マクラーレン、信頼性向上アップデート版のメルセデスPUをカスタマーチーム唯一投入せず。その理由は?
マクラーレンは今週末のF1イギリスGPで、アップデート版のパワーユニットを投入しなかった。メルセデスのカスタマーチームの中で唯一の選択となったが、その理由は?
アウディはバルセロナ-カタルニアGPで、フェラーリはオーストリアGPで、それぞれADUOが適用されたアップデート版のパワーユニット(PU)を投入した。その一方でメルセデスも、オーストリアに新しい仕様のPUを持ち込んだ。
しかしメルセデスのアップデートは、ADUOが適用されたパフォーマンス向上のためのアップデートではなく、シーズン序盤に相次いだトラブルを受け、信頼性向上を目的としたアップデートであった。
今週末のシルバーストンでは、メルセデスのPUを使うチームのほとんどが、アップデート版PUを投入している。カスタマーチームではアルピーヌの2台とウイリアムズのカルロス・サインツJr.がこの新しいPUを使っている。
しかしマクラーレン勢は、2台揃ってアップデート版ではないPUを使い続けている。つまりメルセデスPUを使うチームとしては、唯一アップデート版PUを使っていないチームということになる。
「我々は今後メルセデスの現行仕様のPUを手に入れることになる。新型PUを使っていないのは我々だけだ。新型PUは、間もなく我々のところにも届く予定だ」
マクラーレン・レーシングのザク・ブラウンCEOはそう語った。
「もちろん、早く使いたいのは当然だ。性能向上が見込まれるPUがまだ持ち込まれない状況では、できるだけ早く手にしたいと思うのは当然だ」
「しかし、苛立ちを感じているわけではない。現状を受け入れるしかないのだ。我々はただ、ひたすら努力を続けるだけだ」
「そう遠くないうちに、我々のマシンにも搭載されることになるだろう」
この発言は、シーズン開幕時のことを思い出させる。当時のマクラーレンは、カスタマーチームになったことで、情報伝達やワークスチームとは異なる学習曲線といった面で、様々なデメリットを経験したと説明した。
しかし今回の状況はそれとは全く異なる。ブラウンCEO曰く、アップデート版PUを今回投入しなかった理由は、現在使っているPUの走行距離に関連しており、マクラーレンとしては、エンジンの交換が必要な段階にはまだ達していないと明言した」
「エンジンは定期的に交換していく必要があるが、現在のエンジンにはまだ寿命が残っている。エンジン交換が必要なタイミングまで待つ必要があるんだ」
「ウイリアムズが新しいエンジンを受け取ったのは、カルロスのマシンに問題が発生し、ちょうどエンジン交換が必要だったからだ。アルピーヌの状況は詳しくは覚えていないが、おそらくタイミングの問題だろう」
ここまでの走行データを紐解くと、アルピーヌはメルセデスPUのカスタマーチームの中で群を抜いて走行距離が長い。これは、マクラーレンが序盤数戦でリタイアが相次いだことも一因である。
ウイリアムズはそれよりも走行距離が少ない。アルボンがまだ新仕様に切り替えなかったのは、それも一因である。
マクラーレンとしては、今週末のイギリスGPで走行距離を大きく伸ばすことになれば、ベルギーGPを前に新仕様のPUに切り替えることになるだろうと予想している。
「できるだけ早く交換したいが、エンジンの走行サイクルを考える必要がある。もちろん、新しいモノと古いモノを使い分けることもできるが、近いうちに……できれば次のレースに投入したいと思っている」
次戦ベルギーGPの舞台であるスパ・フランコルシャンは、F1開催カレンダーの中でも特にパワーが重視されるサーキットのひとつ。そういう意味では、ベルギーGPを前にPUを交換するのは理に適ったタイミングだと言える。
ただメルセデスのトト・ウルフ代表は、PUは使っていくごとに出力が下がっていくものの、それでも新品PUを投入したことによるパフォーマンスの向上度はごく僅かであると説明している。
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