元ウイリアムズF1の空力責任者、アントニア・テルツィが事故死。セイウチノーズ手掛ける
ウイリアムズF1で空力責任者を務めていたアントニア・テルツィが自動車事故によってこの世を去った。享年50歳だった。
かつてウイリアムズで空力責任者を務めていたアントニア・テルツィが、10月31日に自動車事故で亡くなったことが明らかになった。享年50歳だった。
イタリア出身のテルツィは、2004年のウイリアムズのマシン「FW26」の特徴的な“セイウチノーズ”の着想者であることでも有名な人物だ。
大学で空気力学を専攻した彼女は、F1初期のキャリアをフェラーリで開始。レーシングデザイナーのロリー・バーンのもとで2001年までフェラーリに在籍した。
その後、彼女はウイリアムズへと移籍。チームではエアロダイナミクス部門の責任者となり、BMWとウイリアムズのパートナーシップを成功させるための重要な役割を負った。
Marc Gene, BMW Williams FW26
Photo by: Steve Etherington / Motorsport Images
テルツィの名をより著名にしたのは、2004年のF1マシン「FW26」だろう。このマシンは“セイウチの鼻”のようなフロントノーズを採用し、可能な限りのドラッグ低減と最大限のダウンフォース発生の両立を目論んだアイデアだった。
ウイリアムズはこの設計に自信を持っていたものの、その期待に反してFW26はセットアップの難しさという問題を抱え、チームは第13戦ハンガリーGPで従来型のノーズ形状に戻すことを選んでいる。
シーズン中の改修の結果、FW26を駆るファン・パブロ・モントーヤは第15戦イタリアGPでフロントロウを獲得し、最終戦ブラジルGPでは優勝してシーズンを良い形で終えることができた。
テルツィはこの年をもってウイリアムズから去り、その後任にはロイック・ビコアが就いた。
彼女はF1の世界を離れたあとは、ベントレーでエアロダイナミクス部門の責任者に就任。最近ではアカデミック分野の活動にも注力しており、オランダの名門校であるデルフト工科大学で航空宇宙工学部の准教授として勤務していた。
直近では2020年にオーストラリア国立大学の正教授として任命されており、新型コロナウイルスのパンデミックによる渡航制限が緩和され次第、そちらに移る予定だった。
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