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レッドブルの”予算上限の軽微な違反”が持つ大きな意味。今後の展開次第でシステム崩壊の危険も?

FIAは、レッドブルが昨年の予算上限をオーバーし、軽微な違反があったと発表したが、ライバルたちにとっては懸念がなくなったわけではない。

Max Verstappen, Red Bull Racing RB18, battles with Charles Leclerc, Ferrari F1-75, for the lead at the start

 FIAは10月10日、2021年シーズンにレッドブルが予算上限を超過していたと発表した。超過は上限の5%未満で、”軽微な違反”とされている。

 だがライバルチームはこれを小さな問題ではないと考えている。2021年の予算は1億4500万ドル。5%の超過でも、最大725万ドル(約10億6000万円)にも及ぶからだ。

 FIAやレッドブルから、違反の規模について確認は取れていないが、100万ドルから200万ドル規模の超過だったのではないかとの指摘は多い。開発にこれだけの予算を割くことができれば、最終的に大きな違いが生まれる可能性がある。

 ルイス・ハミルトンは、もし昨年メルセデスが開発に50万ドル追加で使うことができれば、新しいフロアをデザインすることができたと考えており、これによってマシンのペースが上がり、タイトル争いの結果が変わる可能性があったと言及している。

 メルセデスのトト・ウルフ代表も「いわゆる軽微な違反というのは、おそらく正しい表現ではないだろう」とコメントしている。

「500万ドル多く使っていても、軽微な違反に入るが、チャンピオンシップに大きな影響を与える」

「2021年シーズンと2022年シーズンについて、我々は毎戦、トップチームがどんなパーツをサーキットに持ち込むか注意深くモニターしている」

「トップチームふたつがほぼ同じで、もう1チームがより多く費やしていることが分かる」

「我々は年間350万ドル(約5億円)をクルマに搭載するパーツに費やしていることを正確に把握している。だから、あと50万ドル使えれば、どんな違いが出るかわかるはずだ。それは違いが生まれるだろう」

「我々が二桁の(車両)重量オーバーから脱却するために、軽量化部品を作っていないのは、シンプルにお金がなかったからだ。だから我々は来年のマシンにそれが必要になっている」

「軽量シャシーをホモロゲーションして持ち込んだら、200万ドルもオーバーしてしまう。より多くの費用を費やせば、性能面で有利になるのは分かるだろう」

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 今のF1チームは予算制限下で支出とパフォーマンスを両立させなければならない。だからこそライバルの支出超過は彼らにとって大きな問題なのである。

 特にフェラーリは、違反したチームに最大限の制裁を与えるよう何度も要求してきた。チームとしては、それが今後各チームが予算制限にしっかりと従うことを保証する唯一の方法だと考えているのである。

 フェラーリはレッドブルの違反に関するFIAの声明以降、何もコメントを出していないが、チームのスタンスは変わらず、数ミリでも部品がずれていれば失格となる技術的な違反と同じくらい、財政規則が厳しく扱われることを望んでいると理解されている。

 レッドブルのライバルたちにとって、レッドブルがペナルティを受けるよりも重要なことは、この事件の処理に完全な透明性が伴うことだろう。

 これまでのところ、FIAはレッドブルの違反行為の規模や内容、動機についてほとんど明らかにしておらず、このような重要な話題に対する情報不足が、必然的に乱暴な憶測を呼んでいる。

 レッドブルには、手続き上の違反と軽微な予算超過があったとされている。ちょっとした事務処理の遅れや、ファクトリーでの食事補助や病気手当、ガーデニング休暇スタッフの給与などの支出がFIAの解釈によって予想外に予算に追加された結果、制限額を超えてしまった可能性もある。

 それともレッドブルがライバルたちよりも多くの費用をマシン開発にかけられるようにするために、書類をごまかし、調査を妨害し、コスト上限を回避する方法を意図的に見つけ出そうとしたのだろうか?

 予算超過に対して、レッドブルが”驚きと失望”を示したことは、前者のケースであることを示唆している。しかし、確固たる答えがない限り、ライバルの疑念はどうしても2番目のケースであることを恐れてしまう。

 だからこそFIAが物事を詳細に説明し、裏取引で事態を有耶無耶にしないようにすることが、レッドブルにとっても他のチームにとっても必要不可欠なのである。

 F1の財政規則は、実際に決定の詳細をFIAが公表することを要求している。予算制限管理局はまず、違反があったチームに”アクセプテッド・ブリーチ・アグリーメント(ABA/違反の受け入れ)”と呼ばれる協定を締結するかどうかを提示する。

 規則違反を犯したことを認め、科される制裁を受け入れてそれを遵守することと、かかる費用を負担することを受け入れたチームは、ABAに締結。異議を申し立てる権利を放棄することになる。

 ABAに合意がされた場合、違反の詳細や制裁措置、強化された監視手順を記載したABAの概要が、機密情報を省いて公表される。また、たとえチームがABAを受け入れず、裁定委員会で弁明することを選んだとしても、同様に最終的な判断は公表される。

 これらはレッドブルのライバルたちにとって、今回の事件の規模と範囲、そしてFIAの対応がハッキリする可能性がある一方で、FIAが問題をごまかす可能性がまったくないわけでもない。

 今のところ、レッドブルのライバルたちは様子を見ながら、次のステップを待っている。

 フェラーリのチーム代表であるマッティア・ビノットは、次のように語っている。

「我々が必要とし、期待しているのは、起こったかもしれないことに間する議論に完全な透明性と明瞭性が伴うことだと思う」

 もし、その透明性が伴わなかった場合、FIAは将来的にさらに大きな論争を引き起こす危険性がある。制裁が弱すぎたり、違反の詳細が分からないままにしておけば、システム全体に対する信頼があっという間に崩れてしまうだろう。

 そうなればF1の長期的な健全性の中核をなすと考えられてきた予算制限の存在そのものが脅かされることになる。

 
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