レッドブルのマシンは「まるで違うカテゴリーみたい」 ペレスがRB16Bへの適応に苦労した理由
セルジオ・ペレスは、今季新加入したレッドブルのマシンに適応するのは、予想していたよりも遥かに難しかったと語る。
写真:: Steven Tee / Motorsport Images
今シーズンからレッドブルに加入したセルジオ・ペレス。昨年まで中団グループで活躍してきたペレスにとっては、待ちに待ったトップチームでの”チャンス”だった。しかしペレスにとっての2021年シーズン前半は、彼が望んでいたほど単純なモノではなかった。
シーズン開幕前のテスト、そして金曜日のフリー走行の時間が短縮されたことによって、チームを移籍したドライバーは今季、新たなマシンに慣れるのが難しい状況となっている。
ペレスはそんな中でも、エミリア・ロマーニャGPではフロントロウを獲得し、さらにアゼルバイジャンGPでは勝利を手にしたものの、フラストレーションが溜まるレースも数多くあった。
ペレスにとって問題の核となっているのは、トップチームで走った経験がほとんどないということではない。レッドブルのマシン造りの哲学は、彼にとっては非常に異質なモノであったため、別のカテゴリーに挑むつもりで学ばねばならなかったという。
「このマシンでラップタイムを引き出す方法、乱れた空気の中で戦う方法などは、僕がこれまでやってきたのと比べて、大きく異なる」
ペレスはそうmotorsport.comに対して語る。
「それに加え、タイヤを労る方法も違った。マシンごとにホイールリムの加熱や冷却の要件が異なるし、それがタイヤに関係してくる」
「正直にとって、まるで別の世界みたいだった。まさに違うカテゴリーに来たような気がした」
Sergio Perez, Red Bull Racing RB16B
Photo by: Charles Coates / Motorsport Images
ペレスは、ザウバー時代の2012年に活躍が認められ、2013年にはマクラーレン入りを果たした。しかしこのシーズンはうまくいかず、中団グループのチームに逆戻り……ただ、トップチームと共に仕事をするのは、レッドブルが最初ではない。
レッドブルへの適応を難しいモノにしたのは、これまでとは全く異なるアプローチを必要とするマシンだけでなく、チームがタイトル争いをする立場にあるということもある。そのことにより、ペレスに対するプレッシャーと注目度が、信じられないほど上がっていることを意味している。
「大きなチャンスだけど、僕も哲学を大きく変えたことを認識している」
そうペレスは説明する。
「マシンからどうラップタイムを引き出すかということについては、非常に考えが異なるチームに移った。でもチーム移籍は、予想以上に困難だった。チャンピオンシップのために戦っているチームだからなおさらだね」
「チャンピオンシップを目指して戦うチームにいるのは、素晴らしいことだ。でも同時に、とても難しいことだった。チャンピオンシップを目指して戦う時、マシンに完全に適応するのは難しかった。僕には、それをするチャンスがなかったんだ」
「僕はマシンから、そしてチームから多くのことを学んでいるところだ。これまでとは異なる哲学、エンジン、そしてマシンがあるチームに加わった。だから、その学習を続けているところだ。そして、ただ改善を進めていくことで、物事はよくなっていくんだ」
「しかしそれは簡単なプロセスではなく、継続的なプロセスだ。新しい構造……レッドブルのような非常に大きい構造に加わると、地に足をつけて過ごすのは難しい。でも、そこには到達することができた」
Sergio Perez took his first Red Bull win in Azerbaijan.
Photo by: Andy Hone / Motorsport Images
今シーズン、ペレスに最も欠けていたものは、おそらく「時間」だろう。実際ペレスは、マシンを速くするために、毎週末追いつくところから始めるということを何度か語っている。しかしセットアップとタイヤを理解する上での進歩の速度は非常に速く、さらに日曜日にチェッカーフラッグを受けた後、再び走ることができることを望むほどだ。
「新しいサーキットに行く時は、まだ多くの時間が必要だ」
そうペレスは語った。
「僕は金曜日全体を、予選に挑むように走った。予選パフォーマンスでまだ不足しているというだけだ。金曜日を通じてそういう遅れがあるなら、遅すぎるんだ」
「最終的には目指すところにたどり着くけど、その上に積み上げていくには、時間がかかりすぎる」
またペレスが見つけたのは、レッドブルの今季マシンRB16Bを最高の状態で走らせるためには、ドライバーには快適ではない形で頑張る必要があるということだった。
マックス・フェルスタッペンが持つマシンを限界領域で操るという強みは、ペレス以前に彼のチームメイトを務めたドライバーたちも苦労してきたことである。
ペレスは次のように付け加える。
「とても速いマシンだと思うけど、ラップタイムを引き出すための方法は、これまでとは大きく異なる。結局のところ、全てのF1マシンは非常に近いラップタイムで走る。でも、最大限のラップタイムを引き出すための方法は、とても異なるんだ。そしてそんな中でも、僕はその方法がとても異なるマシンに乗ることになった」
「レッドブルのマシンが最適に機能するウインドウは、とても狭い。そのウインドウから外れると、快適にドライブできるように感じるかもしれないが、必ずしも速いマシンであるとは限らない。だから、そのウインドウに留めることが重要なんだ。だから僕には、マシンに適応するべきことがたくさんあると思う」
しかしペレスは、現在の状況を整理できるという確固たる信念を持っている。
すでにペレスは、前述の通りイモラでもフロントロウに並び、アゼルバイジャンでは優勝。マシンを正しい”ウインドウ”の中で走らせることができれば、間違いなく結果を残せることを示したと言える。
「理解をひとつにまとめていくことを成長させていくだけで、そういう結果を残すのはとても自然なことになるだろう」
そうペレスは語る。
「現時点ではまだまだ、それを自然にできるようにはなっていないが、いずれそこに到達することができるだろう。今年はもう、シーズン後半に突入しようとしている。僕はかなり強くなれると思う」
「僕はただ強さを身につけ、チームとしての僕らは強くなっていくだろう」
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