「今も毎日思い出す」メルセデスのウルフ代表、”まさか”の展開でタイトル逃した2021最終戦がトラウマに?
メルセデスF1のトト・ウルフ代表は2021年のドライバーズタイトルを逃すことになった最終戦アブダビGPのことを、今でも“毎日”思い出すと語った。
The Safety Car Lewis Hamilton, Mercedes W12, Lando Norris, McLaren MCL35M, Fernando Alonso, Alpine A521, the rest of the field
Sam Bloxham / Motorsport Images
F1の2021年シーズンは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンとメルセデスのルイス・ハミルトンが激しく争った末、最終戦アブダビGPの大逆転でフェルスタッペンがタイトルを獲得。メルセデスを率いるトト・ウルフ代表は2022年半ばとなった今でも当時を思い出すという。
アブダビGPでは、レース終盤までハミルトンがフェルスタッペンに対してリードを築いていた。しかしニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)のクラッシュをきっかけにセーフティカーが出動し、状況は一変した。
首位のハミルトンがステイアウトする中、2番手を走るフェルスタッペンはピットインしてタイヤを交換。ふたりの間には数台のバックマーカーが挟まるような形となったが、当時のレースディレクターであるマイケル・マシはふたりの間にいるバックマーカーのみアンラップを認めて、より早期にレースを再開させることを決めた。
その結果、フェルスタッペンがハミルトンの真後ろにつけた状態でレース再開。フレッシュなタイヤを履くフェルスタッペンにオーバーテイクを許したハミルトンは、2021年のドライバーズタイトルを逃すことになった。
その後、メルセデスはこの結果に抗議を申し立て、控訴の構えも見せていた。ただ最終的に彼らは引き下がり、フェルスタッペンの戴冠が確定した。
FIAは事態の全容解明に動き、2022年に向けてレースコントロールの運営方法を見直すこととなった。そして、その一環としてマイケル・マシは更迭されている。
既に多くの関心は2022年シーズンの新型マシンによる戦いや、メルセデスの苦戦、フェルスタッペンとシャルル・ルクレール(フェラーリ)の戦いと言ったものに移っているが、ウルフ代表にとっては2021年のアブダビGPは依然として内面にしこりとなって残っているようだ。
motorsport.comの独占インタビューに応えたウルフ代表は、アブダビGPで起きた事を今でも思い出すと語った。
Toto Wolff, Team Principal and CEO, Mercedes AMG
Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images
「その事については、毎日考えている」
「だがマックスがチャンピオンシップを獲得したことには納得している。彼はチャンピオンに値するからだ」
「私は自分が特にスポーツの公平さについての価値観を持っていると思う。そしてそれこそが、このスポーツに対する愛情をもたらしている。だがあの日の出来事は、それを足蹴にしたんだ」
なお当時のレースコントロール内部で何が発生したのかについては、多くの疑問が残っている。しかし最近になりマイケル・マシが決してこの件について話さないNDA(秘密保持契約)を結んだことが明らかになるなど、FIAは一連の事件について一線を引こうとしている。
そしてレースコントロールの体制が一新されて行なわれている2022年シーズンだが、その整合性やFIA会長のモハメド・ベン・スレイエムの考え方や姿勢については、疑問の声があがっているのも事実だ。
ただウルフ代表はベン・スレイエム会長の新たなアプローチによる変化には、満足しているようだ。
「モハメド・ベン・スレイエム会長の採用やリクルートの方法は、私の方向性も示しているモノだと思う」
「どんな人物であれ、強みはある。透明性を確保し、良好なガバナンスと優れた仕組みを提供するというのが優先目標だと私は思うし、今はそれを目にしていると思う」
「モハメドの組織は適切な場所に落ち着き、皆がそれぞれの役割を見つける必要がある。その道程が凸凹だと言われればそうかもしれないが、私はその進め方に満足している」
「彼らは開かれた考え方の持ち主で、意固地ではない。私にとっては透明性があり、正直で誠実な人たちなんだ」
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