのひとつとなっている。特に2023年と2024年には、シーズン中に投入したアップグレードパッケージが劇的な競争力の変化をもたらした。

 そのためウォーキングのファクトリーでメディア向けに行なわれた特別イベントの場で、マクラーレンのアンドレア・ステラ代表がマイアミGPに持ち込むMCL40を「新しいクルマ」と表現し、その言葉を一度ならず二度も使ったことには、過去の実績という裏付けがある。また、彼が中身のない誇張表現をしない人物であるという評価も、その発言に重みを与えている。

「我々の意図としては、完全に新しいクルマを投入するという考えが常にあった」と彼は語った。

「特に空力アップグレードという観点で、北米ラウンドに向けてその計画を維持したかった。もちろん、カレンダー変更によって多少助けられたのは事実だ。他のチームにとっても同じだろうが、レースに追われるよりも、より効率的に開発へ集中できたはずだ」

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「全体として言えるのは、マイアミとカナダを通じて、まったく新しいMCL40を見ることになるということだ。とはいえ、これは我々のライバルたちにとっても同様だと考えているので、勢力図が大きく変わるとは限らない」

「結局のところ、同じ期間内にどれだけパフォーマンスを上乗せできたかの勝負になる。メルセデスやフェラーリと比べると、我々にはまだ取り戻すべきパフォーマンスもあるが、裏で進めてきた開発には非常に満足している」

「したがってマイアミ、そしてカナダでは、少しでも競争力が増したMCL40を見せられるはずだ。前戦日本GPでもすでにまずまずの競争力を示せていたので、次のレースを非常に楽しみにしている」

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写真: Getty Images

 では、”新しい”とはどのような意味なのか。言うまでもなく、ホモロゲーションされたモノコックが別デザインのモノに置き換えられるわけではない。マイアミ仕様のMCL40を文字通り完全な新車と呼ぶのはやや誇張的な表現だろう。

 ただ空力パーツや、場合によってはサスペンションの一部は大きく異なる可能性が高い。また、開発に必要なリードタイムを考えれば、これは多くの進化の始まりに過ぎないとも考えられる。各チームが最適解へと収束していくプロセスは、まだ始まったばかりだ。

 2026年のマシン開発のペースは、予算制限や空力テスト制限よりも、数十年で最大とも言えるレギュレーション変更と、オフシーズンが非常に短かったことに大きく左右された。さらにプレシーズンテストから開幕3戦までの期間も短く、まずは堅実に走行可能な基盤を築くことが最優先となった。

 予算の制限が影響を及ぼしているとすれば、現在はロジスティクスのコストもその対象となっている点だ。これにより、特に遠征先に空輸で新パーツを持ち込むのではなく、明確なタイミングで大規模なアップデートを投入する方向へとチームを導いている。ただし小さなパーツであれば、スタッフが手荷物として持ち込むケースもある。

 今シーズンは未知の要素が多いため、各チームは開発計画を立てながらも、学習曲線がこれまで以上に急になることを理解していた。その一因は新しいパワーユニットでもあるが、空力やサスペンションの観点では、新たに導入されたストレートラインモードも大きな課題となっている。

 ストレートラインモードとコーナリングモードの切り替えによって、ダウンフォースの圧力中心が移動し、車両バランスや車高、前後ブレーキのロックのしやすさなどに複雑な影響を及ぼす。これを正確にシミュレーションするのは非常に難しく、実車走行を通じて初めて本格的な理解が進んだ。

 車高はフロア下の気流をコントロールしてダウンフォースを得るうえで重要な要素であり、このアクティブエアロの移行フェーズが設計やセットアップの多くに関わってくる。車高が低すぎれば、スキッドブロックの摩耗により失格のリスクも出てくる。

 一方でドライバーは、ブレーキングやターンイン時の安定性とフロントの応答性を求める。2026年のレギュレーションでは、これがブレーキング時のエネルギー回生をより積極的に行なうことにもつながる。

 今季の各チームのアップデートは、開発リードタイムや、自分たちのマシン特性を理解したうえで方向性を決めたいという意図から、多くが独自路線になる可能性が高い。たとえば、アウディの特徴的なサイドポッド配置をそのままコピーして持ち込むチームが現れるとは考えにくい。冷却構造や側面の衝撃吸収構造と密接に結びついているためだ。

 とはいえ、バルセロナでのシェイクダウンテスト初日から、各チームが互いのデザインを観察していないわけではない。重要なのは、自分たちのマシンとライバルのマシンの理解を両立させたうえで、何を取り入れ、何を捨てるかを判断することだ。

 ここでも依然としてリードタイムは重要だが、レースのない1ヵ月が、ステラ代表の言う「効率化」に寄与した可能性がある。同じ記者会見に出席したチーフテクニカルオフィサーのロブ・マーシャルは、他チームのアイデアをコピーしても即座に性能向上につながるとは限らないが、場合によっては有効だと指摘した。

「我々はすべてを見ている。レギュレーションを見ればすぐに不可能と分かるものもあるし、可能性が残るものもある。また、エンジンなどのアーキテクチャの違いによって制約を受けるものもあるが、基本的にはあらゆる要素を分析している」

「風洞やCFDでテストするものもあれば、思考実験的に評価するものもある。結局のところ、グリッド全体で他チームのやっていることをほぼすべてチェックし、それが自分たちのクルマに適用できるかを判断している」

「F1では『コピーはうまくいかない』と言われがちだが、必ずしもそうではない。ダブルディフューザーの例のように、ひとつのチームで成功したものが、他のチームでも機能することはある」

「つまりある程度までは正しいが、コピーすること自体よりも重要なのは、相手が何を狙っているのかを理解することだ。そこが本質であり、ただ真似するだけではその理解は得られない。しっかり研究すれば、相手と同様の知見をより早く得ることもできる」

(注釈:マルチディフューザーとは、2009年の開幕時にブラウンGPやトヨタが採用したディフューザーのことであり、驚異的な効果を発揮した。しかし開幕当初はこのダブルディフューザーを搭載していなかったライバルチームも、次第にこれを開発し、実車に搭載。シーズン後半は大混戦となった)

 マクラーレンが追求しているのは、基本的にはより大きなダウンフォース、より正確にはより効率的なダウンフォースだ。そしてシーズン序盤においては、この点でメルセデスが優位に立っている。新レギュレーションの下では、この優位性がさらなるパフォーマンス向上にもつながっており、特定のコーナーでより効率的なエネルギー回生が可能になっていることが、明らかになってきている。

 マイアミGPで再開されるシーズンにおいて、どのチームが最も前進するのか、開発競争をどのチームがリードするのかは注目だ。

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