F1カタールGPはトラックリミット祭りになる? 検知ゾーンはコース全域に変更もドライバーとしては“予想通り”
FIAはF1カタールGPのフリー走行2回目に先立ちトラックリミットの定義を変更。コース全体で違反が取られるようになったが、ドライバーとしては予想通りの判断になったようだ。
写真:: Mark Sutton / Motorsport Images
ここ数年、F1ではトラックリミット違反の問題がよく取り沙汰されている。ロサイル・インターナショナル・サーキットでのF1初開催を迎えたカタールGPを前にFIAレースディレクターを務めるマイケル・マシは、木曜日に公開したイベントノートの中でトラックリミット違反が起こりやすい5つのスポットをリストアップし、注意を促していた。
その5つのスポットとは、セクター1にある90度の右コーナーであるターン4の出口と、高速で駆け抜けるターン12から14、そして最終コーナーのターン16だ。
金曜日のフリー走行1回目では、ほとんどのドライバーが実走行未経験のコースということもあり、限界を探るかのようにコーナーを大きく逸脱するシーンも多く見受けられた。F1としても初めての開催ということもあり、マシはFP1から積極的にトラックリミット違反を”警告”するのではなく、フリー走行の結果を受けてトラックリミット違反を厳しく取るポイントを改めて考慮するつもりだと、セッション中にレッドブルのスポーティング・ディレクターであるジョナサン・ウィートリーと交信していた。
その結果、FP1終了後にイベントノートが更新され、コーナーごとの記載が削除。トラックリミット違反がコース全域で取られることが決定された。
イベントノートのバージョン3にはこうある。
「当該コースの各コーナー出口でのトラックリミットは、紫色と白色の縁石に触れていない状態であると定義される」
「誤解をさけるため、コーナー出口でマシンの一部が紫色と白色の縁石に触れていなかったドライバーは、コースを外れたと判断される」
通常通り、トラックリミットを違反した場合は当該ラップのタイムが抹消され、翌周のアドバンテージに繋がるターン16の場合はその次のラップタイムも抹消される。また、レース中に3度違反すると警告を告げる白黒旗が振られ、スチュワードへの報告が行なわれる。
また、これらのコーナーのランオフエリアにはタイミングループが設置され、機械的にトラックリミット違反を取り締まる。つまり、目視でどのドライバーがトラックリミットを逸脱したかどうかを判断することはない。
ファクトリーのシミュレーターでロサイルを事前に走っていたピエール・ガスリーと角田裕毅のアルファタウリ・ホンダ勢は、このコースのコーナー出口でコース外に膨らむことが如何に容易でタイム向上に有利であるかを知っていた。そのため、FP1開始前からレース週末中にトラックリミットが追加されるのではないかと予想していたのだ。
「マイケルが正しいと思う。シミュレーターでは、コース上よりもコース外の方が速かったから、コースの外を周回していた」とガスリーは言う。
「週末にはターン1、ターン2、ターン4、ターン6ってどこでも(トラックリミット違反が)取られようになるだろうね!」
「だから今からこうやってルールを決めておくことが重要だと思うんだ。ドライバーたちが望むのは、トラックリミットとして縁石を設けてほしいということだろうね」
「縁石があれば、単に白線があるだけというよりも簡単に(トラックリミットを)把握できる。だからこれはマイケルと議論することになるだろうけど、トラックリミットは大きなトピックになるだろうね」
角田は、チームメイト同様にこれまでトラックリミット違反を厳格に取るとされてきたコーナーは問題にならないと考え、他のコーナーにも問題が生じる可能性があると語っていた。
「僕としては、ターン4よりもターン5の方がより問題になると思います」と角田は言う。
「シミュレーターでは、ターン4に突っ込んでコースアウトしても意味はありませんでした。というのも、ターン4とターン5の間はとても短いからです。その間が短いので、大きくはみ出してしまえば、ラップタイムを稼ぐチャンスは失われてしまいます。そのため、僕にとってはターン5の方が問題です」
「また、ターン15でもよくコースオフしていました。ターン12、ターン13もそれほど問題にならないと思います」
「ターン16ではコースオフすると次のラップも無効になってしまいます。ただ、あそこでワイドに走れれば良い加速ができてラップタイムは上がります。だからターン16もカギになるでしょう」
トラックリミットの定義が変更された後のFP2では、多くのドライバーが随所でトラックリミット違反によるタイム抹消を受けた。ターン2ではジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)、ダニエル・リカルドとランド・ノリス(ともにマクラーレン)がタイム抹消、ターン7ではバルテリ・ボッタス(メルセデス)とフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)が2度、シャルル・ルクレール(フェラーリ)が1度違反を取られた。また、ターン16ではランス・ストロール(アストンマーチン)がコースを逸脱しタイム抹消となった。
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