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初戦にして最大級の壁? オーストラリアGPが新世代F1マシンに”厳しい”レースになる理由

F1オーストラリアGPはシーズン開幕戦というだけでなく、サーキットの特性もあって、新型F1にとって最も過酷かつ重要なテストのひとつになるだろう。

Lando Norris, McLaren

 短い冬休みと3回のプレシーズンテストを経て、ついにF1はサーキットに戻り、2026年シーズンの開幕を迎える。

 レギュレーションが一新され新時代を迎えるF1だが、すでに多くのトピックが飛び交っており、特にエネルギー管理に関しては多くの疑問を抱えている。

 こうした疑問の答えは、今週末に開幕戦が行なわれて初めて見えてくるだろう。開幕戦の舞台であるアルバートパーク・サーキットは、新世代のF1マシンにとって、シーズンを通して最も過酷かつ重要な耐久テストのひとつとなるのだ。

 確かに、すでに3回のプレシーズンテストを経てトラブルの芽を摘んでいるチームも多く、勢力図も朧気ながら見えてきている。だがオーストラリアGPでそれが一変するかもしれない。テストが行なわれたサーキットは、エネルギー消費の観点から言えばそれほど過酷ではないコースだったからだ。

 バーレーンのサヒール国際サーキットは、新型パワーユニット(PU)にとって最も楽な部類のサーキットだった。ブレーキングゾーンが多くあり、効果的なエネルギー回生が可能。低速セクションではギヤを落としてエンジンの回転数を高く維持し、MGU-Kによる充電も可能だった。シェイクダウンが行なわれたバルセロナはバーレーンよりも厳しいものの、パワーを最大限に活用できる長いストレートが1本あった。

Charles Leclerc, Ferrari

Charles Leclerc, Ferrari

Foto di: Guido De Bortoli / LAT Images via Getty Images

アクセル全開時間の長さ

 一方、アルバートパークはそのふたつのサーキットよりはるかに複雑な課題をチームにつきつける。アクティブエアロを稼働し、ストレートラインモードを使用できるエリアが5箇所もあるのだ。

 アルバートパークは平均速度が最も高いコースのひとつでもあり、昨年の予選でポールポジションを獲得したランド・ノリス(マクラーレン)の推定平均速度は約253km/hだった。

 当時のマシンはダウンフォース量が多く、コーナーを高速で通過できた。ダウンフォースが減った今年のマシンがそれを真似することはできないが、それでも周回の大部分でアクセルを全開にすることになる。

 アクセル全開時間が長いサーキットのリストをみると、アルバートパークは第3位で、1周のうち約70%でアクセルを全開にしていることになる。これは昨年のデータに基づく値だが、高速セクションを増やした2022年のコース改修後、シーズンで最も要求の厳しいコースのひとつとなっているのも不思議ではない。

Pos サーキット アクセル全開時間
1 Italyモンツァ 74%
2 Saudi Arabiaジェッダ市街地 73%
3 Australiaアルバートパーク 68%
4 United Kingdomシルバーストン 66%
5 Belgiumスパ・フランコルシャン 66%
6 Qatarルサイル 66%
7 Austriaレッドブルリンク 66%
8 United Statesラスベガス 66%
9 Japan鈴鹿 65%
10 Canadaジル・ビルヌーブ 65%

4つのゾーンで時速300km超え

 昨年のデータを見ると、アルバートパークは時速300km以上で走行する時間が最も長いサーキットのひとつであることも分かる。4つの異なるエリアで高いトップスピードを記録し、特にターン7からターン9までの区間が最も過酷だ。問題は、この区間を終えた後、ターン11に向かう前にバッテリーを充電できる有効なブレーキングゾーンが1ヵ所しか残っていないことだ。

 このエリアはバッテリーが100%の状態からスタートする予選とは異なり、特にレースでPUに最も大きなストレスがかかるエリアとなるだろう。したがってバーレーンのテストで見られたように、ディレーティング(ECUがMGU-Kの出力を低下させる段階)だけでなく、スーパークリッピングも発生することだろう。

 スーパークリッピングは、F1の用語に新しく加わった言葉のひとつ。例えばストレートの終盤など、ドライバーがアクセルを全開にしている間に、MGU-Kで発電を行なうことだ。

 これは複雑なプロセスで、マシンのスピードは落ちるものの次のラップやセクションで使うエネルギーを蓄えることができる。

 新PUが過去のPUと比較して優れた加速性能を発揮し、その特性を最大限に発揮できるサーキットも存在する一方で、オーストラリアのようなサーキットでは、特にまだ「初期段階」にある新PUの限界が露呈するだろう。

ブレーキング時間もワースト5

 アルバートパークの問題はそれだけではない。アクセル全開時間が長いサーキットである一方で、ブレーキングの時間が少ないサーキットのひとつでもあるのだ。ブレーキング時間で言えば、24戦のうち5番目に少ないサーキットである。

 そのため、エネルギーの消費だけでなく、充電の面でもアルバート・パークは厳しいサーキットなのだ。

 幸いなことに、ターン4やターン11といったハードブレーキングゾーンがいくつかあり、マシンのトップスピードが上昇しダウンフォースが減少することで、2025年よりも制動距離が長くなり、ドライバーがエネルギーを回生する機会は増えるだろう。それでもなお、年間で最もチャレンジングなサーキットのひとつであることは明らかだ。

 レース中、ドライバーがエネルギーを節約し、とりわけバッテリーを充電するために、リフト&コーストのフェーズを増やすのは当然のことだ。しかし現状、スーパークリッピングは安全上の理由から、最大回生電力が250kWに制限されている点は向かい風だ。

 マクラーレンのオスカー・ピアストリは、エネルギー管理の懸念について次のように説明した。

「バーレーンよりもエネルギー回収の面で制約が多いサーキットもあると思う。ここでは、最適化の設定次第では、スーパークリッピングやリフト&コーストをあまり行なわなくても済むけど、メルボルンでは、そうした操作を一切行なわないと、エネルギーが非常に早く枯渇してしまう」

「バーレーンでは、ブレーキングに多くの時間を費やす。実質的にすべての回生がその段階で行なわれるため、比較的簡単だった。例えば、回生の時間を延ばすために、特別なことをする必要はなかった。次はオーストラリアだけど、また少し難しいサーキットに向かうことになる」

Pos サーキット ブレーキング時間
15 Spainカタルニア 11%
16 United Arab Emiratesヤス・マリーナ 11%
17 Austriaレッドブルリンク 11%
18 Belgiumスパ・フランコルシャン 11%
19 United Kingdomシルバーストン 11%
20 Australiaアルバートパーク 10%
21 Italyモンツァ 10%
22 Japan鈴鹿 9%
23 Qatarルサイル 9%
24 Saudi Arabiaジェッダ市街地 9%

 実際、バーレーンはラップの約15%をブレーキングで過ごす。低速区間に加え、エネルギー回生を最大化できる非常に激しいブレーキングがいくつかある。

 それとは対照的なオーストラリアGPでは、新たなPUの真価が問われることになる。テストとは違った、力関係が見えてくるかもしれない。

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