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F1フレキシブルウイング規制強化の影響は? FIAの方針転換とその背景

FIAは、F1のフレキシブルウイング取り締まりを厳格化したが、スペインGPまではその目標は達成できないだろう。

Filip Cleeren

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公開日時: 2025/02/06 9:56

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Lando Norris, McLaren MCL38

Lando Norris, McLaren MCL38

写真:: Sam Bloxham / Motorsport Images

 FIAは2025年シーズンに向けて、物議を醸すことになりそうなF1のフレキシブルウイングについて方針を転換し、より厳しい検査を課すことに決めた。

 昨シーズンを終えた段階で、FIAのシングルシーターディレクターであるニコラス・トンバジスは、エアロ・エラスティシティ(空力弾性/空力的負荷によるパーツの弾性変形)を利用するチームをある程度コントロール下に置くという点で、現行の検査は完璧ではないにしろ満足しているとして、特に取り締まりを強化する予定はないとしていた。

 フレキシブルウイングは、グラウンドエフェクト・カーである現行F1マシンが高速コーナーと低速コーナーの両方でバランスを保つための重要な要素だと理解されており、特にマクラーレンがこれを活かしていたようだ。

 出遅れたライバルたちの苦情を受け、FIAはベルギーGPで追加カメラとステッカーを設置し、チームが何をしているか情報収集を開始。この時点でそれ以上の措置は取らず、より厳しい検査を課すことはないと宣言した。

 こうした状況にフェラーリはFIAの介入を予想し、独自バージョンのフロントウイングを開発していなかったため、さらに出遅れることとなった。

 しかしFIAは、昨年末にさらなる分析を行なった結果、方針を転換。2025年の検査を変更することを各チームに通達した。

 リヤウイングに関する検査変更は開幕戦のオーストラリアGPから、フロントウイングは6月1日決勝の第9戦スペインGPからとなっている。

 FIAの主な狙いは、2024年に物議を醸したフレキシブルウイングに関する終わりのない議論を止め、「公平でエキサイティングなレースを促進するために、すべての競技者にとって公平な競争条件を確保する」ことだ。

 リヤウイングの検査が開幕戦からなのは、昨年の”ミニDRS”騒動を受けてチームに要請していた変更点を明文化する意味が強く、真に影響が大きいのはフロントウイングの検査変更だ。測定ポイントでのたわみの許容範囲が大幅に縮小され、3分の1になったのだ。

Ferrari SF-24 front wings

Ferrari SF-24 front wings

Photo by: Erik Junius

フロントウイングの取り締まりが延期された理由は?

 FIAは、2024年の設計を引き継ぐ予定だったチームがシーズン開幕に向けてフロントウイングを破棄し、新たなウイングを開発することを余儀なくされないよう、変更時期をずらすと発表している。

 Autosportの調べによると、当初は開幕から前後ウイングの検査厳格化が予定されていたが、すでにフレキシブルウイングを開発していた一部のチームから新検査の導入を遅らせるよう働きかけがあり、まず5月のエミリア・ロマーニャGPまで、その後に6月のスペインGPまで延期されたという。

 こうした変更に、レッドブルのようなチームは驚き、あるいは激怒しているのではないかという報道は的外れだと思われる。というのも、これらの微調整は以前から議論されていたものだからだ。そのためチームは変更が行なわれることを知っており、対応する十分な時間もあったのだ。

 全24戦のうち9戦目で新検査が実施されるなど、時差規制に不安の声があるのも事実だ。一方でかつてプレシーズンテストの舞台だったバルセロナは各チームがアップデート・パッケージを持ち込む場所として適しており、チームはFIAの介入をシーズン序盤の開発サイクルに組み込むことができる。

 ただ、まだフレキシブルウイングのトレンドを追いきれていない小規模チームの中には、FIAが明らかに取り締まる必要性を感じている領域の最前線にいたチームに有利に働くと考えているチームもある。

 開幕戦から変更を強制しないことでチームを助けていると見ることもできるが、マクラーレンやメルセデスよりも変更点が少ない中団チームにとっては、最初から規制が強化され方がお得だったというわけだ。

 もう1つの側面は、2026年に向けたレギュレーションの大幅な変更が迫っていることだ。6月までにフロントウイングを変更しなければならないというのは、早い段階で2026年に向けて開発を完全シフトしようと考えていたチームにとっては、歓迎されない、費用のかかる気晴らしになるかもしれない。

Lando Norris, McLaren MCL38, Max Verstappen, Red Bull Racing RB20, Oscar Piastri, McLaren MCL38, Charles Leclerc, Ferrari SF-24, Carlos Sainz, Ferrari SF-24, the rest of the field at the start

Lando Norris, McLaren MCL38, Max Verstappen, Red Bull Racing RB20, Oscar Piastri, McLaren MCL38, Charles Leclerc, Ferrari SF-24, Carlos Sainz, Ferrari SF-24, the rest of the field at the start

Photo by: Steve Etherington / Motorsport Images

変更はどこまで、そしてどれだけの影響を与えるのか?

 この質問を誰にぶつけるかにもよるが、あるチーム関係者はこの変更を 「適切なもの」だと答え、マクラーレンとメルセデスの他、アストンマーティンやアルピーヌも含まれると見られる一部チームは、フロントウイングだけでなく、重要なフロアにも大きな変更を加えなければならないと断言した。

 中団チームからチャンピオンまで駆け上がったことを考えれば、マクラーレンがどのように2025年をスタートさせ、スペインGP以降の規制に対応するかには注目が集まっている。マクラーレンは2026年のポテンシャルを損なうことなく、コンストラクターズタイトルを防衛したいと考えているはずだ。

 ただ現状、規制強化によって2025年シーズンがスペインGPを境とした、2ステージのチャンピオンシップになり、フレキシブルウイングが議論の的になるのは間違いない。これはFIAの思惑とは真逆だろう。

 また、シーズン途中に技術指令によってレギュレーションが調整されるのはそれほど珍しいことではないが、今回の場合はもっと早い段階で取り締まりを強化するか、現行ルールの終わり、つまり今季終了まで問題を放置しておけば回避できたはずだ。

 結局のところ、数ヵ月に及ぶ話し合いの末の妥協案というわけだ。そして、F1ではよくあることだが、妥協案はすべての人を幸せにするためのものではない。不幸になる人々が最小限になるように設計されているのだ。

 

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