メルセデス代表、ハミルトンのペナルティに納得できず「無理のあるペナルティだった」
メルセデスのトト・ウルフ代表は、ロシアGPでルイス・ハミルトンに科せられたペナルティは”無理がある”と語った。
写真:: Steve Etherington / Motorsport Images
メルセデスのルイス・ハミルトンにとって、F1第10戦ロシアGPは不満の残るレースとなった。レース前のレコノサンスラップでスタート練習違反をしたとみなされ、計10秒のタイム加算ペナルティを受けた結果、3位に終わったからだ。
ハミルトンはレコノサンスラップへ向かう際、他のマシンとは異なり、コースに合流する間際の位置でスタート練習を2回行なった。FIAは、レースディレクターであるマイケル・マシが発行したイベントノートに記載されている位置を外れてスタート練習をしたと判断。違反1回につき5秒のタイム加算ペナルティを科した。
首位を走っていたハミルトンは16周を終えたところでピットに入り、10秒静止してペナルティを消化。一時は11番手まで後退したものの、最終的に3位まで挽回しなんとかダメージを最小限に抑えることができた。
ウルフはハミルトンが審議を受けることが発表された後、レース開始直前にスポーティングディレクターであるロン・メドウズと共にスチュワードの下を訪れたと明かし、ハミルトンやチームに”無理のあるペナルティ”の責任を押し付けることはないと主張した。
「エラーは常に起きるものだ」
ウルフはmotorsport.comの取材に応えそう語った。
「チームのミスでもルイスのミスでもない。誰かのせいにはしたくないし、私はそんなこと絶対にしない」
「ロンと私はスチュワードに会いに行った。裁定は彼が正しい場所にいなかったというものだった。だがどこが適切な場所なのかは、レギュレーションでもディレクターズノートでも言及されていない。だから我々は納得できない」
「彼は10秒のペナルティを受けた。レコノサンスラップでの違反で、レース中にペナルティを受けることにも議論の余地はない。しかしそれをしっかりと受け止めて前に進まなければならない」
「私はペナルティに納得できていない。なぜならそれは無理のあるモノだからだ。スチュワードの仕事には常に敬意を払っているが、この件に関しては意見が合わないんだ」
スチュワードの裁定では、ハミルトンはイベントノート19.1および、F1競技規則36.1に違反したと判断されている。
イベントノートの該当部分ではスタート練習について『スタート練習はピット出口の信号通過後(on the right-hand side after the pit exit lights)、右側でのみ行なうことができる。疑いを避けるために、これにはレースのためにピット出口が開いている時間も含まれる。ドライバーは、他のドライバーが追い越すのに十分なスペースを左側に残しておかなければならない』と記されている。
また、競技規則36.1はレコノサンスラップについて記しており、その中に『レコノサンスラップ時ピット出口に行こうとするすべてのドライバーは一定の速度で一定のスロットルで進まなければならない。これは、ドライバーが自己のガレージからピット出口へ進もうとしている、あるいはレコノサンスラップ間でピットレーンを通過する場合のいずれであってもピットレーン全域で適用される』という記述がある。
しかしながら、ウルフはイベントノートにはドライバーがどこでスタート練習を行なうかは明記されておらず、ハミルトンはそれに従ったと主張した。
「私が知っている限りでは、レースディレクターのノートにはピットの信号の後、ピットレーンの右側でスタート練習を行なう必要があると書かれている。だからそうしたんだ」
「指定された場所は、”信号の後ろ”の右側だと明記されている。まさにそうしたんだよ」
ウルフは、ハミルトンがその場所でスタート練習をしても何のメリットもなかったと付け加えた。
「物事は常に白黒はっきりしているわけではないし、解釈の余地があるんだ。ルールの解釈が分かれることもある。それが当たり前なんだ」
「実際にはレース前の違反に対するペナルティが、レース中に与えられたという事実もある」
「そこでスタート練習をしたことで彼が有利になったという意見もあったが、そうはなっていないと思う。彼のスタート位置よりも、かなりグリップが低かったからだ」
「最終的にはしょうがないことなのだが、明らかに我々はそのことについて感情的になっている」
「だがその感情は久しぶりの優勝に値する走りをしたバルテリ(ボッタス)に向けられるはずだ。我々は1位と3位でレースを終えたので、喜んで飛行機に乗り込むことができる。結果に満足し、インシデントから学ぶ必要がある」
「我々は自分たちのコミュニケーションと手順を見直す必要がある。我々は誰かを責めるのではなく、問題そのものをターゲットにするんだ」
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