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ウイリアムズ、コマツをパートナーに”エンジニアリング・アカデミー”開設

ウイリアムズは、世界中のSTEM学生にさらなるチャンスを提供すべく、コマツと共に新進気鋭のエンジニアを発掘する、アカデミープログラムをスタートさせる。

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 F1におけるエンジニアリングプロジェクトの野望は、戦闘力を上げ、順位を上げていくことに向けられている。

 コマツ-ウイリアムズ・エンジニアリング・アカデミーも例外ではなく、同様の長期的な野望を持っている。しかし、それだけではない。

 このプログラムは、9月5日(木)に始まったもの。これまで未開拓だった新しい才能を見つけることを目的としている。

 先週末に開催されたF1イタリアGPの際には、ウイリアムズのモーターホームの屋上で立ち上げイベントが行なわれ、同GPの予選で9番手となったばかりのアレクサンダー・アルボンも訪れた。

 ウイリアムズのチーム代表であるジェームス・ボウルズも出席し、チームと彼自身にとって、このアカデミーが何を意味するかを詳しく説明した。

「エンジニアリングは多くの分野にまたがる巨大な領域だ。このアカデミーが成長し、飛躍するのを本当に楽しみにしている。計画を見てきたが、それが生み出すモノを楽しみにしている。ウイリアムズで我々が行なっていることと、密に連携して機能すると思う。これは自然な流れだ」

 そうボウルズ代表は語った。

「私自身も約30年前に同じようなプログラムに入った。そしてそれを卒業し、F1の世界に飛び込んだ。30年前のF1は、その卒業生をどう扱えばいいのか、まったく分かっていなかった」

「本当に衝撃を受けた。私は、将来の世代にチャンスを提供したいし、将来の世代に投資したいと思う。彼らは、将来我々のリーダーになる人たちだからね」

「このことは今のウイリアムズ、そして5〜10年後のウイリアムズにとって、極めて重要なことだ。この投資は、すぐに効果を発揮するだろう。ウイリアムズが歩む道のりに近道はない。これは、将来の人材たちと基礎を築いていく旅路なんだ」

 コマツとウイリアムズが共同で行なうこのプロジェクトでは、仕事体験や見習い、就職など、様々なプログラムを提供するという。

「このエンジニアリング・アカデミーは、既に何年も前から運営されてきました。その背景にある原則は、STEM(科学、技術、工学、数学)の観点から、次世代の有望な人材を見つけることにあります」

 ウイリアムズの最高人事責任者であるアン・ペリンズはそう説明する。

「グローバルな視点から、我々は『F1・イン・スクール』とも連携して、幅広い学生の参加を期待しています。毎年10人の学生を、このプログラムに参加させる予定です。我々は毎年このプログラムに投資するつもりで、素晴らしい才能を見つけ、彼らの成長を助け、本当に素晴らしい経験を与えることを原則としています」

RP - Komatsu Engineering

RP - Komatsu Engineering

Photo by: Williams

 このプログラムの中心となるのは、今年の2月に発表された、ウイリアムズとコマツの複数年にわたるパートナーシップだ。コマツのロゴは現在、ウイリアムズの2台のマシンに誇らしげに掲げられている。しかしペリンズにとっては、コマツとの関係ははるかに深いという。

「コマツは我々にとって、比較的新しいパートナーです。しかしすぐに、協力すべき重要な機会について、意見が一致しました」

 そう彼女は語った。

「コマツのような本当に重要なパートナーシップは、マシンにステッカーを貼る以上の意味があるということです。そのパートナーシップに、本当に大きな価値をもたらすように努めています」

『F1・イン・スクール』はこのアカデミーにとって重要な要素であり、この制度に参加する候補者を募集している。これは国際的なSTEMコンテストで、40ヵ国以上の学生が設計ソフトウェアを使用し、ミニチュアF1マシンを設計し、レースに出場する。

 優勝者は、今年はサウジアラビアで開催されるワールド・ファイナルに参加し、その後コマツ-ウイリアムズ・エンジニアリング・アカデミーに進む可能性がある。

「『F1・イン・スクールは、まさにこの目的にぴったりのパートナーシップです」

 そうペリンズ氏は語る。

「彼らは非営利団体で、将来モータースポーツに参加する、世界中の才能を発掘するために、世界規模で活動しています」

「彼らは素晴らしいコンテストを開催しています。我々はそのコンテストに参加し、サウジアラビアではファイナリストとなった学生たちと会っています。その後で彼らはアカデミーの一員になるために応募し、審査を通過することになります」

「我々は数多くの成功事例を手にしています。実際、最も最近の参加者のうち3人が我々の産業研修に参加してウイリアムズで1年間働き、そのうちふたりは我々の卒業生プログラムに参加しました」

「彼らがプログラムに参加する際、四半期ごとに指導員がつく。彼らは、その指導員にコンタクトできるわけです。我々にはeラーニングのプラットフォームがあり、何年も運営してきました。本当に魅力的な、本当に素晴らしいF1関連のコンテンツがたくさんあるんです」

「そして彼らは、我々が提供している他の早期のキャリアに関する募集のうちいくつかに参加することができるんです」

『F1・イン・スクール』と共に、ウイリアムズのアカデミーは、これまではF1に踏み出すことが難しかった人たちが、F1の世界で足場を見付ける機会も提供することになる。

 これには、コマツも大いに賛同している。モンツァでの発表イベントの際に、コマツのグローバルブランド変革担当副社長であるトッド・コノリー氏も、次のように語った。

「多様性は、我々の業界、特にコマツにとっては大きく焦点を当てていることだ。歴史的に我々の業界では男性が多く、組織の最高幹部に至るまで、ジェンダーの多様性を高めることが、我々の絶対的な目標である」

 そうコノリー氏は語る。

「このプログラムは、地理的にも人材プールを拡大することになる。コマツは世界中に6万4000人以上のメンバーを抱えている。そしてこのプログラムによって、世界中の人々にチャンスをもたらすことになる。適正は、地理的な問題により制限されるべきではない」

「ウイリアムズと話をし始めて、彼らが非常に似たような焦点を持ち、人材育成に関して共通の野心を持っていることが分かった。その時、相乗効果はまさにぴったりだと感じた。ウイリアムズとコマツは、人材育成に関する共通の価値観と焦点を共有している」

Alex Albon, Williams Racing, RP - Komatsu Engineering

Alex Albon, Williams Racing, RP - Komatsu Engineering

Photo by: Williams

 コマツは1990年代にウイリアムズのテクニカルパートナーだった。しかし今回の関わり方は、当時とはまったく異なる。

「我々の目標は、ウイリアムズと共に価値を生み出すことだ。以前のパートナーシップは、技術開発に関するモノだった。現在のパートナーシップは人材育成、そして我々の分野ではSTEMキャリアの認知度向上に関するものだ」

 コノリー副社長はそう語る。

「エンジニアリング・アカデミーの参加者は、教育の旅の最後には、素晴らしい、高い潜在能力と高いパフォーマンスを持つ候補者になるだろう。我々とウイリアムズで、その人材を共有する方法を見つけなければいけない」

 このプログラムで優秀なエンジニアを発掘することができれば、ウイリアムズのコース上での成果について、いつか利益をもたらすことになるだろう。しかしペリンズとコノリー副社長は、コマツ-ウイリアムズ・エンジニアリング・アカデミーの目標は、はるかに広いと感じている。

「もっと広い目標があると思います」

 そうペリンズは言う。

「ブランドという観点から言えば、ウイリアムズとコマツにとって、このプログラムは非常に大きな影響力を持っていますし、F1・イン・スクールとも提携しています。モータースポーツを幅広い学生たちにキャリアとして浸透させるのに役立つはずです」

「しかし当然ながら、このプログラムにうまく参加できた人たちにとっては、これはキャリアの初期段階から彼らの成長に投資する、非常に重要な方法なのです」

 またコノリー副社長も次のように語る。

「プログラム出身の人材が、我々が期待する分野の頂点に立つ姿を見ることほど、満足できることはない」

「我々は間違いなく、才能がF1だけでなく、重工業の業界にも流れ込んでくることを期待している。我々の最初の100年間の成長は、従業員によって推進されてきた。それと同じように、次の100年間の成長を促進するために、我々の業界でエンジニアリングや技術職に就く人材がますます必要となっていくはずだ」

 確かなことのひとつは、新たに立ち上げられたコマツ-ウイリアムズ・エンジニアリング・アカデミーとそれを成功させるために行なっている取り組みにより、そのような職種への道が間違いなく拡大するということだ。

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