親交と混沌極めた2021年の後悔。メルセデス代表、長年追い続けたフェルスタッペン陣営との関係を語る「今は良い関係」
メルセデスF1のトト・ウルフ代表が、F1世界チャンピオンであるマックス・フェルスタッペンと何度も契約を取り付けようとしたこと、そしてその父ヨスとの関係について率直に語った。
メルセデスのチーム代表であるトト・ウルフは、これまで何度もマックス・フェルスタッペンの獲得を目指してきた。ここ最近では、来季に向けたレッドブルからの引き抜きを断念したと明かした。
そこで注目を浴びたのが、その父親であるヨスとの関係。フェルスタッペン陣営との関係についてウルフ代表が率直に語った。
ウルフ代表はオランダGPを前に、フェルスタッペンのマネージャーを務めるレイモンド・フェルミューレン、そしてヨスとサマーブレイク中にミーティングを続け、メルセデスへの移籍を働きかけた。
ウルフ代表がフェルスタッペンを長きにわたり追い求めているのは、2014年にメルセデスF1のシートを提供できなかったフラストレーションから来ているのかもしれない。その際、ウルフ代表はニコ・ロズベルグとルイス・ハミルトンを留めることを選択したが、2年後にはロズベルグはチームを去った。
フェルスタッペン陣営とウルフ代表は長く友好関係を築いてきたが、その道程は決して平坦なモノではなかった。特に、フェルスタッペンとハミルトンが激しいタイトル争いを展開した2021年は、その関係にヒビが入った。
2021年シーズンはレースを追うごとに、フェルスタッペン&レッドブルとハミルトン&メルセデスの関係性が悪化していった。イギリスGPでは2台がオープニングラップで接触し、ハミルトンがトップチェッカーを受けた一方で、フェルスタッペンは病院送り。最終戦アブダビGPでは物議を醸す形ながらも、フェルスタッペンがハミルトンを下してタイトルを獲得した。
「ヨスとはずっと仲良くやってきた。我々は似ているからかな」とウルフ代表は語った。
「マックスがシングルシーターを戦い、ジュニアカテゴリーを駆け上がっていく頃から、我々は非常に良い関係を築いてきたと思う」
「(フェルスタッペンが2015年にトロロッソ/現RBからのF1参戦契約に合意する前に)ウィーンの私のリビングルームでのミーティングがおそらく、彼らが行なった最初の大きなF1ミーティングだったと思う。彼らとしても我々としても、どう状況を動かしていくべきかを常に理解していた」
Max Verstappen, Red Bull Racing, Toto Wolff, Team Principal and CEO, Mercedes-AMG
Photo by: Patrik Lundin / Motorsport Images
「互いに尊敬の念は常に満ち続けていたと思う。転機となったのは、(2021年の)シルバーストンの後だ」
「あのシーズンは我々全員に大きなダメージを与えた。とても激しかった。我々は互いに、正しくない状況だと感じていた」
「シルバーストンの後、私がミスを犯したことで、本当に間違った方向に進んでしまった。その日のうちに私はヨスに連絡しなかったのだ」
「私はそうするべきだったが、彼に連絡しなかった。我々は常に怒りに満ちていて、ピットレーンではマックスは無事で問題ないと言われていたからね」
「ある意味、私はずっとやってきた通りに電話を取ってヨスに『マックスは大丈夫?』と連絡するよりも、その情報に頼ったのだ。私の子供もゴーカートをしているから、父親としての気持ちは分かる。しかし私の心の中には、それがなかったのだ」
「アブダビでの惨事、それに向かうサウジアラビアでの状況……1年間は良い関係ではなかった。しかしその後は同じ調子で、良い位置関係に戻っていた。ここ数年から今日にかけて、最初の頃と同じように良い状態にある」
ウルフ代表はザントフールトでオランダのメディアにそう語り、両者の関係が話題になるのは自然なことだった。ただ、フェルスタッペン獲得の望みを捨てないウルフ代表の粘り強さは少々予想外のことと受け止められたかもしれない。
オーストリアGPの時点でフェルスタッペンは今季限りでのレッドブル離脱をきっぱりと否定したが、ウルフ代表は諦めず、レッドブルのクリスチャン・ホーナーをめぐる不和から光明を見出そうとしていた。
Toto Wolff, Team Principal and CEO, Mercedes-AMG, Christian Horner, Team Principal, Red Bull Racing
Photo by: Red Bull Content Pool
ウルフ代表のコメントは間違いなくレッドブル陣営の眉をひそめることになるはずだ。そこには、メルセデスが上位に返り咲き、優勝争いを繰り広げる中でライバルチームを揺さぶろうとする別の狙いもあるだろう。
「20217念以降、ライバル関係は常に健全だったと思う」とウルフ代表は言う。
「ラグビーみたいなモノだ。フィールド上では相手の鼻を殴ることがあっても、その後はパブへ行く。常にそうやって関係を維持してきた」
「だから心配はしていない。我々は戦っている。互いを打ち負かそうとしている。特に厳しいこともあるが、それでも良い。2021年は望んでいるようなバトルではなかったと思う」
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