度重なるペナルティ付与への批判にFIAが動じない理由とは?「前例との単純比較は困難」

F1ファンの間では、オーストリアGPでランド・ノリス(マクラーレン)とセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)に科されたペナルティの是非に関し、意見が分かれている。

度重なるペナルティ付与への批判にFIAが動じない理由とは?「前例との単純比較は困難」

 F1第9戦オーストリアGPの決勝でランド・ノリス(マクラーレン)とセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)にペナルティが科されたことについて、F1ファンの間では意見が分かれている。

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 決勝レース序盤のセーフティーカー出動開けに、ノリスはターン4で後方から迫るペレスをコース外へ追いやったとしてタイムペナルティ5秒とペナルティポイント2点が付与された。一方、ペレスもレース中盤のシャルル・ルクレール(フェラーリ)へのターン4・ターン6でのブロックに対し、それぞれ5秒のタイムペナルティが科された。

 ドライバー達に「バトルをさせよう」という理念を奨励してきた現代F1において、特にノリスに科されたペナルティは大きな議論を呼んだ。

 ノリスはペレスと接触しておらず、過去にレーシングインシデントと判断された事例とは大差のない動きであった。そのため、FIAが下した厳しい制裁に不満を持つ人が多いのも当然だろう。

 ペレスは大きなリスクを承知の上、ターン4のアウト側にマシンを置いた。ターン4でワイドな走行ラインを取る場合、コーナー外側のグラベルにマシンが出る可能性を孕んでいるのだ。

 しかし、F1レースディレクターを務めるマイケル・マシはFIAがこうした批判に対応することはなく、ノリスとペレスに科された計3つのペナルティは全て同じ基準で判断されたと語った。

 FIAが判断材料としたのは、イン側のドライバー(最初のインシデントではノリス、後ふたつではペレス)がアウト側で並んだライバルに、コーナー出口で1台分のスペースを残していたか否かという点だ。

「最初の件、セルジオとランドのケースでは、彼(ペレス)は完全にランドに並んでいた」とマシは説明する。

「それ故に、(イン側のドライバーは)アウト側に1台分のスペースを残す義務がある」

「そして、チェコ(編注:ペレスの愛称)とシャルルとのターン4とターン6の出口(のインシデント)でも同様だ」

「もちろん私がスチュワードの部屋に居座って審議することはない。しかし彼ら(スチュワード)の見解によると、2台のマシンが横並びになった3つの状況では1車幅分のスペースは残されるべきだった」

 レッドブルリンクのターン4とターン6のランオフエリアには、アスファルトではなくグラベルが敷かれていたことも影響していると思われる。

 そのため、マシンがコース外に出てしまった場合、アスファルトのランオフよりもはるかに大きな影響をドライバーに及ぼすのだ。

 ランオフがグラベルの場合とアスファルトの場合とでは、インシデントに関する判断に差はあるのかと尋ねられると、マシはこう答えた。

「もちろん、グラベルはそのような場合に影響を及ぼす。理論的に考えればそうだと言えるだろう」

「それぞれのケースにおいて、彼らが(インシデントから)利益を得たかやコース特性に着目する必要がある」

 アウト側にいたペレスを押しやったノリスのインシデントは、今シーズン初めての事例ではない。マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は、ライバルのルイス・ハミルトン(メルセデス)をF1第2戦エミリア・ロマーニャGPのターン1でコース外に追い出したが、その動きは許容範囲内と判断が下された。

 しかし、マシは異なる事例を単純に比較することはとても難しいと語った。

 彼は第2戦でのインシデントが比較対象にならない理由を挙げ、オープニングラップは厳しい裁定が下ることは少ないと語った。

「1周目の最初のコーナーだ。チームの観点から見ても、1周目のインシデントが寛大に扱われることを忘れてはならない」と彼は言う。

「そしてそれは、”バトルをさせよう”と呼ばれる理念の下、何年にも渡り行なわれてきた」

「しかし、ひとつひとつを比較するのはとても難しい。誰もが何かにつけてグループ分けをしたがるが、イモラのコーナーとここ(レッドブルリンク)のターン4やターン6という全く異なるコーナーを比較するのは非常に難しい」

Sergio Perez, Red Bull Racing RB16B,Charles Leclerc, Ferrari SF21

Sergio Perez, Red Bull Racing RB16B,Charles Leclerc, Ferrari SF21

Photo by: Erik Junius

ルクレール/フェルスタッペンとの比較

 ノリスとペレスに科されたペナルティは、ターン3でルクレールをコース外に弾き出したとしてフェルスタッペンが審議対象になったものの、結果お咎めなしで勝利を遂げた2019年のオーストリアGPを想起させた。

 当時、フェルスタッペンの動きは問題なしとFIAによって判断され、ドライバー同士の激しいバトルを奨励するための新たな考え方の一部として歓迎されていた。

 レーシングインシデント扱いとなった2019年と今回のペナルティを比較すると、FIAの裁定は一貫性が欠如していると考えるかとの質問に対し、ルクレールは明確な答えを持っていなかった。

「2年前のレースでは、エイペックスで僕は前に出ていなかったし、とても接近戦だったと言える。だから、今回のインシデントとは恐らく少し違うと思う」とルクレールは言う。

「でも今年は、僕の方がエイペックスで前に出ていたから、彼(ペレス)は出口でスペースを空ける必要があった」

「ただ、彼は自分が少しやり過ぎたと分かっていると思う。チェコと話をしたけれど、レース後に彼はすぐに謝ってくれた。だからもう大丈夫だ。僕は長く引きずるようなタイプの人間ではない。水に流して、前に進むつもりだ」

「でも、この件は明らかに少し違うと思う。(ランオフエリアが)アスファルトではなくグラベルだったので、僕の結果に大きく響いた。僕はアウト側から周り込んで、エイペックスでは前に出ていたから、スペースが残されて然るべきだった」

 
 

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