メルセデスF1代表、新スポンサー巡る批判に謝罪。2017年大規模火災に関連疑われる企業に遺族が声
メルセデスF1のトト・ウルフ代表は、2017年に発生したタワーマンション火災に断熱材を納入していた企業とのスポンサー契約を結んだことをめぐり、生存者や遺族に謝罪。ただスポンサー契約見直しには至っていない。
Lewis Hamilton, Mercedes W12, leaves the garage
Mark Sutton / Motorsport Images
12月3日から開催されているF1サウジアラビアGPに先駆けて、メルセデスは建築材料を扱うキングスパンとの新たなスポンサー契約を発表。しかし、このスポンサー契約には批判が寄せられ、トト・ウルフ代表が謝罪する事態となった。
メルセデスが新たにキングスパンとスポンサー契約を結んだことが批判されている背景には、2017年に英国・ロンドン西部で発生したタワーマンション火災(グレンフェル・タワー)がある。
死者70名を超える悲惨な大規模火災となってしまったこの一件だが、このマシンションにキングスパンの断熱材が使用されており、火災が深刻化した要因ではないかと批判を浴びているのだ。
遺族や生存者などで作られている団体「グレンフェル・ユナイテッド」は、メルセデスとキングスパンの契約に対して最初に批判の声をあげ、見直しを求めた。メルセデスに宛てられた公開書簡には、次のように記されている。
「今週発表された、キングスパンとの新たなスポンサー契約は、本当に衝撃的なものだった。キングスパンは我々が今も感じている痛みと苦しみにおいて、中心的な役割を果たしている。キングスパンの人命に対する無頓着さや無謀さには、公の場での非難が必要だ」
「キングスパンとの提携について、我々はそれが人命よりも利潤を求めるシステムに直接関わっていると考えている。そのため、我々はキングスパンから離れるための積極的な行動をとることを、断言することを期待している」
「グレンフェル・ユナイテッドはこの書簡を貴社の株主の方々と共有し、そして返答をお待ちしている。我々はこの件に関してさらに話し合うため、お会いできればと考えている」
「これは”平常運転”では済まされない。F1には倫理や価値感が存在していること、行動には社会的な重要性があることを、あなた方が示してくれることを願っている」
この一件には、英国の住宅・コミュニティ・地方自治大臣であるマイケル・ゴーブ議員も参戦。メルセデスに対してパートナーシップの見直しを求めることを明らかにしたため、より注目が集まることになった。
メルセデスとしても現在直面している批判は認識しているが、スポンサー契約の見直しまでは至っていない。ウルフ代表は遺族や生存者の気持ちを傷つけてしまったことへ謝罪しつつ、彼らと面会し、火災についてより学びたいと伝えている。
ソーシャルメディアでウルフ代表は次のようにコメントしている。
「グレンフェル・タワーの火災の悲劇は、私としても想像を超えるものであり、決して起こるべきものではなかった」
「我々のチームを代表し、この発表で心を傷つけてしまったことを、深く謝罪したい。そのようなつもりはなかった」
「この悲劇の全原因を究明するための公開調査は非常に重要だ。我々はパートナーシップを締結する前に、グレンフェルで発生したことと、同社の製品がどういった役割を果たしたのかを理解するために、キングスパンとは深く関わってきた」
「キングスパンはグレンフェル・タワーのシステムの設計や施工には関わっておらず、彼らの関与していないうちに、建築基準に沿っておらず安全ではないシステムの一部に、製品が使用されたと述べている」
「私は、みなさんが被った恐ろしい悲劇や、みなさんのコミュニティが抱えている深く継続的な痛みが、このようなことで変わるものではないことを理解している。より理解し学ぶために、直接面会することを申し出てくれたグレンフェル・ユナイテッドに感謝したい」
「できるだけ早くお会いできることを楽しみにしている」
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