メルセデスF1代表、レッドブル代表の女性問題でF1首脳陣の介入を要求「チーム間の勢力争いに矮小化していい問題ではない」
メルセデスのトト・ウルフ代表は、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表の女性問題をめぐる論争が続いていることを受けて、スポーツの「羅針盤を正しく設定する」責任はチームではなくF1首脳陣にあると語った。
依然尾を引くレッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表をめぐる女性従業員への不適切行為疑惑。ライバルチームであるメルセデスのトト・ウルフ代表はこれを受けて、F1首脳陣が「羅針盤を正しく設定する」必要があると主張した。
レッドブル・レーシングはF1開幕戦バーレーンGPを制して大いに沸いた一方で、ホーナー代表が抱える疑惑によって緊張が続いている。
チームを所有するレッドブル社はこのオフシーズン中に、女性従業員からの申し立てを受けてホーナー代表を独自に調査。独立した弁護士による8週間に及ぶ調査の結果、申し立ては却下され、ホーナー代表の疑惑は晴れたかのように思われた。
しかし、それで問題が解決した訳ではなかった。レッドブル社の発表からわずか24時間後、匿名のアドレスからチーム代表やメディアを含むFIA、F1関係者にEメールが送信され、疑惑の証拠と見られるモノが公開された。
レッドブル・レーシングが1-2フィニッシュを上げたバーレーンGPの後には、マックス・フェルスタッペンの父で元F1ドライバーのヨス・フェルスタッペンが、ホーナー代表が現職に留まればチームが“崩壊”する危険性があるとコメントした。
コース上のバトル以外でF1が注目を集めていることで、F1関係者はこの問題を危惧しており、FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長はこのスポーツにおいて「有害」であることを公に認めた。
ただベン・スレイエム会長は、ホーナー代表をめぐる状況についてFIAが透明性と完全性を確保するために調査の必要があると考える一方で、正式な申し立てがない限り組織として対応することはできないと示唆した。
しかしウルフ代表は、ベン・スレイエム会長のスタンスが必ずしも正しいとは考えていない。ウルフ代表はチームではなくFIAやF1首脳陣が対処すべき問題だと捉えており、対応如何によっては事の重要性を軽んじてしまうと考えているのだ。
「この問題がどのように処理されたかを疑問視した瞬間に、この問題全体にとって私は何の役に立たないと思う」
バーレーンでウルフ代表はそう語った。
Christian Horner, Team Principal, Red Bull Racing, Toto Wolff, Team Principal and CEO, Mercedes AMG
Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images
「そうなると、これはF1内の勢力争いに過ぎないという見方もできる。だからこそ、これはチームの手には負えない問題だと思うんだ」
「メルセデスやマクラーレンの人間が、レッドブルの人間について話しているように見えることで、この問題の全体的な状況を矮小化したくはない」
「今後数日でどうなるか見てみたい。統括団体、認可団体、商業権所有者が羅針盤を正すことを強く望んでいる」
FIA関係者は、統括団体が介入に消極的なのは、この問題が完全にレッドブル社内の問題だと捉えているからだと指摘しているが、ウルフ代表はより大きな問題だと捉えている。
ウルフ代表は、F1全体が正しくない行為の疑惑にどう対処するかが、より広い世界におけるF1のスタンスを示す指標になると感じているのだ。
「今回の事態への対応はF1にとって非常に重要だと思う」とウルフ代表は言う。
「これは競技者が何か行動を起こすことではないし、平等と多様性というこれら全てのテーマについて最適化するために、自分たちに何ができるのかという観点から自分たち自身を見つめ直すべきだ。それが我々のやっていることだ」
「我々が最前線にいるということを私はとても誇りに思っている。他の人や他のチームについて判断するのは、運営団体のやることだ。彼らはその力を手にしている。ここは我々が見守るべきところだろう」
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